22-21 人の子の皮を被った
大木の側に社を、石積みの社を建てたのはツル。山守社の、はじまりの祝。
清めの力を込めて建てられた社に、シズエの狐火を纏わせている。だからチョットやソットでは崩れない。
そんな社が消えた?
山守神の御身に何か。いや、シズエだ。傷ついたシズエを守るため、社の奥に隠し為さったのだろう。
急がねば!
「何だ、この闇は。」
シュルッ。
和が触れると浄化してしまうので、鎖を伸ばして捕らえた。
具現の才で現した物は使い捨て。けれど、その強さは本物。
ギリギリと縛り上げられ、口をパクパクさせる。鉢の中で酸欠に陥った、金魚のように。
「答えろ妖怪。」
相手が化け王と知らず、食らうツモリで近づいた異が暴れる。
「ホウ、道を開いたか。」
ジタバタ、ジタバタ。
「闇で弱った神を取り込めば、望む強さを得られる? そんなワケないだろう。」
ピクッ、ピクピク。
「まだ気づかぬのか。まぁ良い。死体からでも情報は得られる。
絶望した異の目から、光がスッと消えた。
「とつ守。祝社の獄へ、これを。」
ポーンと放り投げ、ニコリ。
山守社を調べようと、鎮森を通って崖下に下りた。けれど闇が濃過ぎて、よく見えない。
困っていた時、現れたのが和。
「はい。仰せのままに。」
とつ守が一礼し、気絶した異を担いで地割崖を上がる。
「和音、闇を。」
「はい、和様。お任せください。」
和音が食らうのは、山守から噴き出した闇。高い吸引力を誇る掃除機のように、グイーンと勢いよく吸い込む。
その度に大きくなっているが、問題ない。
「清和。」
「はい、和様。」
広滝を背に進み、鎮森の際を目指す。
山守の民が生きていた頃は、それなりに賑わっていた。けれど今は何もない。噴き出した闇に呑み込まれたか、融かされてしまったのだろう。
「これは、また。」
清めの力が重ね掛けされている。
「ごめんください。」
と言いながら清和を伴い、山守社の奥へ。
「アッ。」
清和が歩を止める。
「和様、狐が。」
社の奥で水泡に包まれ、死にかけているシズエを発見。
「これは酷い。」
山守神の力で守られているが出血が酷く、一刻の猶予も無いと判断。水泡ごとシズエを抱え、外に出た。
と同時に光の帯を広滝まで伸ばし、縮める。
捕らえ、引き寄せたのは広滝の上でウロついていた狐。
「国津神の、社憑きか。」
「違うわ! 人の子の皮を被った・・・・・・ん。」
パチクリ。
「祝、いや違う。神。いやいや、それはナイ。よね、ね。ねっ。」




