492話「地区予選 決勝戦④ 思わぬ逆転!?」
モリッカは一気にカタをつけるべき、まじかる大爆裂をぶっぱしたぞ!!
切羽詰まったサツキは「くっ!」と自身を包むように氷塊で覆う!
ズドゥオッ!!!
大爆発が明々と広がって周囲の城壁をも粉々に吹き飛ばしていく。
ゴゴゴゴゴ……爆煙が立ち込め、地鳴りが続く。
モリッカは激しい息を切らしながら見やると、煙幕が晴れて氷柱が聳え立ってるのが見えてきた。
「えー! 大爆裂を耐えるなんて驚きです……!」
あのモリッカの大爆裂を耐えるなんて、ただ者じゃねぇ。こんなヤツがいるなんてな。
つーか氷柱の中にいるサツキ、なんか雪女っぽいような……?
「賭けはこっちの勝ちのようだな」
パリンと氷柱が崩れ落ちると無事なサツキが姿を現した。
モリッカは震えながら「へ……へへへ……」と観念して笑んでいく。
「さすがです。もう力を残しちゃいねぇ……」
「楽にしてやるよ!」
サツキが飛びかかり、無数の氷塊とともにハンマーを振り下ろした。
氷塊それぞれが尾を引いていて、まるで流星群だ。
「アイスシューティングスター!!」
ドゴゴゴゴゴッ!!!
まともに浴びてモリッカ爆散して棺桶化。
《中堅『範馬サツキ』選手の勝ち!!》
モリッカが苦笑いしながら戻ってきたぞ。
「流石に勝ち抜けませんでした。なかなか手強いです」
「うーん。サツキか。氷魔鎚アスマハーが合いそうなキャラだなー」
「え?」
「いや、こっちの話」
氷属性のハンマー使いが思わぬところで見つかったけど、氷魔鎚アスマハーは金星へ送り返しちゃったんだよな。
とはいえ敵チームに塩を送ってもしょうがねぇか。
しかし思ったより強ぇえヤツ揃ってんなー。
《アニマンガー学院の中堅『小野寺リョーコ』選手、前へ!》
「さー、いってくるわよー!」
「ああ。気をつけてな」
オレの言葉にリョーコは頷き、気を引き締めて転送されていった。シュパーン!
待ってましたと言わんばかりにサツキは笑む。
目の前に斧女子リョーコが現れたのだ。スラッと細身で魅惑的に胸が大きく、凛々しい美人顔に金髪のオカッパ。
羨ましいほどの容姿に嫉妬心さえ駆られる。
「あたいはさすがにこの容姿だからアイドルとかにはなれないけどさ、せめてあんたを打ち負かしておくさ!」
「そうなん? じゃあ斧女子とハンマーガールどっちが強いか試そっか!」
「おう!」
リョーコは斧で身構え、サツキもハンマーで構えていく。
「行くぞッ!!!」
サツキは更に浮いている氷塊を増やして、駆け出してハンマーを振り下ろす。
リョーコも斧を引いて「いっせーのォ……」とオーラを溜めていって、周囲を揺るがしていく。
「喰らいなッ!! アイスシューティングスターッ!!」
「クラッシュバスターッ!!!」
氷塊の流星群とリョーコの渾身の一撃が激しくぶつかり合い、氷の破片を飛び散らせて大爆破が広がっていった。
果てに斧とハンマーが交差していて、互いにビリビリと全身を衝撃波が貫いていった。
ザッと一歩後ろへ退き、サツキとリョーコがにらみ合って火花を散らすよう。
「せいやああああッ!!!」
「なんのおおおおッ!!!」
斧とハンマーが乱雑に踊り、凄まじい連打を繰り返して衝撃が連鎖していく。
サツキとリョーコは鬼気迫る顔で気合いを入れて乱打の応酬を繰り広げていった。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!
手数はリョーコが優っていて、いくつか一撃一撃がサツキに当たっていた。
しかしビキビキッと体表を覆う霜で威力は殺されていた。
グランドルフの無敵化よかマシだが、ダメージが通りにくいのは辛い。
ガツンッ!!!
逆にリョーコは氷塊を頭に受け、飛び退いた。
ドロッと額から血が垂れていく。
「悪いね。あたいはこの通り氷魔法で体を覆ってるんしさ。魔法使えるならさっさとしな」
「あたしは使えない……。だけど」
リョーコは斧を引いて、エーテルを唸らせていく。
地響きが広がり、稲妻が迸っていく。そんな威力が空気でサツキにビリビリと伝わる。
「来いよ!! アブソリュートゼロで受けきるッ!!」
サツキは体表を霜で覆い尽くし、まるで氷の巨人を連想させていく。
それでもリョーコは飛び上がって、前転宙返りを繰り返しながら斧を振り下ろした。
ガッガッガッガッガッガッガッガッ!!!
ヨーヨーのように前転宙返りで上下しながらサツキを斧で切り続けていく。
リョーコの力強い連続技にも、サツキは苦い顔で「ぐうっ!!」と堪えきろうとする。
ガガッガガッガガッガガッガガッガガッガガッガガッガガッ!!!
サツキはビキビキと厚い氷で覆って防ぎ続けるが、削られ続ける。
まるで電動の丸ノコギリのように氷塊を切り裂いていって、ついに全部剥がせた。さらけ出されたサツキは焦燥して見開く。
オレは思わず拳を振り上げた。
「今だ! 行っちゃえー!! リョーコォ!!!」
トドメとリョーコは上空へ舞って高速回転を繰り返しながら渾身の一撃を入れる。
「ロォーリング・デストロイヤ────ッ!!!」
「なんのッ!! 破れたり──ッ!! アイスロック・アンガーッ!!!」
なんとサツキはハンマーで振り上げるとともに、地面から巨大な氷塊が突き出てきてリョーコの渾身の一撃と衝突!!
ガッッ!!!!
見事、巨大な氷塊すら真っ二つになったが……威力は完全に相殺されてリョーコは無防備に!
そこをサツキがハンマーを振るって殴り飛ばした。
吹っ飛ばされたリョーコは城壁をガンガンガン貫いていった。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ! さすがだぜ……リョーコぉ……!」
サツキも完全に無傷というわけでもなく、額から血が滲んでいた。
そして疲労も激しくて息が絶えない。
「スラッシュスレイヤーッ!!!」
立ち込めた煙幕から抜け出した三日月の斬撃が飛んでくる。
サツキは「なっ!?」と見開いた。咄嗟にハンマーでその斬撃を地面に叩き落として、噴火のような飛沫を噴き上げた。
「もう一丁!」
すかさずリョーコが間合いを詰めてきて、凝縮されていたエーテルで斧を振り下ろす。
サツキは迎撃が間に合わないと悟り、苦い顔で全身を氷塊で覆う。
「なんのおおおッ!! アブソリュートゼロ──ッ!!!」
「クラッシュバスターッ!!」
リョーコの最大威力の一撃が氷塊で覆うサツキに炸裂!! しかし、まだ及ばず!
「……続いて!」
サツキは見開いた! 更に連撃を加えんとリョーコが再び溜めた凄まじいエーテル込めた斧を振り下ろしたァ!!!
まだ初撃が残っている内に二撃目を重ねて、それは斜交いした!!
「クラッシュバスターXッ!!!」
重なった威力が相乗効果で膨れ上がって、床に大きな十字の亀裂が走った!!
ドンッと高々と飛沫を吹き上げて地響きがしばらく続いた。
誰もが口を開けて、戦いの行方を見守る……。
「悪いな……! どうしても変身はしたくなかったよ……!」
なんと煙幕から吹雪が竜巻状に吹き荒れてきて、血塗れのサツキが白い肌の女として現れた。
激しい息を切らしながら苦しい顔をしている。
オレたちはドヨドヨとそれを目の辺りにしてしまった。
「あれはっ!?」
「ち……あいつも『妖精の種』を摂食して『雪女』に進化したやつかし」
河童のオオガや女天狗のチササと同様、上位生命体である『雪女』だ。
こんなになるまで変身していなかったのは、同じ人間として勝負したかったという事だろうか。
ズオッと吹雪を放射して威圧が膨れ上がっていった。
「く……、まさか雪女なんてね……」
リョーコは吹き付けてくる吹雪が痛く感じた。
サツキは無手だったが、右手にビキビキッと巨大な氷のハンマーを生成していく。
ズンと重々しく自身の肩に乗せた。その一軒の家ほどの巨大なハンマーに呆気に取られた。
「で、でっか!!!」
チササやナッセ同様に人智を超える魔力によって想像した武器を具現化できる力を持っていた。
「卑怯だと思ってもいいさ。どうしても優勝して全国大会へ進出したいからね」
「まだまだっ!! 勝負はこれからーっ!!」
リョーコはエーテルを振り絞って、身構えた斧へ収束させていく。
「楽になりなッ!! アイスシューティングスターッ!!」
サツキは容赦なく一軒の家ほどの巨大な氷ハンマーを振り下ろし、更に無数の氷塊が降り注いだ。
ドドドドドドドドッッと雪崩のように重い物量で押し潰し、粉雪の飛沫を高々と噴き上げていった。
微かにドンと棺桶化の爆破が見えた。
《中堅『範馬サツキ』選手の勝ち!!》
なんと二タテされて、オレは呆然するしかない……。
モリッカもリョーコも相当な実力者なのに、サツキはそれ以上だった。
まだ見ぬ強敵がいてゾクゾクしてくらぁ。




