23-3 悪かった、謝る
異は、祝辺との関わりを避けていた。
力を求めて呪いの種、カヨを取り込もうとするも逃げられ、オビスを狙う。それも叶わぬと知り、開いた。
山守のアチコチに、闇の道を。
「急げ。」
脱獄に成功した異は、八から力を奪う。
「入ってろ。」
己の代わりに放り込んだのが、祝辺の守だと知らず。
「さぁて、忙しくなるぞ。」
異が開いた闇の道。その一つが山守社の北で砕けた大岩で、闇の噴き出し口になる。
アレを閉ざせるのは、闇に魅せられた大妖怪くらいだ。そう高を括り、飛び出したのだが・・・・・・。
「あたり、か。」
と、とつ守!
「ひとつ守。」
ゲッ。ひとつ守まで、連れてきたのか。とつ守め。
強い清めの力を生まれ持つ初代、祝辺の守。
紙を漉き、式と名付けた隠を操る力を持つ一七五代、祝辺の守である夏がヤラカシテから心労が絶えない。
「ハァァァ。」
ダランと腕を垂らし、近づく。
「叩き込むか。」
怒りが募るにつれ顔が青ざめ、目が据わってくる。そんな守に、ひとつ守に怯える異。
闇の道を開いた時、ドコかと繋がったのだろう。飛び出た瓢箪が落ち、割れて人虎が現れた。
『使える』と思い、囁く。『闇で弱った神を取り込めば強くなれる』と。
「悪かった、謝る。だかぁぁぁっ。」
ひとつ守に清められ、絶叫。
「まだ、終わっていません。」
とつ守の目が光る。
「分かっている。」
ひとつ守が膝をついた。
『死んで堪るか』と目を剝き、ポイと投げ出された八に異が入り込む。
その瞬間。
「ヴギャァァァ。」
八ごと清められ、消えて無くなった。
「ヨリ。八を、喰隠へ。」
「はい、とつ守。」
ひとつ守がパタリと倒れ、動けなくなった。代わりを務められるのは、緑の力を生まれ持つ隠。とつ守だけ。
鎮森に囲まれている祝辺で、とつ守が倒れる事は無い。何が起きても、どんな時も力を揮い続ける。
「ヴァッデ、グダザイ。」
清められ、透けてしまった八が手を伸ばす。
喰隠は人の世、喰谷山の中央にある隠の刑場。
熊が多いのは人を食らい、狩られた獣の檻だから。
飢餓状態ゆえ頻繁に共食いが行われ、常に呻き声が聞こえる。
「喰隠ダゲバッ。」
止めて!
「・・・・・・ギャァァ。」
スケスケなのに見えるのだろう。飢えた熊の隠が八に近づき、肉を食い千切る。グチャグチャ、ビチャビチャと音を立てて。
並の隠なら、それでオシマイ。けれど八は祝辺の守。幾ら食われても、暫くすれば元通り。




