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第二話 宇宙の目

「……っ」


トシノリは、ゆっくりと目を開けた。


体が、浮いている。


「……は?」


手を動かす。


空を切る。


重さが、ない。


「無重力……?」


「正解」


すぐ近くで、声。


ルルだった。


まるで当たり前のように、空間に浮かんでいる。


「ここは……」


トシノリは、ゆっくりと周囲を見る。


閉鎖空間。


金属の壁。


そして――


窓の外。


「……地球?」


青い星が、そこにあった。


あまりにも美しくて。


あまりにも遠い。


「連れてこられたのよ」


ルルが静かに言う。


「あの光に」


トシノリは、苦く笑う。


「強引すぎだろ」


「観測者にとっては、これが普通なんでしょ」


一瞬、沈黙。


トシノリは、窓の外を見つめる。


「……すごいな」


「うん」


ルルも、同じ方向を見る。


「全部繋がってるって感じる」


その横顔が、光に照らされる。


どこか遠くて――


少しだけ、触れられない気がした。


「……ルル」


「なに?」


振り向く。


距離が、近い。


心臓が、少しだけ跳ねる。


「……あるよ」


小さく、言った。


「言いたいこと」


ルルが、少し驚く。


「え?」


でも――


トシノリは、首を振る。


「……今じゃない」


ルルは、じっと見る。


少しだけの沈黙。


そして――


「そっか」


優しく、笑った。


「じゃあ、その時が来たら、ちゃんと聞く」


トシノリも、少し笑う。


「ああ」


その時――


警告音が鳴る。


『観測異常、検知』


空気が、一変する。


「来る……!」


ルルの声が鋭くなる。


トシノリも、窓の外を見る。


そこにあったのは――


宇宙の闇の中に浮かぶ、巨大な光。


それはまるで。


“目”だった。


「……あれが」


「宇宙の目」


見られている。


今度は、地球ごと。


二人の距離は、さっきと変わらない。


でも――


さっきより、確実に近づいていた。

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