ハーレム海水浴(2)
「そういや、結局海に誰々行くんだ?」
廊下で陽響に聞いてみる。
「1年女子全員、2年女子全員、3年女子1人だ。」
え?
「…男子は?」
少しの希望を信じる。
「斬だけだ。」
希望が砕けた。そして歓喜の感情が湧いてきた。つまり男は僕1人!!
「問題無いだろ?」
「はい、問題ありません!!」
ちょっと感情入れすぎちゃったかな…?けど、嬉しい!!めっちゃ嬉しい!!
「今週は授業午前中で終わりの日があったよな。1年生が買い物に行きたがってたぞ。斬と一緒に。」
イタズラっぽく笑って続きを話す。普段とは違って子供っぽい、かわいらしい笑顔だった。
「人生絶頂期じゃないか?」
それは僕も思ったよ。他人からも同じように見えるんだ。
「どうだかねぇ…。ただ、僕は泳ぐの苦手だから波打ち際で眺めてるしかないんだよ。」
「まるで変態じゃないか。」
「いやそういう意味じゃなくて…」
いやそういう意味じゃね?どうなんだ?あ、そうだ釣りしよう。そうすればたまにチラ見するだけで変態には見えない。釣りに集中してるって言えば言い訳できる。
「とにかく、1年生にも気遣えよ。何かあったんだろ?」
うげ。噂広まるの早っ。
「私は深くは追及しないよ。安心して。」
よかったー。感謝しますありがとう!!
「ありがとう。楽しみにしてるよ、海行くの。」
金曜日。午後1時で放課して、私服に着替えたら杏も連れて駅前の通りの角のバス停に向かう。すでに1年女子は全員いた。
「こんにちはー!」
磨夏が手を振る。
「よ。いつ頃から来てた?」
「皆50分くらいにはいましたよ。」
すずみが答える。
「早っ。バス2時過ぎだろ?」
「だって、その…楽しみでしたから。」
磨夏が答える。
「そうか。お、バス来たな。」
バスに乗って隣の市のショッピングセンターまで行く。
ショッピングセンターに着くと、全員で海水浴グッズコーナーに行った。すげ、物の量が地元のスーパーとは全然違う。
「デデン!」
すずみが大きなサングラスをかける。不似合い過ぎて、堕ちてしまった元偉い芸能人のようだった。
「似合ってなーい。」
「じゃあこっち。」
「うーん…まだマシかな?」
「てかどんだけサングラスにこだわってんの。」
「あ!この浮き輪かわいい!」
会話のペース早ぇ…。ついてけねぇ。
その時、杏が僕のズボンを引っ張った。そっか、人多いから飛べないのか。にしても、立ってると小せぇな…。
「どうした?」
「私、これ欲しい。」
そっか。翼だし体小さいままだから泳げないのか。指差した商品は、流行りのアニメキャラがプリントされた浮き輪だった。
「お前、これ欲しいのか?」
「私、今は泳げない…。だから浮き輪欲しい。あっ、前は泳げたんだよ!!」
「このキャラついてるのじゃなきゃダメか?」
値段が他の浮き輪の1.5倍なんだが。
「…このキャラ出てるアニメが好きだった。これが欲しい。」
「ったく、仕方ないな。」
家計は今ちょっとした火の車なんだが。ま、なんとかなるか。
僕は結菜と朱魅に連行されて水着売り場に向かった。結菜が水着を買うそうだ。ってことはもしや見れる!?スク水でもいいけどビキニだったら理性飛ぶかも…。
「…着てもらいたいのあります?」
「いや、自分で気に入ったの着ればいいじゃん。」
ヤバい、見てるだけで理性メーター振り切りそう。
結局僕は今日の結菜の水着姿は空想でおしまいになってしまった。紺色のスク水で、ちょっとした柄が入っていた。
全員それなりに多く物を買っていた。大きい袋が千切れんばかりに詰まっている人もいた。よくそんなに金あるな…。浮き輪買ったおかげで財政破綻が目に見えて来たぞ。どうしよう。
帰り道。バスに揺られながら話をしていた。
「結菜ちゃんの水着姿はどうでしたか?」
すずみが聞いてくる。
「いや見せてないし。」
結菜が即座に否定する。
「残念でしたね!」
磨夏がニヤニヤしながら言う。
「いや別に…。」
顔が赤くなりそうなのは隠しきれてるだろうか…。
「うちのクラスの変態にこの話したとしたら、鼻血噴火しますよ。」
磨夏のこの言葉で皆が爆笑する。
「今年の1年変態多いからな。」
「私含めてですね。」
磨夏が自虐ネタ。
「いや自覚してんのかよ!?」
「私もですよ!」
すずみも元気そうに言う。
「お前もかよ!?」
「変態になって役立つこと無くないですか?」
結菜が心底不思議そうに言う。
「私もそう思う。」
朱魅が賛同する。
「僕もあんま無いと思うんだが…。」
「「役立つよ!!」」
すずみと磨夏が2人同時に言う。
「夜の社会を生き抜く時とか!」
すずみの一言で笑ってしまった。なるほどね。
「まぁそういう時は立つこともあるか。」
「勃つ!?」
朱魅が猛烈な反応をする。
「いやそっちの勃つじゃなくて!!てかお前なんでそこだけ反応する!?」
「クラスの男子がいっつも『たつ』で反応するから…。」
皆が爆笑している。めっちゃ恥ずかしいんだが…。
そうこうしてる内に凸沢に着いた。
「じゃあねー。」
「「さようならー!」」
杏と2人で家路につく。
「女子と一緒にいるのって…疲れるな。」
ふとそんなことを口にする。
「初めてか?女子とどこか行くのは。」
「そうだよ。女友達なんていなかったし。」
「人生絶頂期じゃないのか?」
もう何度聞いたかわからないその言葉。
「…かもな。」
さて、海行く当日は理性メーターの上限上げとかないとな…。楽しみだなー♪♪




