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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
喜悦
1796/1798

23-4 闇は消えても、また


ことが死んだ。山守の地に移り住んだ、新たな民も死に絶えた。もう、誰も居ない。


山守神やまもりのかみは山守の地を閉ざされ、とらわれたおにを導き為さる。禍津国まがつくにへ。



虫も獣も草も花も、全ての隠が姿を消し、鎮森しづめもりは色を失った。けれど、つらいのは今だけ。


山守の地で他とは違う姿になった隠が、残らず人のときを去れば戻る。






ザワワッ。


「そうだね。」


ソヨソヨ。


「楽しみだね。」






鎮森の民は圓洲みつくにで、幸せに暮らしている。



アンリエヌの民になったのだ。もう、この森に戻る事は無い。けれど聞こえる。


幼児の笑い声、歌声がハッキリと。






つらかろう、寂しかろう。」


祝辺はふりべは動かない、動く気も無い。


「エンさまなら、きっと。」






大岩を気の毒に思ったジルが、ふもとの拠点から化け王城に報告した。



和神なぎのかみが清め為さったのだ。再び闇堕ちする事も、闇の道と繋がる事も無い。


けれど放っておけばいづれ、また狙われる。使い捨てられてしまう。そう考えて。






「そうか。」


才をふるえば戻せるが、あの岩は深く傷ついている。


「和様。山守の地は閉ざされ、待っています。とらわれた隠が中津国なかつくにを離れるのを、ジッと。」


けれど、このままではイケナイ。


「ジル。良いと言うまで、山守山やまもりやまに入ってはイケマセン。」


「はい。」






入り組んだ闇の道、地下空洞も消滅させた。山守社やまもりのやしろの北。大岩の下に作られた、あの異空間も。



天獄てんごくからの報告によれば團暴とんぼう、残党狩りが終了。天獄軍が引き続き、大陸不良妖怪の処分を進めるらしい。






大和やまと。」


「はい、和様。」


キリリ。


「クゥン。」 オトモ、イタシマス。


キュルン。


「コレ、清和きよな。」


「あの奥へは、もう行けません。だから天獄を経由して、と御考えなのでしょう? イヌなので飛べませんが、きっと御役に立ちます。」


モフン。






清和は他の使わしめと違い、隠になる前から和に仕えていた。


アンリエヌの新たな一族から主人を守れず、蹴り飛ばされた悔しさ。『もっと強ければ』、『戦える力が有れば』と泣きながら死んだ事を、今でも忘れずにいる。



だから、もう離れない。どんな時も御側に控え、切り刻まれても戦う。


和様を守り抜くと決めたんだ。隠になった今なら、それが叶う。






「大和さま。闇は消えても、また広がります。」


「それは、そうだが。」


「私には禍津国で得た闇耐性、素戔嗚尊すさのおのみことに鍛えられた精神力。鋭い嗅覚、聴覚。一吠えで闇を開く力も有ります。」


えっへん。


「和様を背に乗せ、走る事だって出来ます。」


キラン。


「ふふっ。頼もしいわね。」


和に撫でられ、御満悦。


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