22-39 確か昔、言っていたね
和が赤飯に胸を躍らせていた、その時。
「流に引っ掻かれるぅぅ。」
神獣、白澤が頭を抱える。
「何が起きた。」
四瑞、大騒ぎ。
虎杖から引き出した情報は『蠶贓』。山守の地にあった建物、地下空間を含め『異には建築不可能』。
『雷獣』、『腹を割かれ、焦げていた』。
「面倒な事になった。」
諦聴が呟く。
少し間を置いて『絸緝』。『異能力』、『不老不死』。そして最後に、『奇羅』。
「もし奇羅が生きていたら。」
「いや、白澤。ソレは無い。」
「がな、鳳凰よ。」
「落ち着いて、良く考えろ。あの化け王に処分されたんだぞ。」
「そうだ、そうだ。」
麒麟が頷く。
虎杖が團暴の事を考えた瞬間、消滅した捌角が仕掛けた罠が、闇が広がる。
溶解死したのだ。骨も、毛の一本も残ってイナイ。
事件の真相を究明することが困難になり、白澤と愉快な仲間たちが怯える。
「あぁ、そうかい。そうかい。」
ニヤリ。
「この感じ、大陸のだね。」
ドキッ。
「狐の臭いがする。」
ヒッ。
「羗も混じっている、となると。」
・・・・・・。
「白澤。」
「ヒャイ、流サマ。」
「確か昔、言っていたね。羗の妖怪から魂を引き剥がし、牢に放り込んだと。」
「ヒャイ。」
「その抜け殻、燃やしたのは仙狐。」
「ソのトおリ、でス。」
「怕だね。」
ゴクリ。
「そんな事が出来る仙狐は、あの時。」
「ヒャイ、怕デす。怕ガ奇羅ノ抜け殻ヲ、骸を狐火デ焼キまシタ。」
もし桃源に、仙弧の里に流が。猫又が行けばドウなるか、なんて考えるマデも無い。
血の雨が降るぞ。
「流サま、お願イしマス。どウか穏便ニ。」
そう言って白澤が、喉を見せた。
死を覚悟した神獣、白澤。
息を呑み、見守る四瑞と霊獣。
「安心しニャ。桃源へ行く気も、怕を問い詰める気もニャいよ。」
ホッ。
「でも化け王。」
ドキィン。
「和神はアンリエヌの民が傷つくのを、酷く嫌われる。」
虎杖と共に瓢箪から出たと思われる雷獣は、化け王に保護されたのだろう。害が無いと判断されるまで、外に出される事は無い。
雷獣に結ばれていた、切られた糸も残っているハズ。




