22-37 面倒なコトになった
チッ、面倒なコトになった。あのガキ、生き神でも妖怪でも無い。
バケモノだ。
「はぁ。」
最後の一頭だったのに。
「まぁ良い。」
また攫えば良いんだ、雷獣なんて。
「ソレにしても。」
あの力。
糸を切られた。雷獣を奪われた。腹が立つ、のに震えが止まらない。怯えているのか。
あの扉を破壊して、この贓に現れるのを。
「ハッ、ない無い。」
どんなバケモノでも不可能。
「切った糸が伸びる先は、この贓では無く黄泉。」
クックック。
「沈め! そして消えろ。バケモノ。」
和は人として生まれたが、はじまりの一族。それも王族である。
先代アンリエヌ化け王、カーから全てを継承。加えて豊雲神の鏡、光の珠と剣、祝の力。
それも先読、守り、清め、緑と複数の力を生まれ持つ愛し子。
カーは全ての才を収集し、大王から王座を奪った歴代最強と謳われた化け王。そんな王が崩御前、行ったのが和との養子縁組。
誕生前にも拘らず承認されたのは、他の王族が賛成したから。
「バケモノにバケモノって言われちゃった。」
シュン。
ドコのドイツだ! ウチの和を泣かせたのは。
「和様。こちらティーラ産の白桃、水蜜桃、黄桃をフンダンに使ったタルトレットで御座います。御賞味ください。」
ヴァイスが微笑む。
「ありがとう。頂くわ。」
幸せそうにタルトを食べる和を、ニコニコしながら見守る六忠臣。その心は一つ。
アルバとネージュがスッと姿を消し、向かったのはアンリエヌ中央に建つ離宮。資料保管庫に納められているのは、古今東西の文献。
その蔵書量、言うまでもなく世界一。
「あった。」
金目白毛の梟の魔物、アルバは魔物文官では一番の古株。
「こちらも見つけた。」
姿を変えられる古狐の魔物、ネージュは外交を担当。化け王城から出ないアルバより、外の世界を良く知っている。
「さぁて。」
アルバの目が光る。
「始めるか。」
ネージュが予知を開始。
妖狐はドウか分からないが、狐の魔物には変事を予知する力がある。予知の才には劣るが、その能力。ナカナカのモノ。
特に戦いや物騒な事が始まりそうな気配には敏感で、これまで多くの民を怪しまれることなく救出。亡命を希望する優秀な人材、希少生物などを保護。
「ウム。」
アルバが目を細め、外交官が持ち帰った竹簡を差し出す。
「やはり、そうか。」
ネージュが広げたのは、天竺冥界から献上された凍石製の護符。




