22-24 似ているが違う
何だろう、この光は。あたたかい。
山守神の御力、ではナイな。
「戻ったか。」
「和神。」
一命を取り留めたシズエが見開く。
起き上がろうとしたが、思うように動けない。
「そのまま。」
「はい。」
「飲みなさい。」
ズボッと吻から喉の奥に、清め水が注ぎ込まれた。
「はぁ。」
五臓六腑に染み渡るぅ。
山守神、シッカリなさいませ。いつまで私の尾に、御顔を埋めて御出でなのですか。
・・・・・・あ。
「和神。山守神が闇の愛し子、異に攫われました。」
そう言って気を失う。
「日和。シズエを、お願い。」
「はい、和様。」
優しく撫でられ、ウットリ。
麓の拠点から山守社前に戻った和が、スッと目を細めた。
眩しい? いや違う。気付いたのだ。
北方から漂う、ネットリと纏わりつくような妖気に。
「うわぁ。」
清和が和音を見上げ、感嘆の声をあげた。
「和様、和音の腹が黒いです。」
アワアワする清和を撫で、微笑む。
清和は和音の『心根が良く無い』とか、『悪巧みを抱いている』と思ったワケではナイ。
見たままを言ったダケ。
「そうね。でも、ほら。」
首に巻かれた布には、清めと守りの力が込められた珠が付けられている。
「光の力。」
取り込んだ闇の消化を助け、輝く。
溢れた闇は全て、和音の腹に納まった。けれど、まだ淀んでいる。
それら全てを喰らい、毒に変えるまで半時。一時間といったトコロか。
「清和。」
「はい、和様。」
山守社の北。かつて大岩があった場所に、見慣れない屋敷が建っている。昆虫を含め、動物の気配が無い。
気味が悪いホドの静寂につつまれた異空間。
考えるマデもない。アレは大陸、破落戸妖怪が使う術。團暴の生き残りか、新興勢力か。
何れにせよ看過すべからざる問題。
「冥府の闇?」
似ているが違う。
「人の世と隠の世の境。黄泉平坂に近い場所。」
「和様、そのような場所が。」
どうして中津国に。
校倉造だが三つ、コの字型に並べて建てている。
視線を遮るように植えられたのは牡丹。大輪の花は紅紫、花托に囲まれた基部は深淵のよう。
食肉植物と思われる。




