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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
深淵
1779/1780

22-27 安心できません


空間転移用に繁殖ぞうしょくさせられた、温もりを知らない雷獣らいじゅうおびえた。



死ぬ前に一度で良い、撫でられたい。柔らかい寝床ねどこでグッスリ寝て、美味おいしい餌をタップリ食べる。


そんな、夢のような生活を送りたい。






ツンツン。


「ニャァ。」 ジャマスルナ。






天帝、神獣、瑞祥ずいしょう、半神、霊獣。いろんな仏様、お願いします。


殺されるために生まれ、死を待つ。そんな哀れな雷獣を、どうか御救いください。






ツンツン。


「ニャァァ。」 ジャマスルナッテ。






地上や天獄てんごくの話を聞きたい。


そう思っても聞けない、孤独な雷獣で御座います。






清和きよな、こちらへ。」


「はい、なぎ様。」






雷獣の腹から取り出されたのは、やまと中津国なかつくにから御姿を消しなさった神神かみがみ御魂みたま






「ニャニャッ。」 マサカ、アレハ。


現実逃避していた雷獣が慌てる。






ゲェロ、ゲロゲロゲェロしたブツが光っている。どう見てもピッカピカだ。あんな事が出来るのは、かっかっ、神だけぇぇ。


どうしよう、消される。潰される。ブッチブチに引き千切ちぎられて、丸めて魚のえさにされてしまう。



嫌だ、死にたくない。






「ホッ。」


「えっ。」


「あっ。」






洗浄してから所有神へ戻し、中津国へ御連れする。それが清和に課せられた仕事。


一柱ひとはしらづつでは効率が悪いし、なにより疲れる。






「アオーン。」 ミチヨ、ヒラケ。


清和が遠吠えで空間をき、神神を先導。






何だ何だ、騒がしい。ってか明るくねぇか。


オイオイ雷獣、見張りくらいシッカリしろよ。逃がしてんじゃねぇよ。






「ふっ。」


和が鼻で笑い、ワラワラと集まった大陸妖怪を炎の才で焼き払う。


「ニャッ。」






虎杖こじょうは思い出す。雷獣の腹に隠す前に喰らった、神の御魂を。


理由は分らないが、まだ取り込めていない。奪われる前に逃げなければ、取り返されてしまう。



せっかく生き延びたのに、大陸に戻る前に死んでたまるか! と掴んだのは、暴れる雷獣の首。


締め上げようとした、その時。






がさぬ。」


雷獣を裂いて逃げようとした人虎を捕縛。


「持っているな。」


ドキリ。


「返してもらおう。」






その腹から神気を感じ、牙を砕いてから手を突っ込んで掴み出す。


虎杖が食らい付き、飲み込んだ山守神やまもりのかみの御魂を。






「安心しろ、生かしてヤル。今はな。」


それ全然、安心できませんって。


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