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そして覇者になる ~織田信長の物語~  作者: ノーネアユミ
第四章 元亀争乱編

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5 本願寺

 初登場キャラ 


 本願寺顕如 浄土真宗本願寺派の法主

 八月二十日、信長は摂津(大阪)に向けて進軍する。

 敵は三好長逸。足利義昭にとっては兄の仇である。

 なので今回は信長も義昭に出陣を要請した。軍勢の確保も目的であったが、ここで将軍家をのけ者にする理由がない。

 総勢二万を超えた軍は淀川沿いを進んだ。


 摂津は海のそば。

 野田と福島にいる敵の三好軍には、まず松永久秀と三好義継が対応していた。



「戦況はどうじゃ」

「は、それが淀川の河口には州がいくつもあり天然の堀となっております」


 平地であってもかなり攻めづらい地形。


「さすが三好家の居城じゃ。うまい場所に建てよる」


 野田・福島の調略は失敗したが、松永久秀の奮戦で城を落とすことには成功。

 信長も本陣を少しずつ前進させ敵城の堀や入り江を埋め立てさせた。


 根来(ねごろ)雑賀(さいが)から援軍が到着した。

 紀伊半島を根城にするこの二つの勢力は鉄砲の名人だ。

 奪い取った海老江(えびえ)に本陣を移動させた信長は野田・福島城の堀近くに土手を築かせる。(やぐら)を立てれば敵城が射程距離に。

 堺で手に入れた大鉄砲を打ちこませた。

 響き渡る爆音と立ち上る硝煙に敵も驚き、和睦を申し入れてくる。


「ならぬ! ここで三好勢を壊滅させろ」


 四国からせっかく渡海して来た敵を逃すわけには行かなかった。



 しかしその決断は失敗する。


 

 九月十二日、本願寺が信長に対し一斉に蜂起したのだ。


 もちろん信長も宗教勢力には気を配っている。

 本願寺には銭を要求し所領を奪ったが、その時は寺のトップ顕如も特に抵抗しなかった。大人しく信長に従っている。


 それに安心して油断していたのは信長だ。




 本願寺は親鸞(しんらん)が開いた浄土真宗の一派。

 念仏を一向にとなえることから一向宗とも呼ばれていた。

 他の宗派との違いは世俗的なところ。仏教では普通禁止されている肉食と結婚が許可されている。


 そして世俗的と言うことは武装勢力として大名に近い権力や考え方を持つ。



 それでも信長が油断したのは、本願寺と朝倉氏が長年争い続けていたからだ。


 朝倉の支配する越前と本願寺が支配する加賀は国が隣り合う。

 しょっちゅう領土争いをくり返し、将軍に仲介しても仲良くやるのは絶対無理な仇敵同士。


 だから信長としても本願寺がまさか朝倉の味方になるとは予想しなかった。



 どうも浅井が両家の仲を取り持ったらしい。


「織田信長の畿内でのふるまい、目に余りまする。このたびは我らと手をたずさえ、共に戦いましょうぞ」


 本願寺と浅井家の仲は良好だった。姉川の戦いにも多数の信者が参加していたように。


 長政からの誘いを、本願寺を率いる顕如(けんにょ)は受け入れた。


「朝倉に手を貸すのは気が進ませぬが‥承知いたしましょうぞ」


 将軍に説得されてもしぶしぶであった朝倉と本願寺の和睦が、信長を共通の敵とすることで成り立つ。



 信長に新しい敵が現れたのだ。戦況がひっくり返ってしまった。


 三好軍もすぐ本願寺と同盟を組む。



 寺や神社の力は大きい。現代から見ると理解不能なほどに。

 この時代の人々は本気で宗教を信じていたから。


 まだ化学もそこまで発達していないし庶民が通える学校もない。基本となる知識もないまま戦や疫病でどんどん人が死ぬ。

 民衆が頼れるのは宗教くらいしかなかったのだ。


 そして戦乱に対抗するため信者も武器を取り争う。

 寺社はどこもそれなりの軍事力をたずさえていたが、その中でも本願寺は加賀の国を武士から奪い取るほどの勢力をほこった。

 熱心な信者たちは死後に極楽浄土で生まれ変わることを確信しながら戦いに加わる。


 新たな敵の本願寺は、死を恐れぬ兵を大量に動員できる、とんでもない勢力だった。

 優勢だった信長軍が一気に劣勢に立たされるほどに。


 宗教関係は調べるのが超面倒くさかったです。

 あと堺に関する書籍が手に入りません‥図書館だけで探しているのがマズいのは分かっているのですが、歴史物は当たり外れが大きいので読まずに買うことができないのですよ。

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