表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/47

5-2

「……くっそ、本格的に雨降ってきやがった」


 ヘリオスはイェソドと一緒にセレーネを探していた。

 行きそうな場所をもう一度当たって、確認してもどこにもいない。

 やがて雨の強さが増していく。


「今日、雨の予報とか聞いてない!」


 イェソドはそう言いながら、とりあえずセレーネを探すのも優先だが傘を買うのも優先だと思った。

 濡れ鼠になる前に、二人で傘を買った。

 その店の店主にセレーネの事を聞いても、知らないと言う。


「……どこ行ったんだよ……」


 苛立ちもある、けれどどちらかというと不安の方が強い。


「……もう、片っ端から聞きこみしていくしかないですね」


「……みたいだな」


 雨の中、二人はそう言って、セレーネがよく訪れそうな場所で聞き込みをする事にした。

 セレーネの容姿を伝えて聞き込みを続けて行くと、ヘリオスが以前訪れたカフェの初老のマスターが見たと言った。


「ああ、見たよ。……そういえば、連れの人もいたかな」


「連れ?」


「そう、連れ。そのお嬢さんよりも大人っぽい女の人だったね。その女の人も私は見覚えがあるよ。君もよくここに一緒に来ていただろう?」


 そう言われて、ヘリオスははっとした。

 恐らく、多分、いや、確実にその女は、レーシュだ。

 マスターの話は続く。


「君と来た時は大概ボックス席だったが、今日は二人でテラス席に座っていたね。珍しいなと思って見ていたんだよ。他愛のない話をしていたんだろうね、話の内容までは私は聞いていないけれど。うちの会計は先払いだから、話が終わったら二人で店を出て行ったよ。けれど、少し不思議だったね。入って来た時はしっかりとした足取りだったお嬢さんが、店を出る時は少しふらついた足取りだったんだよ。気分でも悪くなったのかな。それから二人がどこへ行ったのか、私にはわからないけれど……」


 二人はこのカフェに来た。

 お茶をした、そして店を出た。

 けれど、入店前と入店後では、セレーネの様子がおかしかった。


「――そういえば、お嬢さんの名前は、セレーネさんと言うのかい?」


 ふと、マスターに問いかけられる。


「はい。お姉ちゃんの名前は、セレーネで間違いないですけど」


「で、お兄さんは」


「ヘリオスだ」


 すると、雨の景色を見て、「偶然なのかな」と呟いた。


「どうやら、今、不思議な事が起こっているらしいんだけど、知っているかい?」


「不思議な事?」


 二人は首を傾げる。


「そう。今日は雨の予報はなかった。けれど、天気は気まぐれだからね。雨だって降る事はある。これは特別不思議な事じゃない。不思議な事と言うのは、時計台の事だ」


「……時計台が、どうしたんですか?」


 イェソドが問うと、マスターが渋った顔で言う。


「狂っているんだと。さっき、ニュースでやっていたんだよ。徐々にではあるけれど、狂いが生じている、って」


「ちょっと待て。――時計台の時計は、狂っちゃ駄目なんだろ?」


「そうだよ。世界の時間を統治しているからね。狂いが生じると、世界の時間にも影響が出てくる」


 その言葉を聞いて、二人は背筋が凍るような感覚を覚えた。


「ただの偶然かと思ったんだけれど、どうやら、君とお嬢さんがきっかけみたいだね」


「……俺と、セレーネが?」


「そう。二人の名前を聞いて、もしかしたら、と思った事があったんだ。君たちは知っているのかな。〝暦〟で起こった昔の災害の話を。そして、それが〝太陽〟と〝月〟が関係していた事を」


 そう言うと、マスターはその話を語りだした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ