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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
喜悦
1797/1798

23-5 隠による


やまと中津国なかつくに、人の世。中の東国ひがしくに、霧雲山の統べる地。


山守の地は閉ざされているが、なぎは化け王で神。その気になれば何だって出来てしまう。






「頼もう!」


バーン。


「なっ、和神なぎのかみ?」


山守神やまもりのかみ。使わしめを残して、山歩きですか。」


平良ひらの烏も連れず。


「いいえ。この地にとらわれたおに合繫谷あつぐだにへ、と思っているのですが。」


難しそうですね。


「纏めて清め、つぼかめに入れて運びましょう。」


楽ですよ。


「そんな壷や甕、この地には・・・・・・。」






神は人の世の物に触れられない。浮かせて動かせるが、人を驚かせてしまう。


そもそも見える目が無ければ見えないし、聞こえる耳が無ければ聞こえない。そんな存在なのだ。



アンリエヌ化け王は皆、はじまりの一族。


人とは違う生き物なので、人には使えない力が使える。それが才。収集の才を生まれ持つ化け王に、出来ない事は無い。


天界で神格化した和なら、猶更なおさらの事。






「おや、イケマセンね。憎しみをいだき、闇堕ちした隠が混じっています。」


山守の地に移り住んだ新たな民は、ことによってバケモノにされた。と言っても過言では無い。


禍津国まがつくにへと御考えのようですが、滝壺に閉じ込められるダケですよ。」






合繋谷には右牙滝うきだき左牙滝ひきだき、二つの滝が落ちる。その滝壺は大きく、清められずに飛び込んだ隠が閉じ込められるのだ。


出られずに。






「閉じ込められた隠は、滝に打たれて清められる。そう聞いたのですが、違うのでしょうか。」


「隠による、としか。」






清和きよなは和から預かった、山守の守り袋を首からげていた。


だからだろう。和が迎えに来ると信じ、ジッと絶えられたのは。



もし、あの守り袋を提げていなければ。


考えるマデも無い。闇堕ちし、憎しみをいだいていただろう。






「山守の新たな民を、あの地に囚われた隠を救いたい。助けたい。そう、お考えなのですね。」


「はい。」






山守の民は多鹿たかのカヨに、呪いの種に滅ぼされた。根絶やしにされたのだ。



死んで隠になった山守の民は、鎮森しづめもりから追い出される。追い出され、戻るしかなかった。


闇が噴き出す山守の地へ。






「鎮森はまだ、新たな民を。」


受け入れようとシナイ。






祝辺の食糧事情は改善された。とはいえ、良くは無い。


山守の地から人が消えたのだ。農作物を分け与える事は無いし、何とかなる。そう思われていた。






「和神。祝辺の地は、呪われているのでしょうか。」


幾度いくたび、清めても変わらない。


「祝辺の民が闇を抱えた。という話は聞きませんが、山守の民を見ているようで。」


気になってしまう。






祝辺の民に限った事ではない。


どこかの民を養っている、守っている。そう思う事で保たれていた『何か』が崩れ、表に出たのだ。



本性が。


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