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数日後。
ヘリオスと外で会う約束をしていたので、この間買ってもらった服を着て、セレーネは街を歩いていた。
本人目の前には言ってはいないが、この服はとても気に入っている。
一緒にいなくても、ヘリオスと一緒にいれる気がするからだ。
幸せな気分に浸りながら、待ち合わせ場所へと向かう。
ヘリオスの突然の提案で「今日は待ち合わせ。俺は迎えには行かないから待ち合わせ場所に来い」と言われて、今日はこんな形で二人で会う。
セレーネとしては、異性とこうして待ち合わせをするということすら初めての事だった。
待ち合わせ場所は、街の時計塔の前の噴水広場。
そこで、意外な人物と遭遇する。
「あら、セレーネさん?」
見覚えのある顔と、声。
そこにいたのは、レーシュだった。
「あ、レーシュさん。こんにちは」
ぺこりと頭を下げるセレーネ。
レーシュは、ふと以前と違うセレーネの雰囲気に気付いた。
幸せなオーラがにじみ出ていて、着ている服も以前とは違っていた。
そして、何事もなかったことのようにレーシュに接するセレーネ。
その笑顔。
それが癪に障る。
レーシュは、考えていた計画を実行することに決めた。
ヘリオスがいない今、セレーネ一人ならこっちが有利だと考えたのだ。
「ねぇ、セレーネさん。少し、時間いいかしら? お話がしたいの」
レーシュが切り出すと、セレーネは少し困ったような表情をした。
「え、でも、あの、私、ヘリオスさんを待たせてしまうので……」
「大丈夫よ、別に。惚れてる女の子にはあの人、多少の遅刻ぐらいじゃ怒ったりしないから。少し、お茶に付き合ってくれるだけでいいから」
少し考えてから、セレーネの悪い癖が出た。
「わかりました。少しだけですよ?」
「わかってるわ。怒らない、とは言っても、ヘリオスをあまり長く待たせるわけにもいかないものね」
そう言って、レーシュと一緒に近くのカフェに入る。
案外誘い出すのが簡単で、拍子抜けした。
レーシュはそう感じていたが、セレーネに寄り道癖があるのを彼女は知らなかった。
けれど、好都合だった。
きっとうまくいく。
レーシュはそう思って、怪しくにやりと笑んだ。
ほんの少し、空が陰った気がしたのに、誰も気づかないで。
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