表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
487/495

487話「デススカル学院には女性がいない……?」

 準決勝を終えた翌日、またしてもオレたちは喫茶相談を引き受けていた。

 ヤマミは冷めた目で腕を組んでいる。


「で、今度は介流(スケル)トンナイトね。じゃあ(おご)らせてくれたら聞いてもいいわ」

「ほ……本当ですか!? ぜ、ぜひ!!」


 準決勝戦では強者感を出していた褐色イケメンは(かしこ)まってペコペコ頭を下げている。


「他人に(おご)らせていいんか?」

「後ろ見て」

「あ……」


 なんか五人ぐらい行列になってるぞ。喫茶店よりオレたちが目当てっぽいな。

 トンナイト(こいつ)みたいに電話してではなく、偶然(ぐうぜん)見かけたからウワサの相談役と見て並んだのだろう。


()()()(おご)らせて、相談が無料(タダ)じゃない事を知らせないとね。腹一杯になったら断れるでしょ?」

「あ、確かに……」

「じゃんじゃん好きなの頼んで」


 メニューを渡された。なので遠慮なく色々好きなのを頼んでいく。

 トンナイトは引きつって「う……」と漏らす。

 勝手に行列してる人もザワザワし始めて「ただじゃないのかー」「ちえー」「快く引き受けてくれるかと」とか漏れ出してきて解散してしまったぞ。


「このまま無料(タダ)だと、行列長くなっていきそうだからね」

「そりゃそうか……」


 チョコパフェを頂きながら納得する。

 テーブルにメロンソーダとかコーラとかホットケーキとか並んでる。


「さて始めましょーか」

「うう……、背に腹は変えられんか」

「うめぇ」モグモグ!


 介流(スケル)トンナイト。

 デススカル学院のチームメンバーで大将をやっていたが、前話でミナトから部分偶像化(アイドラ)で一か八かの攻撃を繰り出されて負けたやつ。

 彼は召喚士(サモナー)というクラスで、骸骨剣士を大量に召喚できるスキルを持つ。

 オーラを纏う骸骨剣士出してたから、相当な腕前だと窺える。


「あなたたちみたいに強くなるにはどうしたらいいんでしょうか?」

「ってもさ、オレたちは人造人間大侵攻や世界大戦をくぐり抜けてたしな。そうそう体験できるものじゃねぇ」

「『洞窟(ダンジョン)』の探索は大半の人がやってるしね……」

「そんな……!」


 ガーンってくらいにトンナイトはショック受けたぞ。


「チームでは賀市(ガシ)ヤドックが一番強くて、副将を買って出てたんだ。俺はそれなりに強いからとで保険として大将にされてたんだ!」

「そういうわけね……」

「普通に鍛えていっても強くなれるんじゃねぇか? 特訓次第だけどよ」

「……それはそれとして、彼女が欲しい」


 なんかキリッとした顔で次の相談を言ってきたぞ。たぶんそれが本題か。


「どういう事なの?」

「デススカル学院は男子校みたいになってるんだー! 絶望的に男しかいねえええええっ!」


 絶叫し出すトンナイト。でも待てよ……。


「おいおいおい先鋒で独廊(ドクロウ)コツネいなかったか?」


 死神みたいな黒いローブに仰々しい鎌を持つ美女。

 ウチの一年生ミャコと戦って破れはしたが、そこそこ強い創作士(クリエイター)だった。

 紛れもなく女性だよな……?


「あー、コツネね。そりゃそうか。誰だって女としか見えないもんな」

「「え……?」」

「実は男なんだよ。女装してる。見て分かった。向こうはバレてないと思ってるだろうがな」


 オレは脱力した。

 まさかの女装だとは……。見た目完全に女としか見えんかった…………。

 話を聞くに、何らかの魔法で完璧に女装したら、誰も男だとは思わないとの事。

 あんな綺麗な顔でタマチンぶーらぶーらなんだぜ……。



「いいの?? こんなところで?」

「日本橋だったら見られるけど、こんな遠くなら流石にいないだろー」


 聞いた事ある声が聞こえたと思ったら、なんと同じデススカル学院チームの二人がカップルとして入ってきたぞ。

 面食らって目を丸くするトンナイト。

 まさかの独廊ドクロウコツネ(女装)と翠香(スイカ)ルボーンだぞ。

 ルボーンも褐色イケメンで骨の鎧を纏う男。


「お、おまえら……!?」


 トンナイトの振るえる声に振り向いてきたコツネとルボーンは笑顔を硬直させた。

 たじろいで一歩後ろへ下がる。


「な!? と、トンナイト……さんっ!?」

「なんでこんなトコにいるのよー!」


 コツネは確かに女としか思えない言動してる。声高いし信じられんよな。


「コツネ……おめぇ男だろ? 男同士で付き合ってんのか?」


 オレのを聞いて、ルボーンはひん剥いてギギギとコツネへ振り向いていく。

 コツネは「ヤバッ」と苦い顔してる。

 次第にルボーンは怒りに歪んでいって、唇を震わせていく。


 あ、これ気づかなかったやつ?


「てめぇ……男だったのか…………!?」

「余計な事を!! なぜ分かっ……、な、ナッセェ!?」


 コツネがキッと睨んでくるが、オレがナッセだと分かると愕然とした顔に変わっていった。

 あの英雄のナッセだとすると、女装魔法を看破されたと考えても自然な流れだった。

 もはやバレてしまったと観念するしかない。


「今まで安くない額を貢いでしまったんだぞ!! 騙したなああー!!」

「女だと勝手に思い込んでたでしょーが!! 頼んでもないのにホイホイ貢いできて、オマケにデートに誘っていい夢見れた?」

「てめぇ!! この野郎っ!!!」


 コツネとルボーンで修羅場になったぞ。

 ぎぎぎぎ、手を組み合って取っ組み合いだぞ。

 するとコツネはボンと膨らんでいって、筋肉隆々でゴツい顔立ちになっていく。


「「「ええっ!!?」」」


 誰もがコツネに注視していく。他の客も店員もビックリ仰天だぞ。

 オレもヤマミも唖然と口を開けてしまったぞ。


「チッ! 女装魔法が解けちまったか! バレちゃしょうがねーな!」

「おまえ……!!!!」


 コツネは大柄なムキムキ男だったのが判明したぞ。

 女装魔法とかいう初めて聞く魔法だったが、ヤマミが言うに一時的に女性へ体型を整える見せかけの魔法。

 在学中に女装魔法を維持し続け、なおかつ戦っていたんだから、相当な集中力が窺える。

 今はバレて動揺したせいでウッカリ解けた模様……。


「お、おどろぇた……! その状態だったらミャコにも勝てたかも知んねぇな……」

「女装魔法にリソース割いてたものね」


 ルボーンは悔しい顔で見上げる。


「……学院で言いふらす」

「なっ!? ち、ちょっと待って!! あちこち貢がれてたから、バレたら殺される!!」

「仕方ないだろ。俺みたいに騙されたままの人放っておけないし」

「くっ!! くそ────!!! みんな口封じしてやる────ッ!!」


 なんとコツネがこんなところでオーラを噴き上げてきたぞ。ゴゴゴ……!


「オレもか?」


 オレが呆れた顔で呟くと、コツネは見開いて硬直……。

 ナッセがいる事を失念してた。どうあがいても勝てないのは火を見るより明らかすぎる。

 冷や汗タラタラでガタガタ震えていく。まるで宇宙の帝王フリ○ザを相手に恐怖するかのように……。

 よっこらしょっと、とオレは席を立つ。


「さて、やる?」

「ごめんなさ────い!!!!」


 すぐさまコツネはジャンピング土下座で頭を床に付けた。ビターン!


 ルボーンもトンナイトも呆然……。

 鶴の一声で呆気なく大人しくなってしまったぞ。ヤマミはため息。

 オレに半殺しされるより、バレて半殺しされた方がマシだという事なので、学院で女装を自白して貢いだ分を返金したそう。

 その後、どうなったのかはオレも知る由しない。


「なんだかなぁ……」

「世の中驚く事ばっかりね……ホント」


 夕日の下でヤマミと一緒に帰っていったとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ