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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
喜悦
1793/1795

23-1 あの頃へ

新章スタート!


 山守社の北で砕けていた大岩が倒れた。深い嘆きが圓洲にまで届き、不毛の地となった山守を鎮森が呑み込む。


 大岩は願う。山守と祝辺が割れる前、土に埋もれていた頃に戻りたいと。


 喜悦編、はじまります。



大陸から伸ばされた闇の道は、不法侵入した大陸妖怪ごと閉鎖。


山守の地に建てられたやかたも、地下空洞と共に消滅。






「どうして。」


山守の祝が、アキが務めを果たしていれば違った。


「どうして。」


地が割れて、山守と祝辺はふりべが離れる事も無かっただろう。


「どうして。」


山守から闇が噴き出す事も、鎮森しづめもりたみ他所よそへ移る事も無かったハズだ。






その昔、山守社やまもりのやしろいただきに在った。けれど山守と祝辺を分断した、あの一件で倒壊。


再建したのは山守の民ではなく、祝辺の守。選ばされたのは鎮森のきわ村外むらはずれ。



鎮森の民は山守に、山守の民に殺された。祝の力など無いのに有ると、隠し持っていると言われて。生きたまま。






「苦しかった。」



地が割れる前はにぎやかだった。ほとんど埋まっていたけれど、幸せだったんだ。


小さな獣が歌ったり、駆け回ったり、鳥が羽を休める事もあったな。



山守の民は地が割れる前から、ずっと変わらない。祝辺の民に、祝辺の守に頼りきり。


だから風通しが悪く、日当たりも悪い崖下に落とされたんだ。




「カヨ。」



大地震で投げ出され、離れた所に落とされた。砕ける事は無かったが、ドゴッと割れた。


割れて出来たほらに住み着いたのは、山守の民にさらわれた多鹿たかの娘。



呪いの種になり、山守の民を根絶やしにする事だけを願った、あわれな娘。




「寂しい。」



この地に落とされ、はじめは嘆いた。寂し過ぎて。


森の中、開けたトコロに落とされたのにと、繰り返し。



雨や風をしのぐ事は有っても、住み着く事は無い。そんな小さな生き物を引き止める力も、閉じ込める力も無かった。






ゴトッ。






山守社の北で倒され、割れた大岩が倒れる。


思い出したのはカヨと、幼児おさなごの声。



洞に住み着いたカヨが琴を弾きながらティのうたを歌い、鎮森の民が聴きに来る。子が歌い、踊り、笑う。


はじめは閉じ籠っていたが、洞から顔を出すようになった。そのうち手を振ったり、岩の上で日向ぼっこすることも。


人は近づかなかった。けれどおには、鎮森の民は違った。違ったのに。






「戻りたい。」


あの頃へ。






深い嘆きが鎮森に広がり、伝わった。祝社はふりのやしろの南、冀召きよしにある和社なぎのやしろへ。



「わかるよ。」


オビスが呟く。


「でも、どうすれば良い。」


使い捨てられたのは、壊れても朽ちない大岩。残された道は・・・・・・無い。


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