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ふと我に返ったのはすぐ後だった。
「……公開プロポーズとか……! よくよく考えたらくそ恥ずかしいじゃねえか!」
「まぁ、よかったんじゃない? お互い上手くいったんだし」
「ですよね。……まさか公開プロポーズとは……、お邪魔かと思いましたよ」
「……妹、セレーネは本当に大丈夫なのか?」
「あぁ、多分平気ですよ。……まぁ、困った事があったらあたしにすぐに言ってください。今の状況は、少なくともちゃんと理解出来てます。ほら、幸せそうな顔をしてるのがよくわかります」
イェソドの隣に座るセレーネの表情は、まさに幸せ絶頂な表情をしていた。
「……ヘリオスさんと一緒にいれるんですね、ずっと一緒……!」
「……セレーネさんの一挙一動がなんだか滑稽ね。飽きない」
「お姉ちゃんはいつもこうです」
レーシュとイェソドは苦笑を浮かべながら、セレーネを眺める。
「これできっと、お姉ちゃんは一人じゃなくなって、幸せになれましたね」
「……今まで辛かったからか?」
「まぁ、本人は言いませんでしたけど。でも、きっとそうだと思いますよ。だから、ヘリオスさんが支えてくれないと、お姉ちゃんはまた元通りです。そうなったらあたしが許しません」
「あ、ついでにあたしも許さないからね。大事にしなさいよ、セレーネさんのこと」
「……わかってるよ。お前ら二人揃ったら怖いな」
慄きながら、ヘリオスはそう言う。
その中、ヘリオスもセレーネも心の中で、未来を思いはせていた。
幸せな人生になればいい。
いつまでも一緒に、離れないように。
お互いの未来が、輝くような日々になるように願って。
お互いの出会いが全ての運命の始まりだった、それは確かな事だった。
「お姉ちゃんはこれから花嫁修業だな」
「……花嫁修業……?」
「一人で掃除したり料理したり、結婚したら大変だよ。今から頑張って練習しなきゃ駄目」
イェソドが言うと、にっこりと笑って、セレーネは言った。
「きっと何とかなりますよ」
「……うわー、やっぱり説得力ない」
「いーちゃん、酷いです! 努力は報われるって言うじゃないですか!」
「……妹、びしばし鍛えてやってくれ。俺は本気でそれが心配だ」
「ヘリオスさんまで! 酷いです! 努力は報われるんですよ!」
「努力は報われても、結果的には自分で頑張らないと努力とは言わないわよ?」
「……レーシュさんまで……」
がっくりと肩を落としたセレーネを見て、けれどそんなセレーネも愛おしいな、と心底思うヘリオスだった。
一目見たときから恋に落ちたのは、必然だったのかもしれない。
いつまでも、幸せにしてあげたい、ヘリオスは心からそう思った。
前途多難ではあるにしろ、だが。
――漆黒の太陽は純白の月に恋をし、永遠に添い遂げる運命だったのだと、その場の誰もが思った。
―了―




