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空に浮かぶ街
その都市は、海の上に作られていた。
沖縄の沖合、巨大な人工島。
そこに建てられた未来都市――
アクアシティ。
海の上に何層も重なる建物。
巨大な大学。
商業施設。
研究機関。
都市の上空には、吊り下げ式のモノレールが何本も走っている。
ガラスの車体が、空中を滑るように進んでいく。
地上では、人だけではなく
電子生物が歩いていた。
透明な魚。
光る鳥。
金属のような鹿。
それらはすべて 拡張現実(AR) で作られた存在だ。
スマートレンズを通して見ると、街はまるで別世界になる。
主人公の 蒼 は大学の帰り道だった。
広場ではパーティが開かれている。
空には巨大な広告が浮かぶ。
ドローンの群れが光を作り、空中スクリーンを映し出す。
音楽。
笑い声。
ネオン。
未来の街は、まるでお祭りのようだった。
蒼は空を見上げる。
その時、違和感を覚えた。
星が――
近い。
普通の夜空じゃない。
星がやけに大きく見える。
まるで空が低くなったような感覚。
その時、足元がわずかに揺れた。
地震。
人々は最初、気にしなかった。
だが海の方を見ると
水面が
ゆっくりと
盛り上がっていた。




