22-23 目にも留まらぬ早業で
九尋神の使わしめ、尋の血液を調査。
結果、山守神の使わしめ、シズエのものと適合すると判明。
「手術を開始する。」
「ちょっと待ったぁ。」
一時的とはいえ考える事を放棄した尋、再始動。
「待たぬ。」
ズボッと吻に医療器具を填められ、麻酔をかけられた。
「ほぇぇ。」
薄れゆく意識。
「スコォォ。」
疲れが溜まっていたのだろう。固い処置台の上で、気持ちよさそうにスヤァァ。
山守社前から霧雲山系、麓の拠点へ瞬間移動。シズエに手術を施す。
はじめは治癒の才を、と考えた。けれど相手は妖狐。
妖術なのか自然治癒なのか分らないが、損傷した内臓が修復されているのだ。下手に手を出せない。
「和様。逆行とか治癒とか、才を使われないのですか。」
清和が問う。
清和は祝の力ではなく逆行、修復の才で救われた。骸に魂が戻る前の話だ。良く知らないが、それが化け王にしか出来ない事なのは解る。
和神の使わしめになって、多くの命が救われるのを見ているから。
治癒はカー化け王が祖父、リアさまから譲渡された才。病や怪我を治す強い力。
シズエは怪我をして、折れた骨が外に突き出てドクドク血が流れ出た。虫の息だし意識が無い。急がなければ死んでしまうのに、どうして。
「はじまりの一族なら才を揮う。けれどシズエは妖狐、最強とされる九尾の白狐なの。」
ジョリッと剃られ、露わになった皮膚を消毒。
「ほら、ごらん。」
外科手術や解剖に用いられる、鋭い小刀で患部を切開。
「うわっ。」
清和が思わず、和の後ろに隠れた。
損傷した臓器がウザウザ、モゾモゾと動いている。それを邪魔するのが骨片。
砕けた骨は集まり、不足部分を補いながら修復。けれど離れた場所にある欠片は臓器に巻き込まれ、修復を妨げていた。
「魔物は生命力も治癒力も高い。」
姿形が違うダケで魔族、妖族も同じ。能力に違いはあるが魔物である。
「この状態で才を揮えばドウなるか、私にも分らない。だからコウするの。」
目にも留まらぬ早業で骨片を除去。破裂したり損傷した臓器がブワッと盛り上がり、淡く光って動き出す。
「それから。」
歪んで接がれた骨をポキリと折り、接ぎ直す。除去部分は指先で潰し、不足部分にパラパラ。それが吸収され、砕けた骨がスッと輝く。
「ヨシッ。」
患部を縫い合わせ、パチン。
手術は終わった。
尋は楽しい夢でも見ているのか、ムニャムニャと寝言を。対するシズエは真っ青を通り越し、真っ白。
「白狐だからね。」
和に撫でられ、清和は思う。もっと強くならなければイケナイと。
悪いヤツから和様を守れずに死んだ、あの時は弱かった。けれど今、同じ事が起きればドウだ。
多少は戦えるだろう。しかし、勝てるとは限らない。
無敵の強さを誇っても和様は幼児。泣かせるモンか!




