22-31 大物になるカモね
特質系洗浄で元に御戻り遊ばした山守神、小さな器を手に和山社へ。
人の世に残ったシズエは、グッチャグチャになった社の掃除に精を出す。
「尋ぁぁ。」
「ゲッ。」
「何が『ゲッ』ですか。山守に飛ばされてから今まで、何をしていたのでっ。」
九尋の社憑き、鹿食が嘴を開いたまま固まった。
「申し訳、御座いません。」
パサッと翼を畳み直し、首を垂れる。
鹿食は犬鷲の妖怪。好き嫌いが激しく、鹿肉しか口にシナイ。
九尋山の緑が保たれているのは、鹿食の働きによるトコロが大きい。
尋が戻らず、ドコに居るのか分らない。その事に御怒り遊ばした九尋神の仰せに従い、山守山へ飛んできたのだ。
「コレッ。」
逃げようとする尋の尻に、思い切り嘴を刺す。
「イタァァイ。」
痛いよね。
「和神、ありがとうございました。李、美味しかったデス。また食べたいッタァ。」
尋、涙目。
「山守と祝辺で見聞きした事、残らず御伝えなさい。」
「はい、和神。」
キリッ。
「では、これにて。」
ニコッ。
「鹿食、優しく運んでぇぇ。」
尻を掴まれ、急浮上。ぷらんプランと運ばれる。
「痛そう。」
清和が呟き、日和が頷く。
異が開いた闇の道は霧雲山系、山守山だけではナカッタ。
人は闇を抱きやすい。霧雲山の統べる地で暮らす、戦とは縁のない人であっても。
「先ずは、雷獣。」
「ミャァ。」
「飼い猫なの?」
「ミッ。」
キュルン。
團暴一派に不法飼育されていた雷獣には、闇の力で紡がれたと思われる糸が結び付けられていた。
それを炎の才で焼き切り、回収。
「取り敢えず、確保。」
首根っこを摘まみ、保存容器の中へポイッ。
「隔離空間だ、死ぬ事は無い。」
と言いながら蓋をする。
保存容器の中には水と食料、寝床となる麦藁が敷き詰められていた。
中からは外の様子が分からないが、外からは丸見え。そうとは知らず欠伸して、ユッタリと寛ぐ。
「大物になるカモね。」
クスッ。
「和様。その雷獣、飼われるのですか。」
和音は思った。
和様はツルツルの蛇より、モフモフの獣が御好き。雷獣は耳が丸く、顔が小さな獣。モフモフが増えれば増えるホド、ナデナデが減ると。
「雷獣は天獄で飼育されている、珍しい獣なの。異が開いた道を閉ざしたら、天獄に送り届けるわ。」
ニッコリ。




