Peace4-3
-朝-
目が覚めると、外は暗く雨が降っていた。ゆらは寝不足や疲労が募り、寝込んでしまった。
母が部屋に入り、温かい飲み物を持ってきた。
ゆら「ありがとうございます。」
母「…何かあったの?」
ゆら「⋯少し、疲れが溜まってしまっただけです。」
母「⋯また、好きな人と上手くいかなかったの⋯?」
ゆら「⋯。」
母「そうそう!みれいさんは法的伴侶制度を始めたそうだけど、良い人と出会えたらしいよ。ゆらもきっと…」
ゆら「その話はやめてください…!価値観が一番合う人を紹介されるんでしょう?もしもそれで合わなかったら、希望なんて持てません!」
母「⋯。」
ゆらの母は何も言わず、部屋を出ていった。
ゆら「何でぼくは…皆に迷惑をかけてばかりなんでしょう…。惚れやすくなかったら…不器用じゃなかったら…法的伴侶制度だってきっと…!」
フィフィ「ゆら、ゆらは惚れやすいって言ってますフィけど、それは人の良いところを沢山見つけられる長所ってことじゃないんですフィ?」
ゆら「そう…なのでしょうか…。それでもぼくは…それ以上にるかや夢の中の皆は…きっと沢山、苦しい思いをして…」
フィフィ「フィフィはゆらが自分を責めるのは悲しいと思ってしまいますフィ。でも逆に、ゆらが自分の感情を抑えて、我慢していなくなってしまう方が、もっと嫌ですフィ。」
ゆら「フィフィ⋯。」
暫くして母と父が仕事から帰ってくる。
母から事情を聞き、父はゆらの部屋の扉をノックする。
父「…ゆら、お母さんはゆらのことを心配してるだけで、ゆらがやりたくないなら、法的伴侶制度だってやらなくていいんだよ。」
ゆら「はい…ただお母さんの心配を押し付けないでほしかっただけです…。ぼくも悲観的なところを継いでしまったので、何も言えませんけど…。」
父「お父さんは、お母さんとゆらの心配症に助かってるよ。すぐ感情で突っ走るから、よくお母さんに止められて助かったんだよ。」
父は感慨深く思い出に耽ようとしていた。
ゆら「その感情で突っ走るお父さんの部分も引き継いでしまいました…。」
父「はは、確かにそうかもしれないけど、大丈夫。段々自分との付き合い方が分かってくるから。ゆらは自分と向き合えてる。そのうち、支え合える人と出会えるよ。」
ゆら「…そうなのでしょうか。お父さんとお母さんにとって、ぼくは邪魔ではないのですか。フィフィをくれたのだって、いろの世話に邪魔だったから…」
父「まさか!でも確かに、ゆらは寂しがり屋だったから、お母さんは少し心配していたんだよ。このまま親離れできなかったらどうしようって。だから、ゆらの最初の友達になってくれそうな子を、お母さんとお父さんが作ったんだよ。」
ゆら「え!?でもお母さんってぬいぐるみ作ってませんよね!?昔、ぬいぐるみは仕入れてるってお父さん言ってましたし。」
父「フィフィ以外はね。凄腕ハンドメイド作家のお母さんでも、ぬいぐるみは本業じゃないから、最初は色々なところからぬいぐるみを探したんだけど、ゆらにぴったりなものが見つからなくて。そんな時に偶然雑貨屋にいらしてくれた作家さんが案を出してくれて。」
ゆら「作家さん?」
父「なんて言ったかな…作家ということしか聞いてないかもしれない…。」
ゆら「何故名前を聞かないで作家なことだけ聞いたんですか…。」
父「そこはノリってことだよ。」
ゆら「はあ…。」
父「それでどうにか完成したのがフィフィ。」
ゆら「お母さん…。」
ゆらは扉を開ける。
ゆら「お父さん、ありがとうございます…。」
父「一緒にお母さんのところへ行ける?」
ゆら「はい!」
ゆらと父親はリビングへと向かった。
母「ゆら…ごめんね、またゆらの気持ちを考えないで、先走っちゃって…。」
ゆら「ぼくの方こそ、ごめんなさい。…お母さんとお父さんがフィフィを家族にしてくれて、凄く嬉しかったです。ありがとうございます。」
母「気に入ってくれたなら良かった…。でも最近、フィフィを見ない気がするんだけど…。」
いろ「前は家でもずっと隣に置いてたもんね。」
ゆら「ああえっと…それはその…フィフィ大分汚れてきちゃったので、外に持ち出し過ぎないようにしようと…!で、でも綺麗に飾ってるので心配なさらず…!」
母「そう?だけど、そこまで大切にしてもらえて、何よりだよ。フィフィもきっと喜んでるね。」
ゆら「そ、そうでしょうか…!」
ゆらがフィフィの方を向くとフィフィはにっこりと微笑んだ。
母「そう言えば、昨日うちの雑貨屋が火事になりかけたらしいんだよね。幸い火の元に飾ってた籠が落ちてくれたから燃え広がらなかったけど、気をつけないとね…。」
ゆら「籠…ですか?」
母「うん、そこに置いてある籠。焦げちゃったからもう売れないけど、この籠のおかげで一大事にならなかった訳だし、家で飾ることにしたの。」
その籠はフィフィを閉じ込めたものにそっくりだった。
ゆら「あれって…夢の中の出来事ですよね…?」
フィフィ「そのはずですフィ…。でもゆら、籠の中に入ってるこれって…」
中にはゆらとフィフィがつけている髪飾りと同じ物が入っていた。
ゆら「お母さん、この飾りは…」
お母さん「それ?よく分からないんだけど、見つけた時から籠の中に入ってたんだよね。それも流石に売れないから。」
ゆら「はははは…」
フィフィ「フィフィフィフィ…」
いろ「ゆらが不気味に笑いだしたー。こわー。」
ゆらとフィフィは、魂が抜けかけた笑いが止まらなかった。
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




