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5-4

「お嬢さんの名前の意味は〝月〟。そして君の名前の意味は〝太陽〟。……私が言いたい意味が、理解出来るかい?」


 マスターはそう言った。

 ヘリオスは自分の名前の由来を知らなかった。

 親から与えられた名前が、こんなにも重要な名前だったなんて、思いもしなかった。


「――要するに、俺がセレーネを救いだせれば、世界の混乱も治まるわけだろ」


「そうだ」


 それにはセレーネを探し、同時にレーシュも探さなければいけない。

 二人がどこに行ったかは、まだ見当はついていない。

 けれど、探していない場所が、一つだけあるのは事実だった。


「それに隣のお嬢さん。名前は?」


 ふと、マスターに問いかけられたイェソドは、自分の名を告げる事にした。


「……イェソド、ですけど?」


「君の名前も、素敵な名前だね。世界の基礎を表す名前なんだよ」


「世界の、基礎?」


「そう。――君たちが出会って、一緒にいるのは本当に運命なのかもしれないよ」


 マスターはそう言って、外の景色を見た。

 空は雷鳴を轟かせながら、相変わらず大粒の雨を降らせていた。


「早くお嬢さんのところへ行ってあげなさい。私には二人が向かった場所はわからないけれど、この嵐さえ治まれば、おのずと君たちが時間を戻したのだとわかるからね」


 優しく、力強い声音でマスターが言う。


「……上等じゃねぇか」


 にや、と笑んで、ヘリオスが言った。


「おい、妹、行くぞ」


「え、でも他の場所って……」


「まだ一つ当たってねぇ場所があんだよ」


 そう言って、マスターへのお礼もそこそこに、カフェを出る。


「――待ってろ、セレーネ。お前は絶対、俺のモンだ」


 小さく呟いて、ヘリオスがイェソドの手を引いて歩き出した先にあるのは、最後の手がかりの場所である、時計台だった。


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