Peace2-5
全部のポットの草取りが終わり、園芸用トレーに戻していく。
ろわ「こんな感じで、最初は雑草と区別つきにくいけど、本葉になったら分かりやすくなっていくから。」
みれい「やっとデッサンできます!」
ミュミュ「みれいは花を育てるより絵が描きたいミュ?」
ふらん「でも描きたくなる気持ちも分かるよ〜!植物見てるとインスピレーションが湧いてくるよね!」
◾︎◾︎「よく分からないけど、癒されるって意味では分かるなあ。」
みれいとふらんは、絵を描きに行ってしまう。
りおう「この後はどうするんです?」
ろわ「うーん…新しい花の種を植え始めてもいいけど、みれいとふらんは絵を描き始めちゃったし…自由時間にしよっか。」
のえる「それなら教会の中戻るねー。」
のえるはヴェヴェと一緒に教会へ入っていった。
りおう「では、他の場所の草取りに行ってきます。」
ろわ「え!?1人で!?流石に悪いよ…。」
りおう「リュリュも一緒です。それにりおうは贖罪云々でなくとも、植物と向き合いたいので。」
りおうは草取りに必要な道具を持つと、リュリュと共に霧の中へと消えていった。
ろわ「…私は追いかけるけど、2人はどうする?」
◾︎◾︎「お菓子食べたいけど…◾︎◾︎も行こうかな!動いた方が美味しくなるし。」
ゆら「そ、それならぼくも…!」
ろわ「ありがとう。早くりおうと合流しよう。」
すぐに準備をし、3人と3精霊でりおうの後を追った。
幸い手入れがされていない公園は限られていて、ろわは島の公園の場所、花壇の場所を全て把握している為、すぐにりおうと合流することができた。
草取りは大分慣れてきて、無言の時間が続く。ゆらはメメ(仮)が誰なのか、気になって仕方がなかったが、今まで怖気付いてしまってメメ(仮)に踏み込む勇気がなかった。だが前回草取りをした早朝、かすむと偶然会った事も相まって、ゆらの中でかすむだったらという期待が膨らんでいた。
ゆら「…あの!メメさん!良かったら連絡先教えてもらえませんか?」
◾︎◾︎「?いいよ!携帯ないから、後で紙に書くでもいい?」
ゆら「…!はい!ありがとうございます!」
草取りが終わり教会へ戻ると、メメ(仮)が連絡先を紙に書いてくれた。しかし、ゆらには文字がぼやけて見えた。
ゆら(何でですか…ぼやけて、何も読めません…。)
◾︎◾︎「…もしかして、読めない?」
ゆら「…はい…勿論メメさんの字の問題ではなく…。フィフィは読めますか?」
フィフィ「何も読めないですフィ。」
◾︎◾︎「うーん…じゃあ…」
メメ(仮)は紙に何かを書き足す。
◾︎◾︎「他のSNSのIDも書いてみたんだけど、どう?」
それでも、ゆらがその字を読めることはなかった。
ゆら「ごめんなさい…沢山書いてくださったのに…。何も読めません…。」
◾︎◾︎「よろしくね〜って文字も?」
ゆら「は…はい…。」
ゆら(そんな愛嬌のある事まで書いてくださってたのですか…!?それが読めないなんて…一生の不覚です…。)
少なくとも、ゆらの好きなタイプであることを確信してしまった為、知りたい気持ちが加速し、その他にも歳や学校の場所、この島に住んでいるか、普段の服装等余すことなく聞いてみるも、どれも聞こえることはなかった。
のえる「傍から見ると個人情報暴露大会みたいになってる。」
せれん「しかも一方的なね。」
ゆら(ここまで協力してもらっているのに、申し訳ないです…。こうなったら最後の手段です…!)
ゆら「あの…迷惑でなければ、現実世界で待ち合わせとかしませんか?」
◾︎◾︎「いいよー!」
ゆら「本当ですか!?」
◾︎◾︎「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎(明後日○○時)くらいに◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎(かすむとお茶しに行くんだけど)、◾︎◾︎(店の名前)って場所分かる?」
ゆら「ごめんなさい⋯何も聞きとれませんでした⋯。」
◾︎◾︎「そっか⋯。」
分かりたくなかったですが、認める他ないです。名前だけじゃなく、個人を特定できるもの全て聞き取れないですし、筆跡すら見ることができません。
ゆら「ごめんなさい、質問ばっかりで。しかも個人情報だらけですし。」
◾︎◾︎「大丈夫!こんなこと普通有り得ないし、焦るよね…。」
でもメメさん(仮)から質問されたこと、自己紹介でしかないです。もしかして名前が聞こえないこととか、気にしていない⋯?ぼくだけが焦ってるのでしょうか?
そうだったら尚更申し訳ないです。もしかしたらかすむ先輩かもなんて勝手に思って、相手のことを考えないで質問ばかりしてるなんて最低です⋯。気になるのは変わりませんが、失礼がすぎるのでもうやめましょう。
ゆら「本当にごめんなさい。焦ってメメさんの気持ちを考えられていませんでした。メメさんは踏み込んできたりしなかったのに⋯。」
◾︎◾︎「ううん、◾︎◾︎はそんなにも人に真剣になれないだけだよ⋯。」
ぼくが一方的に悪いのに⋯でもそっか、それなら合点がいきます。もう干渉するのはやめにします。
けれど、何で誰も気にしないんでしょう⋯。みれいにもふらんにもメメさん(仮)のこと沢山聞いちゃいましたけど、現実では話しちゃダメとは言え、他の4人の話題すら出ないですし⋯もしかして、現実では誰とも会ったことがない⋯?…また詮索してしまいました。もうやめようって決めたばかりなのに。
-次の日-
ゆらは現実世界で山付近を散歩していると、花壇の手入れをしているろわと出会う。
ゆら(ろわ!?本当に、生きてます!)
だが今まで、現実で会ったことがない上、夢の中の話はしてはいけないと言われていたので、通り過ぎようとしていた。
ろわ「あ、ゆらだ。」
ゆら「え!?あの、話していいんですか!?」
ろわ「何で?」
ゆら「だって、現実では夢に関わる話は⋯。」
ろわ「話しかけただけだからいいんだよ。」
ゆら「え⋯えっとどこまでよくて、どこまで駄目なんですか?」
ろわ「うーん、じゃあ今はいいよ。周りに人いないし。」
ゆら「テキトー⋯ですね…。(今まで話さなかった苦労はどこへいったのでしょう。)」
ゆらはこの機に、ろわにずっと聞きたかったことを聞いてみる。
ゆら「あの、どうしてぼくとメメさんはお互いが認識できないのでしょう?色々試してみましたが、名前以外も分からないですし⋯。」
ろわ「⋯上手く言えないけど、今は生まれ変わる前の呪い、としか言えないかな。」
ゆら「何でですか?呪いは、社会で上手くやっていけないことでは…?」
ろわ「他にも一人一人あるんだよ⋯。こればかりはシュシュ達でも何もできない。」
ゆら「そんな⋯ぼく達、そんなに悪いことをしたのですか⋯?」
ろわ「⋯きっと生まれ変わる前の世界では、悪いことだったんじゃない?今だって、それぞれ思い悩んでる。」
ゆら「!?だからみれいもふらんも、様子がおかしかったのでしょうか⋯。」
ろわ「多分お互いそう思ってるんじゃないかな?何にせよ皆、夢で集まる前から心に余裕なんてないんだから。」
ゆら(そうでした⋯。メメさんと出会う前からずっと余裕なんてないです。非現実なことが起きて焦っていたのは確かですが、ぼくも皆も、もっと前から⋯。)
ゆら「…でも、呪いだって分かって良かったです。」
ろわ「え?」
ゆら「きっとずっと、ぼくは何かの所為にしたかったんだと思います。何でこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろうって。
それは全部、生まれ変わる前の自分の所為だったんですね。」
ろわ「⋯うん。結局今も、なるようにしかならないから。」
ゆら「じゃあ、兎に角植物育てるの頑張ります!まだまだ腑に落ちない事だらけですけど、少し楽になりました。ありがとうございます、ろわ!また今度!」
ろわ「うん。」
ゆらが去った後、シュシュがろわに話しかける。
シュシュ「ゆら、何だかんだポジティブシュ!」
ろわ「そうだね。」
ろわ(今の苦しい気持ちを、全部呪いの所為にするなんて発想、今まで持ったこともなかった。)
ろわ「ありがとう、ゆら。」
ゆらは少し心が軽くなり、いつの間にか駆け足で家に向かっていた。
フィフィ「ゆら、転びますフィ。」
ゆら「そうですね。でも、今はなんだか、息がしやすいです。」
ゆら(先輩がメメさんであってほしくて焦っていましたけど、例えメメさんじゃなくても先輩が好きなのは変わりません。運命は自分で見つけなくちゃ。)
かすむ「あ、ゆら〜!」
ゆら「かすむ先輩!」
ゆらは足を止めた。髪を三つ編みで一つに纏めたかすむがやって来る。
ゆら(あれ、なんだか普段より一層おしゃれ⋯そう言えばかすむ先輩、いつも髪留めつけてます…。)
かすむ「ゆらもお出かけ?」
ゆら「お出かけというか散歩してて⋯かすむ先輩は、誰かとお出かけですか?」
ゆら(誰なんて聞かなくても分かってるはずなのに…。何でこんな時に、髪留めをしてることに気づいてしまったんでしょう⋯。)
かすむ「うん。えっと、恋人と買い物した帰りだったんだ。」
ゆら(あ⋯また⋯叶わなかった⋯。)
ゆらの頭はそのことで埋めつくされていて、かすむとどんな会話をしたのか、相手は誰なのか、耳に届いてこなかった。
かすむと別れ、家に逃げるように走った。
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




