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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
喜悦
1794/1796

23-2 救いたいのに


オビスは口減らしのため、山守神やまもりのかみささげられた。


山守の村長のせがれとして生まれ、死んだ幼児おさなごむくろに、闇堕ちした山守のおにが入り妖怪化。


鎮森しづめもりに入ったのは山守の民と戦い、勝つため。食べ物を探し、力を付けるため。




赤い顔に白い髪、ギラついた目に曲がった角。大きな牙が二つづつ生え、裂けた口から出ている。そんな幼児にジロは、オビスと名付けた。


羊の角に似ていると言って、優しく撫でながら。




鎮野社しづめののやしろ祝女頭はふりめがしらからは『赤い顔の角持ちさま』と呼ばれているが、オビスが守るのはジロの子孫。鎮野しづめのでは無い。


そんなオビスがなぎに仕えるのは、ジロの孫だから。



人で無くなっても、その姿が変わっても和は和。






社守やしろもりなんだ。」


和社なぎのやしろを守るために、ココに居る。






オビスがくちびるを噛み、うつむく。


シロがソッと頬をめ、なぐさめた。一隠じゃナイよ、と。






「もう、そろそろか。」


木でも岩でも思いをいだく。その思いが強ければ人に伝わり、まつられるのだがもろかった。


和神なぎのかみに清められたのだ。闇を抱いてもちる事は、もう無い。」


とはいえ、このままではいづれ。


「はぁぁ。」


ひとつ守が溜息をき、祝社はふりのやしろの外へ。


「また増えた。」


山守の地に縛られた隠のたましいが、山守と祝辺のさかい彷徨さまよっている。


「鎮森へも行けぬのか。」




助けを求めるように、閉ざされた空間を叩いている。そのたびにジュッ、ジュッと焼かれるのに。




「まとめて清めるには、足りない。」


だからと捨て置けば、闇に呑まれてしまう。


「急がせるか。」




祝社に戻り、夏を呼び出す。山守へ式を飛ばし、探らせるために。






ザワッ。ザワワッ。



不毛の地となった山守を鎮森が呑み込む。少しづつ、少しづつ。



「見つけた。」


祝辺のひとやに忍び込んだが、ニヤリと笑う。


「山守の新たな民、こと。ココから出たいか。」






山守の新たな民は祝の力を持つ子が生まれたと喜んだが、闇を思いのまま動かし、影を縫うことで操る呪いの力を持つ妖怪と人の合いの子。


それが異である。



強い恨みや憎しみに突き動かされ、姿を見せられる獣や人の隠が一つの骸に入り、生まれた妖怪が祝人はふりとの孫娘をおそってはらませた。


生まれた幻妖は三日で嬰児から幼児に成長。その容姿は恐ろしいホド整っており、山守に住み着いた男たちを骨抜きにする。






「な、にを。」


祝辺の獄に放り込まれ、弱るばかりで動けない。そんなおのに近づくのが、良い守であるワケがナイ。


「もう一度ひとたび、闇の道を。」


ハッ。何を言い出すかと思えば、そんな事か。


「ココから出せ。」


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