表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
491/492

491話「地区予選 決勝戦③ 中堅サツキの氷壁」

 九尾の妖狐へと変貌したツネリとフクダリウスが壮絶な格闘を繰り広げていた。

 しかし押されたツネリは負けじと九尾で囲んで光子を集めていく。

 もはや限界に達するフクダリウスは荒い息を繰り返し、切羽詰まった。


「わらわの切り札を受けてみろッ!! 九尾の殺生弾!!」


 ツネリは収束した光弾を撃ちだす。ドッ!


「ぬがあああああああああッ!!!」


 なんとフクダリウスは最後の力を振り絞って、九尾の殺生弾を掴んでツネリへ押し込む。

 眩い光が弾けて、ツネリは見開く。

 そのまま誘爆して大爆発球が轟音を伴って膨らんでいった。


 ゴ ゴ ッ!!


 レキセーンモサ学院側の選手が立ち上がる。

 煙幕が晴れて結果が見えた時は安堵に満ちていった。



「ふうっ……! 恐るべしよな」


 なんとツネリは九尾で全身に巻きついてダメージを軽減させていた。

 その足元には広大なクレーターに抉れていて、元の大きさに縮んだフクダリウスが仰向けで倒れていた。

 ブスブス煙が流れる。

 ドン、と爆散して棺桶化。オレたちは「あぁ……!」と落胆した。


《次鋒『紺古(コンコ)ツネリ』選手の勝ち!!》


 フクダリウスが戻ってきて「済まない……限界だった」と頭を下げてきた。

 とはいえ邪威暗闘(ジャイアントウ)モードは恐るべき強さだった。あのフクダリウスが鬼のように強くなったのだ。


「いえ、僕も精一杯やっちゃいますから!」

「うむ……任せたぞ」

「はい!」


 モリッカが立ち上がる。


《アニマンガー学院の次鋒『和久(ワキュウ)モリッカ』選手、前へ!》


 楽しそうな足取りで転送されていった。

 フッと現れたモリッカは城壁の上から、九尾のツネリを見てワクワクしたぞ。


「キュオオオオオオオオオオオッ!!!」


 全てを震わす咆哮に、モリッカはビリビリと全身を貫かれる。

 恐怖よりもワクワクが勝ってか口元を緩ませる。

 モリッカは雷魔法(デンガ系)を発動し、轟音とともに稲妻が全身を迸らせて青髪に輝いていく。


「これがブルー超モリッカです!」

「悪いが、勝負を急がせてもらうぞッ!!」


 ツネリは余裕がないらしく、巨大な九尾の妖狐で突撃してきた。

 そのまま城壁ごと砕く。破片が四散し、煙幕が漂う。しかしモリッカは後ろへフッと移動して回し蹴りを喰らわす。


「グッ!」


 延髄に食らったツネリは前のめりに倒れそうになるが、前足で支えてキッと振り向く。

 獰猛に爪を振るう。

 モリッカは「おっ! やっばいです!」と身を翻してかわす。


「キュオオオオオオオオオオオオ!!!」


 続いて爪のラッシュを繰り出して追い詰めんとするがモリッカは持ち前のスピードでひょいひょいかわしていく。

 一撃でも食らったら大ダメージなのは必至。

 そんなスリルを味わうかのようにモリッカは俊敏に回避しながら笑んでいる。


「くっ! おのれ!!」

「もっと楽しみたいんですが、ここまでですねー!」


 ツネリはすでにピークを過ぎていて相当弱体化していた。

 もし全盛期なら、モリッカはもっと苦戦を強いられていただろう。最悪負けていたかもしれない。


「だが、せめてきさまだけは道連れに……!」

「いっきますよー!!」


 フッとモリッカは掻き消えて、あちこち瞬間移動するかのように動き回っての格闘で九尾の妖狐を殴り蹴りしていく。

 ズガガガガガガガガガガッと連打が巨躯を覆っていく。

 ツネリは苦い顔で「があっ!」と呻いた。


「はあっ!!」


 とどめと杖を突き出してエネルギー波を放って、ツネリの顔を爆発で覆った。


 ガウンッ!!!


 爆煙が覆った九尾の妖狐がゆらりと揺れて、ズズウンと横たわっていく。

 限界だったらしく徐々に人型へ戻っていく。グッタリしていて起きる様子はない。


《次鋒『和久(ワキュウ)モリッカ』選手の勝ち!!》



 ツネリは疲れた顔で戻っていって「済まぬ……」と一言。


「まだ、アレに慣れていないから仕方ないだろう? あのフクダリウスを落としただけでも大したものだ」


 ガンイがツネリを慰めているのを、マイシは仏頂面で眺めていた。



《レキセーンモサ学院の中堅『範馬(ハンマ)サツキ』選手、前へ!》


 紫髪ショートヘアで左右が外側へはねている。筋肉ムキムキで大柄な女。あちこちに傷跡がある。


「……アニマンガー学院のやつらと戦えるのは光栄だ。特に斧女子が目の前にいる。ハンマーガールとしてどっちが上か試してみたいからな」


 不敵に笑みながら転送されていった。

 モリッカを前にサツキはブッキーを突き出してハンマーに変えていく。


「さっさと退場願おうか! はあっ!!」


 サツキはエーテルを噴き上げて地を蹴る。素早い動きでモリッカへ距離を詰めてハンマーを振り下ろす。

 モリッカは慌てて飛び上がり、ハンマーは下のタイルへ埋めて城壁を木っ端微塵に破砕した。

 すぐさまサツキは遠くのモリッカへ横薙ぎに振るう。空振りのはずが……?


「ぐっ!」


 見えない打撃がモリッカを弾き飛ばす。ドッ!

 サツキはフッとモリッカの上へ飛び上がってハンマーで叩き落とす。モリッカは急降下してタイルへ叩きつけられてズガアアアンッと飛沫を吹き上げた。

 サツキは着地するなり、起き上がってきたモリッカへハンマーを繰り出す。


「なんのっ!」

「フンッ!」


 ハンマーと拳の乱打でガガガガガガガガガッと打ち合う。

 サツキは大柄ながらも、それにそぐわぬスピードで素早いモリッカに引けを取らないようだ。


「カレンみたいですねー!」

「そりゃそうさ! 憧れだったからね!! 負けてられないよ!!」


 卒業していったカレンは前々から憧れてて入学していったほどだ。

 そして今ではカレンに倣って切磋琢磨と鍛え上げてきた。その全てを試合でぶつけるつもり。

 それでもモリッカはさらに素早く攻撃を繰り出して追い詰めていく。


「ぐっ!」


 拳の乱打がハンマーを上回って、いくつかの打撃がサツキに当たっていく。

 どうしても拳の方が速いので重いハンマーでは押しきれない。

 いくらサツキが怪力でも手数で上回る事は難しいだろう。しかし!


 ピキッ!!


 モリッカが飛び退いた。ザッと後ろで着地する。

 殴った拳に霜が張り付いていた。


「これは……!?」


 なんとサツキの体表を霜が覆っていく。ピシピシッ!

 オレは「あれは!?」と見開き、あの地闘神(アスラリオ)グランドルフを連想した。

 体表をダイヤモンドが覆っていかなる技も受け付けなくなっていく。


「さすがに無敵化はないんだろうけどさ」

「紛らわしいが違うだろし」


 実はネアンデル人で水闘神(アクリアル)だったとかだったらビックリだけど、さすがにないか。



「あんたが雷魔法(デンガ系)形態(フォルム)するのと同じように、あたいも氷魔法(ヒェラ系)でしてるんだよ!」

「へえ~! これは楽しくなってきました!」

「では行くぞ!!」


 サツキが駆け出し、モリッカは身を翻して蹴りを繰り出す。

 脇に蹴りが入ったと思ったら霜がビキッと広がって衝撃が伝わらない。しかもくっついてしまって、そのままハンマーをほおに食らってしまう。


 ガッ!!

「ぐああー!!」


 吹っ飛んだモリッカは城壁をガンガン突き抜けて、なんとか宙返りして受身を取った。

 サツキが間合いを詰めてきて見開く。

 ハンマーの振り下ろしをかわすが、氷塊も連動して降ってきたのでまともに食らってしまう。


 ズガガガァンッ!!!


 タイル床を穿って城壁が木っ端微塵に砕かれた。

 手傷を負ったモリッカは飛び退いて、スザザッと床を滑っていく。煙幕からサツキが飛び出す。

 よく見ればハンマーの周囲に氷塊がいくつか浮いている。


「喰らいなッ!! アイスシューティングスター!!」


 横薙ぎに振るうと氷塊が猛スピードで飛んできて、モリッカはサッと身を逸らして掠る。

 前に空振りして打撃を受けたのも、この技らしい。

 サツキはブンブンと空振りを繰り返し、氷塊の嵐が降り注いでモリッカは見開いた。


 ズガガガッガガガガガッガガガガガッガガガガッ!!!


 立ち込める煙幕から、血塗れのモリッカが飛び出して杖を振るう。

 決死と全魔法力を解き放たんとする。


「まじかる大爆裂────ッ!!」

「なんのッ!! アブソリュートゼロ!!」


 モリッカが撃ってきた膨大なエネルギー波が扇状に広がっていくのに対し、サツキは身構えて全身を強固な氷塊で覆う。ビキキッ!!


 ズドゥオッ!!!


 尋常じゃない大爆発が広がって、城壁などの破片が飛び散っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ