22-40 蠶贓は知らない
溶解死したのは團暴の生き残り、虎杖。
仙術をかけたのは奇羅の倅。狐と羗の合いの子、捌角。
「團暴のが山越えしニャいよう、アレコレしていた。」
コクン。
「雷獣を向かわせた。」
コクン。
「死んだのは團暴、構成員だけ。」
コクン。
「確かか。」
もしアンリエヌの民が、人でも魔物でもアンリエヌの民が命を落としていたら。
「どど、どうしよう流。もしアンリエヌの民が死んでいたら、ててっ。天獄が破産する。消滅するぅ。」
知るか。
「待って。じゃなくて、お待ちください。」
「ニャんだい。」
「化け王は中津国に、社を御持ちだよね。」
やまと中津国、人の世。霧雲山の統べる地、山守山。鎮森の中にある冀召、その中に社がある。
けれど社を、国津神の社を経由しなければ辿り着けない。
「渦風社を」
「断る。」
即答。
「そんなぁぁ。」
事件の真相を究明することは困難になった。
けれど、御隠れ遊ばした。いや、そう思われていた神神が御戻り遊ばしたのだ。数多の神が御力を揮われ、大陸に続く道が閉ざされたと聞く。
それも全て。
「和神は使わしめと、アンリエヌへ御戻り遊ばした。」
そう、なの?
「天獄からなら、出せるだろう。使い。」
へっ。
「和神は西の果て、天界で神格化なさったんだ。御持ちだろう。天界に、巨大神殿を。」
「ありがとう、流。」
急に元気になった神獣、白澤。天帝の元へ駆ける。
和を『バケモノ』呼ばわりした大陸妖怪、蠶贓は知らない。いつも食べている桑の葉が、アンリエヌからの輸入品であることを。
アンリエヌは山国だが、飛び地を有している。
ムルピア海東部、アルティア海南部に浮かぶタルシェ。冥府、セパール。天界、ティーラ。やまと禍津国、圓洲。
何れも驚くホド豊か。
対象は人類ダケでは無い。神サマ仏サマ、その眷属。魔物に妖怪、その他いろいろ。
高級品に慣れれば戻れない。
低級品では満足できない、受け付けない体になってしまったから。
「♪ アチコチで噴き出した 深く濃い闇 嘆いても消えないから 離れてみよう♪」
はじまりの一族は、生きるために命を吸う。
嗜好品として血を飲んだり、食事を楽しむこともある。その多くは料理好き。
和は育ち盛り。チョッピリ食いしん坊。赤飯を楽しみにしながら、化け王城の階段を上がる。
日課の体操をするために。
「ふぅ。今日も良い天気。」
使わしめと共に、塔の上で深呼吸。
「♪ 手を上げフリフリ、もう一方もフリフリ。お尻フリフリ、膝を曲げピョォン♪」
ジロの残念ソングを歌いながら。
深淵編でした。喜悦編に続きます。お楽しみに!




