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試着室から出るのが恥ずかしいと思いながらも、セレーネは意を決して出た。
「お疲れ様です。……うわぁ、とてもお似合いですよ、お客様!」
「そ、そんな……、恥ずかしい、です……」
セレーネは、試着室から出る前に、何度も何度も姿見で自分の姿を確認していた。
濃いブルーの生地に、フリルのレースを重ねた、ケープ付きのブラウスは、ケープとブラウスのボタン部分が薔薇のレースになっており、ケープを留めるリボンと、ブラウスの背面のリボンはグレーのダマスク柄が入っている。
コルセットが付いたスカートは、ケープ付きブラウスと同じデザインのダマスク柄が描かれており、コルセット部分の前面はボタンだが、後ろにはゴムが仕込まれていて、なおかつリボンのレースアップが入っているため、シルエットが美しく見えるようなデザインになっている。
レースとフリルは黒地で、薔薇のレースと無地のフリル地に折り重なるように作られているフィッシュテールのスカートの中に仕込んでいるのは、黒のシンプルなフリルのボリュームパニエ。
先ほど店頭でトルソーが着ていたそのままに着用してみた。
ちら、セレーネはヘリオスの様子を伺うと、息を呑んだように、絶句していた。
あまりに似合いすぎていた、からである。
「もしあれでしたら、ミニハットを付けてみてもいいかもしれませんね」
店員がそう言って手にしたのは、セレーネが小物の一つとして気になっていた、ブルーの造花の薔薇と、部分的にブルーに染められた羽根が印象的な、首元をリボンで留めるタイプのしっかりとしたミニハットだった。
「少し、失礼しますね」
そう言われて、店員がセレーネの頭にそのミニハットを付ける。
「苦しくありませんか?」
「あ、はい……」
きゅ、っと首元を締めてもらい、姿見で再び確認する。
「うん。とてもお似合いになってますよ」
「そ、そう、ですか……?」
「ええ、とても。もし、ハットがずれるようでしたら、ピンで留めて頂くといいと思いますよ」
確かに、服とミニハットの相性は抜群だ。
けれど、ヘリオスは試着室から出て来たセレーネに対して一言も声を出していない。
「あの……どう、でしょうか? ヘリオスさん。変、ですか?」
セレーネがヘリオスに問いかけると、はっと我に返ったように、本心を告げる。
「すげえ、似合ってるよ。……つか、そんな色の服着てるお前が新鮮すぎて、見惚れてた」
さらっとそんなことを言われて、セレーネは自分の顔が熱くなるのを感じた。
「俺は、それがいいと思うよ。お前が気に入ってんなら」
「いえ、その、可愛いんですけど、お値段が……」
「んなこと気にすんなって。……じゃあ、これ、一式ください」
「かしこまりました。そのまま着て行かれますか?」
「ああ、お願いする」
「かしこまりました。では、少々お待ち下さいね。値札を取らせて頂きますね。あ、このまま着ていて頂いて結構ですよ。先ほどのお洋服は、袋にお入れさせて頂きますね」
「……あ、は、はい……」
とんでもなくとんとん拍子の展開に、セレーネは着いていけないまま、されるがままだった。
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