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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
紡がれる白昼夢
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100/129

Peace2-4

-秋休み-

学園祭が終わり、数日間は休日となった。

野菜の収穫のお礼にと、師匠が神楽家の別荘を貸してくれたため、電車から船に乗って8人で旅行へと出かける。

着いた時には夕方だったので、その日は恒例になりつつあるパジャマパーティーが始まった。

のえる「皆のパジャマ、夏仕様で統一してみた。」

のえるとふらんがスーツケースを開ける。

るか「まさか全員分持ってきたの!?」

ふらん「当たり前じゃん!こっちの島の方が少し暑いし、リゾート地なんだよ!?服にも拘らなきゃ。」

のえる「のえるとふらんの持ってる服アレンジしただけだから、キツイとかゆるいとかあったら言って。予備で何着か持ってきてるから。」

ゆら「用意周到ですね…!どの服も可愛いです!」

2人が持ってきた服を着ると、ゆらは早速課題に取り掛かる。

ふらん「ゆら〜何で課題やってるの〜!?」

ゆら「実習前なので課題が溜まってまして…。」

ふらん「折角の旅行だよ!?課題なんて片付けて、雑談タイムといこう!」

のえる「そういうふらんは課題終わった?」

ふらん「うっ…それは…」

みれい「のえる…みれいにも刺さるのでやめてください…。」

りおう「刺さった方がいいですよ。課題終わらせてからにしてください。」

ろわ「せれんにも刺さってほしいんだけど…」

せれん「せれんは課題終わってないのがデフォルトだから。」

ララ「そんなんでよく生きてこれたラ…。」

シュシュ「全部先生のサポートのおかげシュ。」

りおうは相変わらず本を読んでいる。

ろわ「新しい本?りおうの家って、どれだけ本があるの?」

りおう「数えたこともありませんが…一人暮らしの部屋に、厳選して3000冊持って行ったのは覚えてます。」

るか「3000!?積み上げて枕できるじゃん…。」

りおう「しませんし寝心地悪そうですよ…。」

みれい「りおうは本に一番お金をかけてますよね〜。ふらんとのえるはやっぱり服ですか?」

のえる「勿論。でもふらんは裁縫道具じゃない?」

ふらん「確かに服よりアレンジする為の布とかレース、ミシンにお金かけてるかも。可愛い布があると、すぐ買いたくなっちゃうんだよね〜。」

ゆら「分かります…!ゆらもよく雑貨巡りしちゃいますし、可愛い雑貨は見てるだけで癒されるので!」

るか「そういう癒され方もあるんだ。」

りおう「るかの拘りと言えば…食べ物ですか?」

るか「食べ物も大事だけど、睡眠が一番大事。眠りやすい枕とか布団とか、香りには拘ってる。」

のえる「じゃあ今抱いてる枕って持参?」

るか「うん。みれいもぬいぐるみ持参してるよね。」

みれい「やっぱりミュミュがいないと落ち着かなくて…。」

ふらん「それ…ミュミュが入ってるの?」

みれい「まさか!分身ですよ!猫のグッズ全部にミュミュの毛をつけて、旅行の時はこうやって分身を連れて来るのです。」

のえる「ちょっと恐怖が…。」

りおう「猫のグッズを抱きしめていたら、ミュミュが嫉妬しないんですか?」

みれい「みれいも最初はそう思ったのですよ!?でもミュミュが『ミュミュがいないと生きていけない奴が好きになったグッズに、嫉妬する意味は何ミュ?』って!!」

のえる「まあまあ。猫って気分屋だし、今は違うかも?」

みれい「そうですかね!?」

のえる「何で嬉しそうなの?」

みれい「それはそうですよ〜!直接聞きたくなってきました〜!」

りおう「そんなことを言われたら、りおうもリュリュに会いたくなってきました。明日は空中庭園に行けるというのに。」

ろわ「花だけじゃなくて、DIYの参考にもなりそう。」

ゆら「ろわ、DIYできるんですか!?」

ろわ「師匠がやってたから、手伝ってたらハマっちゃって。」

ふらん「自分で色んなもの作るの楽しいよね!」

ろわ「うん。それに運動にもなるから、せれんにも手伝ってもらおうと思ったんだけど…」

せれん「やる訳ないでしょ。」

るか「あはは…せれんはやらないよね…。」

せれん「パソコンとゲーム機があれば生きていける。」

のえる「色んな種類持ってるよね。相当お金かけてるんじゃない?」

せれん「当たり前。回線速度も大事だから、怠ってないつもり…だけどここ、夢の中みたいにWiFiない。」

ろわ「別荘でそんなに来ないんだから当然だよ。インターネットには繋がるでしょ?」

せれん「繋がるけど超遅い。」

ふらん「こんなところまで来てゲームしない!今日は沢山語って、明日は空中庭園に行って線香花火するんだから!」

るか「じゃあ早く寝ないと。夜そんなに眠れないけど。」

りおう「移動で疲れましたし、眠れるといいですね。」


-夜-

眠れないせれんは外に出て、海を見ていた。

ろわ「海を見たら、せれんが家出した時を思い出すね。」

ろわが後ろから声をかける。

せれん「そんなのいちいち思い出さないよ。でも…」

せれんの頭に、泣き叫ぶちはるの姿が過った。


-せれんとろわの幼少期-

せれんは何故、親が自分を見捨てたのか分からなかった。

何故島に来たのか、何故親は迎えに来ないのか、分からなかった。

叔父「せれんがした事は、褒められるものではない。けれど、友達を助けたのは、とても勇敢だよ。」

せれん「友達じゃない。」

叔父と叔母は顔を見合わせる。

叔母「それなら、何で命懸けで助けたの…?」

せれん「…なんか腹が立ったから。」

叔母「今はそれだけで十分だよ。きっとこの島で、色々なことを学べるから。」

しかしその夜、神楽家に叔父から電話があった。

叔父「せれん、神楽さんの家に行っていませんか!?」

師匠「いいえ、来ていませんけど。まさか…」

叔父「はい…夕飯を作っていたら、いなくなっていて…ドアが開いていたので、外に出たと思うのですが…」

叔父の声は息切れていた。

師匠はろわを見てから

師匠「こちらでも、探してみます。」

そう言って電話を切った。

師匠「ろわ、少し出かけてきますが、待っていられますか?」

ろわ「…もしかして、せれんが何かしたんですか?」

師匠「…!ろわは鋭い子ですね。どうやら、せれんさんが家からいなくなってしまったようで…」

ろわ「私も探します。」

師匠「こんな夜に出歩くのは、危ないですよ。」

ろわ「りんねさんからは離れません。お願いします。」

師匠「…分かりました。一緒に行きましょう。」

師匠は途中で色んな人に声をかけられ、その度にせれんを探すよう要請していた。

ろわ「りんねさんはこの島の長なのですか?」

師匠「いいえ。どうしてそう思ったのですか?」

ろわ「人に会う度、皆りんねさんに話しかけるので。」

師匠「私がただ、少し長生きなだけですよ。」

ろわ「それって、社会に必要とされた人にしか許されないという…凄い方なのですね。」

師匠「そんなに良いものではありません。今日も生きている、それだけです。」

ろわ「…?」

いつも微笑んでいる師匠の瞳に、少しだけ影が差す。

海辺に沿って歩いていると、波に足をつけてせれんが立っていた。

ろわ「せれん!!!」

師匠「せれんさん!」

ろわと師匠の声にせれんが振り返る。

せれん「何やってんの?」

ろわ「それはこっちの台詞だよ!せれんこそ何してるの!?」

師匠「せれんさん、夜の海は危険です。足元を掬われたら、こちらに戻って来られなくなりますよ。」

せれん「それって、パパとママのところに行けるってこと?」

ろわ「え…?」

師匠「いいえ。寧ろ、一生会えなくなってしまいますよ。」

せれん「そっか。」

師匠の言葉を聞き、せれんはあっさりと浜辺へ戻ってきた。

ろわ「せれん…お父さんとお母さんのところに、帰ろうとしてたの?」

せれん「帰るって言うか、何でせれんだけこの島に置いてかれたのか、聞いてないし。引っ越すならパパとママも来るよね?」

ろわはせれんの目が腫れていること、鼻声なことに気がついた。暫くの間、沈黙が続く。

小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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