第83話 駐在大使ジェノス・クラウディオ
軍曹に案内された俺たちは扉を開けるとパーティーは始まっていたようでちょうどセリアのスピーチが終わったところだった。
軍曹がそのまま玄関に戻ろうとしたところを俺は引き止め
「軍曹、すまないがパーティーはいつ始まったんだ」
「はっ。17時開始ですが……」
俺は近くにある大きく豪華な置時計をみる……現在17時45分。
俺がもらった招待状は18時から始まると書いていたんだが。
俺が考えていると
「大尉、申し訳ございませんが小官は持ち場に戻らなければならないのですが……」
「ああ、すまない。 案内ご苦労様」
「はっ、でわ失礼いたします」
お互い敬礼をし軍曹は去っていった。
横にいるアリスを見ると小刻みに震えている。
「アリス?」
「キラ……どうしよう……お姉さまが招待してくださったパーティーに遅れるなんて」
アリスは泣き出しそうな表情で俺を見る。
「大丈夫。 策はある俺に任せておけ」
「キラ……うん」
俺の自信満々な態度に安堵するアリス。
策などないけどこう言わないとアリスは泣き出してしまう。
アリスの泣き顔は見たくない。
アリスの泣き顔を見るぐらいなら俺が悪いことにして謝罪しよう。
それでも何か言ってくるんなら……最終手段でいこう。
俺が考えた最終手段……DOGEZAでいこう。
DOGEZAでだめならDOGENEだ。
それで相手は許してくれるはずだ。
そんなことを考えているとドレスを着た貴婦人達に囲まれ話している軍礼服を着た美しい女性と目が合った。
軍礼服を着た美しい女性が微笑み貴婦人達と2、3言葉を交わしたあと俺たちに近づいてきた。
俺たちに近づいてきたのは6勇者の1人セリア・ファームの1人娘セシリア・ファームだ。
「アリス様、大尉遅かったですね。 何かあったのですか」
「俺が時間を間違えてなハハハハ……」
俺は頭を掻きながら苦笑いをする。
アリスはそんな俺を見て何か言おうとしたが俺が首を振って何も言わないようにとアイコンタクトをした。
「大尉……」
俺の言葉に呆れるセシリア。
「まあ、済んだことは置いといて」
俺は両手で箱を持った動作をしてその横に置く動作をする。
「え、いや、大尉……それは置いといてはダメでしょう」
「いいんだよ。 気にするな。 セシリアもセリアから聞いているだろ俺がどんな人間なのか?」
綺麗で整った顔のセシリアだが俺のセリフで渋い顔をするセシリア。
どうやらいろいろ聞いているようだ。
「たしかにいろいろ聞いていますが……ソウデスネ。 気にしたら私がしんどくなるのでやめときます」
と納得するセシリア。
「セリアには後で遅れてきたことを謝るけど、あ、主催者であるクリスティーナにも謝りに行かないといけないのかな?」
「え……まだしていないのですか?」
驚くセシリア。
「今来たとこだから」
「私も付き添いますからクリスティーナ様のところに行きましょう」
「ああ、わかっ……」
「セシリア・ファーム少尉久しぶりだな」
俺が返事しようとする1人の勲章を数個つけた軍令服を着た恰幅のよい30代ぐらいの男が俺の言葉を遮り寄ってきた。
セシリアはその男を見た「げっ」と小さな声で発し嫌そうな表情をしたが直ぐに表情を戻し敬礼をする。
「お久しぶりです、ジェノス・クラウディオ中佐」
俺とアリスを無視してセシリアと話すジェノス・クラウディオと言うおっさん。
このおっさんの名前を聞いたことあるのだが……と考えていたら
いつもの如くシヴァが教えてくれた。
(駐在大使であと伯爵です)
思い出した学園都市内でイングランド軍で1番の偉いさんだ
俺も初めて会う。
二度ほど挨拶をする為大使館に行ったのだが二度とも留守で会えなかった。
一度目はアポなしで行ったから仕方なかったが二度目はちゃんとアポをとって行ったのにもかかわらず秘書の人に休みだと言われ大使は忙しい人ですから挨拶は結構ですよとまで言われた。
この言葉を聞いた俺は向こうが避けているから会いに行かなくても良いかと解釈しそれに王女であるアリスに会いに来るはずだからその時に一緒に挨拶すればいいかとその時はそう思っていたが……
考えてみると失礼なやつだよな。
王女が滞在しているのだから普通は挨拶に来るだろう。
そう考えているとだんだんムカついてきた。
「クラウディオ中佐……こちらにおられ方がアリス姫です」
セシリアの話し相手がアリスと知りビックリするクラウディオ中佐。
「これは姫失礼をしました。 お初にお目にかかります私はジパング駐在大使ジェノス・クラウディオです。任務で忙しく滞在している姫に対し今まで挨拶に行かなかったことをここで謝罪いたします」
頭を下げ臣下の礼をするジェノス・クラウディオ。
「初めましてジェノス・クラウディオ中佐。 私はアリス・シュタイン・イングランドです。挨拶の件での謝罪は不要です。任務も大変そうですが体に気をつけてくださいね」
「はっ、ありがとうございます」
アリスは心からそう思って発した言葉だろう。
だがクラウディオを別の意味で捉えたのかもしれない。
頭を上げたクラウディオの表情は笑っているが目は笑っていなかったからだ。
「でわ、姫。 小官は他の方に挨拶に行くのでここで失礼いたします」
「お待ちください中佐」
そう言って立ち去ろうとするクラウディオを呼び止めたセシリア。
「何かね少尉」
「中佐はこの方はご存知ではないのですか?」
そう言って俺を見るセシリア。
「いや、初めてだが……その勲章は!」
俺の胸にあるフェリスの紋章をみて驚くクラウディオ。
「初めまして中佐。 小官はアリス・シュタイン・イングランド第6王女の護衛騎士をしておりますキラ・イチジョウです。 よろしくお願いします」
俺は自己紹介をし敬礼をする。
俺を見ていたクラウディオは気まずそうに敬礼を返した。




