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488話「デススカル学院の生徒は女に飢えてるぞ」

 デススカル学院の修羅場が起きたばっかりなのに、また依頼来やがった……。

 依頼者は孩惚(ガイコツ)ホネロウ。

 体格は筋肉ムキムキで強面。両肩に頭蓋骨の肩当て、胴体には頭蓋骨を模した鎧。

 ミャコと対戦し、広大なMP(マジックプール)でドクロ人魂の弾幕張ったり悪霊バリアーで防いだりと強敵だったやつ。


「アニマンガー学院でナッセさんだからこそ頼める事なんだが……」


 なんかオレと同席しているヤマミをチラッと見てくる。


「こう見えてもダークサイドの住民でね……。あまり表の人と関わらない忌むべき者。闇の力を得た代償として生涯明るい世界で目立つ事が叶わぬ……」

「はぁ?」


 なんか厨二こじらせてるみてーだな?

 なんかブツブツ垂らしていたが、まぁ前置きってやつ? めんどくせぇ。


「そちらのヤマミ殿も我々と同じダークサイドの人間。なにゆえリア充のナッセに付き従っているかは分からないが……いずれ気づくであろう。光と闇は決して相容れぬという運命をな……」

「どうでもいいわよ。本題は何?」

「え……えっ!?」


 腕を組んで冷めた目で不機嫌そうなヤマミに、ホネロウは動揺する。

 つか、オレをリア充認定して欲しくないんだが。


「分からないのか? ナッセさんは光側の人間! いずれ焼き切られるであろう!」

「先にあんたを燃やしてやっていい?」


 ヤマミが左手から黒炎を噴き出してきて、ホネロウはビクッと恐怖する。


「……ひょっとしてヤマミが好きなのか?」

「は、はいい!? え、え!? えええ!?」


 コミュ障らしく、ホネロウはしどろもどろ戸惑い始めた。

 するとヤマミはオレの腕へ抱きついて付き合ってるアピールをした。

 ヤマミの両腕がぎゅーってオレの腕に絡んでて、更に胸とかそういうのが柔らかくのしかかっててドキドキする。


「う、うわああああ!!! 眩しいラブラブだぁ!!」


 ホネロウは赤面して両目を手で隠して動転したぞ。

 恋愛経験がなく、免疫がなく、こういうラブラブに慣れてないのが窺える。


「一生、ナッセと共にする運命なのは決まっている。誰たりともそれを邪魔する事なんてさせやしないわ。卒業したら一緒に異世界へ行くからね」

「そ、そんな!! もはや入り込む余地がないというのかーっ!?」

「あるわけないでしょ!」


 うろたえるホネロウを突き放すヤマミ。なんだかなぁ。


「くそぅ……! な、なんてこった……!! 光堕ちするとは……!」

「失礼なやつね」


 未だオレの腕にくっついたままだ。ぎゅー!

 ホネロウはこの世の終わりのように「くくぅ……」と泣き崩れている。


「嗚呼……、愛しの闇の眷族ヤマミが……よりにもよって光の使者ナッセさんに奪われるとは……! この世の邪神さまは無慈悲なのか……!? ううう……」

「オレが光の使者……」

「コイツなんなの!?」


 オレは運ばれてきたバナナパフェをいただく。

 ヤマミも落ち着いてチーズケーキをスプーンで一欠片ずつ口へ入れていく。

 スイーツを堪能しているってのに、ホネロウはメソメソ泣いてるぞ。


「せ、せめて……闇の従者モエキを紹介して欲しい……」

「え? なんだって?」

「中堅のモエキ。一目見て明らかにダークサイドの人間。ヤマミの下僕と思わしき……」

「下僕じゃないわ! 言うならジャキガン学院のジャオウの下僕でしょ!? 付き合ってるから!」

「ええええっ!? ウソだろ!?」


 ホネロウはモエキが実はカレシ持ちだと知って驚いているぞ。


「地下世界行ってる時に、モエキとジャオウが意気投合して付き合い始めてたの見たぞ。モエキがジャオウに合わせて黒い服を着るようになったし」

「そ、そんな!! それでは俺は独身童貞のままでいろと、邪神さまはおっしゃってるのか!?」

「そんなの知らないわよ!」


 ヤマミは目くじらを立てて突き放す。

 それに構わず、ホネロウは涙ぐんで絶望している。うう……うっ……。


「確かデススカル学院は男子校みたいに女生徒いないんだっけ?」

「そ、そ、そうなんですよ!! 余りにも惨いではありませんか!!」

「同じジャキガン学院は女生徒もいるのに、違いはなんなんかしらね?」

「好きなキャラにコスプレできるからじゃないか? デススカル学院は童貞こじらs……ダークサイドってだけだから敬遠されてるとか?」

「あ、かもね」


 するとホネロウはこちらを睨んできて「リア充め……見せつけやがって!」と呟いてきたぞ。


「なんか言った?」

「いえ、なにも」

「……聞こえてるけどね。リア充がなんだって?」


 冷めたヤマミにホネロウはたじたじ。

 オレがメロンクリームソーダをズゾゾ吸って炭酸の味を味わっているのに、ホネロウは女々しくため息をついていた。


「はぁ……、始めっから持ってる人に、持ってない人の気持ちなんて……」

「オレだって最初は持ってない側だったぞ」

「う、ウソつくなー!!」


 やはりオレが始めっからリア充だと思って、ホネロウはそれが信じられないようだな。

 ヤマミもため息をつく。


「私だって、あんまり人付き合いが上手い方じゃなかったしね」

「え?」


 ホネロウはヤマミへ振り向く。


「ああ。色々あってオレたちはこうして一緒になれてるだけだ。ヤマミ以外に付き合える女性はいないだろ」

「リョーコとかエレナとか……?」

並行世界(パラレルワールド)だったらそうかもしれねぇけど、今のオレにはヤマミだけだし」

「どうだか……」

「からかうのやめろよ」


 オレのほっぺにヤマミがツンと人差し指で突っつく。うふふ。


「俺の前でイチャイチャするなあああ!!! 闇の炎が胸で燃え上がるんだあああ!!」


 オレとヤマミがきゃいきゃい戯れていると思って、嫉妬の炎を燃やしたらしい。

 ホネロウの目にはリア充カップルが自分をそっちのけで会話してるように見えて、すごーく羨ましいいいって事か。


 するとジャオウとモエキがキャッキャウフフで側を通り過ぎてきて、ホネロウは「あっ!」と間の抜けた声を出す。

 それを聞いてジャオウとモエキが振り向いてきて硬直。

 なんとナッセとヤマミがいたからだ。


「なんだいつもの光闇カップルか……。フン相変わらず仲睦まじいやつらだ。こちらも負けてないがな」

「そうね。夏期休暇を利用して存分に楽しんでるからね」


 ジャオウとモエキが腕を組んで身を寄せ合ってて、ホネロウはあごをガクガク震わせていた。

 モエキの大きな胸がむにゅっとジャオウの腕にめり込んでいる。

 その弾力を想像すると羨ましい気持ちが渦巻いて嫉妬が溢れ出してくるであろう。


「あああああッ!!! 真なる闇のカップル!! お、俺も……そうなりたかったのに!!」

「フン、見つければいいだろ。闇の彼女をな……」

「そうね。頑張って」


 ジャオウとモエキが余裕とあしらって、別の席へ行ってしまった。

 ホネロウはギリギリ歯軋りして、拳を震わせていた。


「それができたら……こんなに苦労はしてねぇッ……!!」


 オレとヤマミはデザートを堪能するようにモグモグ。


「だ、誰か紹介してくれ!! 依頼金は弾むッ!!」

「コツネいなかったっけ?」


 わざとらしく女装魔法でごまかしてたコツネを口に出してみる。


「最初っから女装だと知ってたよ。しかしムキムキ男だとは思わなかったがな」

「本当に自白して、貢いでた分を返してたのね……」

「なんだ知ってたのか? そうだよ。暴露してきて貢いでいたやつらは阿鼻叫喚してた。あとコツネはいたたまれず転校したらしい」

「転校したんかい……」

「唐突ね」


 まさかコツネが転校したとは……。どこの学院へ行ったのかはホネロウも知らないらしい。

 ホネロウは観念して「我、終始闇に魅入られしもの……孤独に果てるのみ……」とショボン去っていったぞ。




 その翌日、賀市(ガシ)ヤドックが依頼をしてきたぞ。

 目に隈がある長身の痩せぎすの男。妖怪で言う『がしゃどくろ』と酷似した偶像化(アイドラ)出せるエース。ミナトも苦戦してたやつ。


「モエキってやつがいただろ? 紹介してくれ! もはや闇の孤独に耐えられんッ!」

「またかよ!!」

「またそれ?」


 オレたちはジト目で呆れるしかねぇ。

 さっそくジャオウと付き合ってると説明したら、なんかこの世の終わりみたいに慟哭しやがった。あ”あ”あ”あ”あ”……!!

 なだめるのに時間かかったぞ。こいつらめんどくせぇ。

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