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海の下のもの
最初は小さな揺れだった。
しかし、数分後。
都市の警報が鳴る。
赤いランプが街のあちこちで点滅する。
「緊急避難警報」
「海洋異常を検知」
人々はざわつき始める。
蒼は港の方を見る。
海の色が変わっていた。
黒い。
底が見えない。
そして――
海面が割れる。
そこから現れたのは
巨大な生き物だった。
ミミズのような体。
蛇のような頭。
濡れた金属のような皮膚。
それは建物と同じくらい大きかった。
誰かが叫ぶ。
「怪物だ!」
巨大生物は体をくねらせ、都市の外壁にぶつかる。
衝撃でモノレールが揺れる。
ドローンが空から落ちる。
パニックが広がる。
人々は建物の中へ逃げ込む。
蒼も必死に走る。
大学の建物の中。
奥の廊下。
そこには分厚い二重扉があった。
避難シェルター。
蒼たちは中に入る。
扉が閉まる。
外の音が遠くなる。
だが、壁越しに聞こえる。
水の音。
何かが擦れる音。
巨大な体が、都市を這い回っている。
誰も喋らない。
時間だけが過ぎていく。




