22-27 安心できません
空間転移用に繁殖させられた、温もりを知らない雷獣は怯えた。
死ぬ前に一度で良い、撫でられたい。柔らかい寝床でグッスリ寝て、美味しい餌をタップリ食べる。
そんな、夢のような生活を送りたい。
ツンツン。
「ニャァ。」 ジャマスルナ。
天帝、神獣、瑞祥、半神、霊獣。いろんな仏様、お願いします。
殺されるために生まれ、死を待つ。そんな哀れな雷獣を、どうか御救いください。
ツンツン。
「ニャァァ。」 ジャマスルナッテ。
地上や天獄の話を聞きたい。
そう思っても聞けない、孤独な雷獣で御座います。
「清和、こちらへ。」
「はい、和様。」
雷獣の腹から取り出されたのは、やまと中津国から御姿を消しなさった神神の御魂。
「ニャニャッ。」 マサカ、アレハ。
現実逃避していた雷獣が慌てる。
ゲェロ、ゲロゲロゲェロしたブツが光っている。どう見てもピッカピカだ。あんな事が出来るのは、かっかっ、神だけぇぇ。
どうしよう、消される。潰される。ブッチブチに引き千切られて、丸めて魚の餌にされてしまう。
嫌だ、死にたくない。
「ホッ。」
「えっ。」
「あっ。」
洗浄してから所有神へ戻し、中津国へ御連れする。それが清和に課せられた仕事。
一柱づつでは効率が悪いし、なにより疲れる。
「アオーン。」 ミチヨ、ヒラケ。
清和が遠吠えで空間を裂き、神神を先導。
何だ何だ、騒がしい。ってか明るくねぇか。
オイオイ雷獣、見張りくらいシッカリしろよ。逃がしてんじゃねぇよ。
「ふっ。」
和が鼻で笑い、ワラワラと集まった大陸妖怪を炎の才で焼き払う。
「ニャッ。」
虎杖は思い出す。雷獣の腹に隠す前に喰らった、神の御魂を。
理由は分らないが、まだ取り込めていない。奪われる前に逃げなければ、取り返されてしまう。
せっかく生き延びたのに、大陸に戻る前に死んで堪るか! と掴んだのは、暴れる雷獣の首。
締め上げようとした、その時。
「逃がさぬ。」
雷獣を裂いて逃げようとした人虎を捕縛。
「持っているな。」
ドキリ。
「返してもらおう。」
その腹から神気を感じ、牙を砕いてから手を突っ込んで掴み出す。
虎杖が食らい付き、飲み込んだ山守神の御魂を。
「安心しろ、生かしてヤル。今はな。」
それ全然、安心できませんって。




