4.暗雲と雷鳴
そのままセレーネは、ヘリオスを連れて家に帰ると、真っ先にイェソドに報告した。
「付き合うことになりました!」
その頃には、セレーネは嬉しそうに、幸せそうに報告出来るようになっていた。
「……お姉ちゃんの周りにお花畑が見えるよ……」
表情を引きつらせて、若干引き気味にイェソドが言った。
「おい、妹。……俺はお前の姉がよくわからない」
「あたしもわかりません」
隣にいるヘリオスも若干引いている。
先ほどまで恥じらう様にしていたのに、今はこんなにも堂々と幸せそうなセレーネがいて、突然の変わりように正直ついていけない。
イェソドもこんなセレーネを見た事がなかったので、正直戸惑っている、というよりはどうしていいのかわからなかった。
「幸せで胸がぽかぽかします! これが恋なんですね……!」
「え、あー、うん。多分そうだと思う……間違ってないと思う……」
「妹。……セレーネは、恋愛に疎いとかそういうレベルじゃない。全く知らない」
「懇切丁寧に説明しても理解しきってないと思います。というか、よく付き合う気になりましたね。普通の人はお姉ちゃんみたいな人、困ると思うんですけど……。まぁ、ヘリオスさんも変わり者、ってことですか」
幸せなようでセレーネの頭はお花畑のまま、ヘリオスとイェソドはそんなセレーネを見ながら、そんな会話をしていた。
セレーネには、どうやら届いていないようだが。
「……まぁ、こんなお姉ちゃんですけど、宜しくお願いします」
「ああ。……つか、俺に敵対心むき出しだった妹が俺にそう言う日が来るなんて、驚きだよ」
「お姉ちゃんが決めたなら、お姉ちゃんを応援するのが妹のあたしの務めです。ただし、ヘリオスさんがお姉ちゃんを捨てた瞬間、ただじゃ済ませないんで」
「……それは怖いな。ま、手放す気も全くねえから。安心しろよ」
そんな二人をよそに、セレーネは幸せな時間に浸っていた。
それを見て、二人して深いため息をついた。
純粋で単純すぎる。
お互い、心の中でそんな感想を述べながら。
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