22-29 詫びる相手
妖艶な九尾の白狐、尋は元気いっぱい。
若返りの実を食べた、と思い込んでいるので御機嫌。
「康が寝てる。」
ってかココ、どこ。
「この感じ、覚えがあるわ。天津神の御力ね。」
鋭い。
「あっ、思い出した。和神。の、使わしめ?」
日和を見て、コテンと首を傾げる。
そうだ、思い出した。
九尋山を見回って、社に戻って直ぐよ。山守から闇が溢れたと知ったのは。九尋神は御気が短いから、『調べてコイ』って投げ飛ばされたのよねぇ。
死ぬかと思ったわ。
祝辺に落ちたから良かったケド、もし山守に落ちていたら。ブルルッ。考えたダケで恐ろしい、泣く。
はぁ。広滝の上から見下ろした、あの禍禍しさ。忘れたくても忘れられない。
「何があったのよ、シズエ。サッサと起きて答えなさい。」
プニプニ。
「痛くないケド止めて。」
シズエが目を覚ました。
「ヒッ、ヒッ、ヒッ。」
歯を砕かれ、喉から手を入れられたダケでもキツイのに、流れるように蹴り上げられた。腹を!
「ひいあう、あい。」 シニタクタイ。
死ぬシヌしぬぅ。このままでは、きっと死んでしまう。
「詫びろ。」
我が悪かった、ごめんなさい。本当にごめんなさい。もう、しません。
謝った。
謝ったのに痛い、痛いよ、耐えられない。助けて、助けろ。お願いします。
「残りを出せ。」
と言いながら這い蹲う虎杖を蹴り上げ、その目に指を突っ込む。
「あぁ、違った。」
と言いながら懐を探る。
「あった。」
後から取り込むツモリだったのだろう。
柵が描かれた木片には、山守神の御魂が隠されていた。
「この手の品は術者の。」
チラリ。
「あぁぁっ。」
頭をブンブンと横に振りながら後退る虎杖。
「もう見えるようになったのか。」
濁った眼球、あふれる涙。
「言え。」
必要なのは虎杖の言葉。
口に出さなければイケナイが、歯を全て砕かれている。どう考えても難しい。けれど言わなければ、術を解かなければ殺されてしまう。
「※△✕◇。」 カイジョウ。
カチリと鳴って、木片が割れた。
「あう、けぇぇてっ。」
助けてください。
「詫びる相手が違うだろう。」
・・・・・・。
「異に渡したな。大陸の、爆ぜる筒を。」
ビクッ。
「『強い力を得られる』とでも言われたか。」
ドキッ。
「時間切れだ、入れ。」
グッと押し込まれ、蓋をされたので動けない。
苦しくて息が出来ない。クラクラする。




