22-36 見た事は無いが
山守の地から闇が噴き出し、溢れた。
その前に生まれたのか、そうなってから生まれたのか。そんな事ドウでも良い。
異を問い詰めても答えるとは思えないし、判ったトコロで何かが変わるとも思えないから。
「あおっ。」
あの狐、悪い事したな。
山守神の使わしめ、シズエに心の中とはいえ、謝罪した事で生えた。和に砕かれ、ツルッツルになった歯茎からニュニュニュっと。
歯が。
「しゃべれる。」
ぱぁっ。
「そのようだね。で、首領は誰だい。誰の命令で動いた。言いニャ。」
猫又の大妖怪、流に睨まれドキリ。
そうだ、考えろ。オカシ過ぎるだろう。
瓢箪の中から出されて、いろいろ聞かされて思った。利用できると思った、ら、利用されたんだ。
情けない事に。
あの建物、半妖が建てたにしては出来過ぎている。アレは・・・・・・そう、はじめフニャフニャしていた。
というコトは、あはは。そうか、そうか、そうだったのか。
見た事は無いが聞いた事は有る。
「蠶贓。」
絸緝の首領で蠶王。
「下級の分際で。」
ギリリ。
虎杖は中級妖怪だが、下の下。下級妖怪に限りなく近い。
そんな中級が下級を嘲笑う。
常日頃、見下す相手にシテヤラレタのだ。腹が立つのだろう。けれどハッキリ言って、団栗の背比べ。
似たようなモノ。
「あぁ、そうかい。」
個体数を管理する前の天獄から、オスとメスを攫ったのか。成獣か幼獣の。
「エッ。」
猫、それも猫又の大妖怪。考えるマデもなく上級、いや特級妖怪。
消される。引き裂かれる、殺されてしまう。
「もっ、申し訳ありません。」
虎杖が平伏し、喉を見せた。
服従の意思を示すも、向けられるのは侮蔑の眼。
同情では無い。
「アタイ、何ってった。」
アッ。
「大陸妖怪がナゼ山守の地に、根城を構えられたのか。」
そ、れは。
「アレ、半妖には無理。そうだろう。」
コクコク。
「頷かず、言え。」
「はい、その通りです。異には不可能と思われます。」
キリッ。
そうなんだ。あの建物、半妖にも下級にも建設不可能。なのに建っていた。闇堕ちした大岩が意思を持ったのか。
ソレでドウにかナル、とは思えない。
あぁ、考えれば考えるホド腹が立つ。
ナゼ下級妖怪にアレだけの、地下に異空間を広げるなんて事が出来たんだろう。
「雷獣。」
そうだ、居た。瓢箪から出された時、地下空間に。
「腹を割かれ、焦げていた。」
それだけ大きな物を、離れた場所から。」
「というコトは、アレか。」
あの空間、蠶贓んトコに繋がっているのか。




