3 狙撃
念のためキャラ紹介
森可成 信長の部下 蘭丸君のお父さん すぐ死ぬ
蒲生父子 元六角家家臣 織田家が説得に説得を重ねて自派に引き入れた
「上様、恐れ多くも浅井が裏切りました。それがしは岐阜に戻り態勢を整える所存にございます」
信長は京に入ると身支度もそこそこに将軍へ謁見を求めた。
「な、なんと。なぜじゃ?」
「分かりませぬ」
信長はほぞを噛んだ。
信長は苛烈なイメージが強い人物だが、身内を大切にする部分がある。
一度裏切りかけた庶兄や、手ひどいミスを犯した叔父も許され家中で未だ健在だ。
1人だけ弟の信勝を殺しているが、それは信勝が2度も裏切ろうとしたから。
そして長政には掌中の珠である妹お市を嫁がせている。
信長にとっては彼も大切な弟だったのだ。
しかし浅井長政にとってはそうではなかった。彼としては同等な同盟関係を望んでいたのかもしれない。
攻略したばかりの若狭から人質を受け取ると、すぐに信長は帰国を始めた。
軍勢は手元にあるが、空の本拠地を攻められたらたまらない。岐阜城は天下の名城であるが、主力を欠く状態であれば敵も総攻撃してくる危険性が大きい。
「しかし浅井が京に攻めてきたらどうするのじゃ、三好三人衆も恐ろしいというのに」
「一大事がありましたらただちに京に参りますので」
将軍様に止められてもこればかりは無理。
「宇佐山城には森可成、長光寺は柴田権六に任せる」
琵琶湖の南を通りながら要所には家臣と軍勢を残す。浅井軍と朝倉軍が協力して京へ進軍することだけは阻まなければならなかった。
敵が取りそうな手を考え、1つ1つ対処する。
「敵と正面衝突する危険だってあるな」
信長は慎重に軍を動かした。
琵琶湖付近の国人は元からの主である浅井に従う者が多かったが、味方に残った武将もいた。
日野城の蒲生氏である。
元々蒲生家は六角氏の家臣。主の六角氏がポンコツ若殿のせいでピンチになった時さえ見捨てない忠義の臣。
織田方に引き入れる時は信長たちも随分苦労した。
つまり蒲生氏は損得考えず主人を支える脳みそまで筋肉なタイプ。
さらに蒲生氏のあととり息子は人質として岐阜に預けられていた。
人質であっても織田家では教育の機会を与えたようだ。多数の人質を受け取っていた信長は、できさえ 良ければ家臣に迎え入れる気マンマンだから。
息子から待遇の良さを伝えられていた忠義者の父親は迷わなかった。
蒲生の家臣に案内されて織田軍は千種山の山道を急ぐ。
しかしそれでも襲撃はあった。
信長本人をねらう狙撃が。
バンッ、バンっと鉄砲の音が響き、信長の体に衝撃が走った!
鋭い痛みが後から来る。
音がした方向には逃げる男が一人。
「不届き者め、捕まえろ!」
部下に後を追わせたが犯人は捕まらなかった。
撃たれた弾は二発。この時代の銃は連射ができない。おそらく弾をこめた鉄砲を二丁用意したのだ。
五月二十一日、信長は岐阜にたどり着く。その翌日には六角氏が石部城に軍を集めているから、ギリギリセーフだった。
しんがりを任せた部隊もなんとか生還。浅井軍は信長本隊に逃げられたことを知って、しんがり部隊をせん滅せず追撃を止めたのだろう。
松永久秀も大和に戻り守りを固める。
信長は、人生最大のピンチをのり切った。
そしてそれは浅井長政にとって、信長を倒す最大のチャンスを逃したことになる。
織田軍の侵攻に備え居城の小谷城を守るために、長政は美濃との国境近くに砦を築かせた。
「こちらに欲しいな、調略じゃ」
国境付近を守る砦を手に入れれば、信長が小谷城を攻めるための足がかりになる。
敵を引きこむのが得意なのは、話がうまい木下藤吉郎・策略家の竹中半兵衛・地味すぎて敵に警戒されづらい丹羽五郎左長秀。
信長は彼らに次々と浅井方の城を調略させた。
六角承禎の軍は柴田と佐久間に任せる。
竹中半兵衛が新砦を守護する堀ナントカと樋口カントカの調略を成功させたので、信長も浅井長政のいる小谷城に向けて進軍を始めた。
将軍義昭からは「余も行きたいぞよ」とか手紙が来たけど断る。
「将軍様は京で目を光らせていてくだされ。西の三好もいるのですから」
こんな状況で京を空になどできるはずないのだ。
堀と樋口の調略は立中半兵衛の手柄ですが、彼だけに命じられていたのかちょい疑問だったので秀吉と長秀も混ぜてみました。
いろんな場所に調略はしかけまくっていて、半兵衛が担当した刈安と長比が真っ先に乗って来たとかですかね。




