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486話「地区予選 準決勝戦③ ギリギリの戦い!」

 先鋒のミャコと次鋒のミナトが奮戦し、デススカル学院の中堅まで撃破していったぞ。

 そのせいか敵チームは切羽詰って殺伐しとる。


「また予選地区で敗けるなど……」

「面目ない。まさか勝ち抜けないとは……。くっ!」

「あのホネロウさんが一回で負けるなんて思ってなかったんだよ!」

「ルボーンもエースなんだがな」



《デススカル学院の副将『賀市(ガシ)ヤドック』選手、前へ!》


 長身の痩せぎすの男。据わった目に隈があって陰険そうな雰囲気が窺える。

 静かに歩いてきて魔法陣を踏むと転送されていった。



 息を切らすミナトへ、悠然(ゆうぜん)と向かい合うヤドック。


「疲れているところ悪いが手加減できぬぞ」

「もちろんだ!」


 ヤドックからズズズズと黒いオーラが漏れ出てくると、なんと紫に輝く巨大な骸骨が浮かび上がってくるではないか。

 妖怪で言う『がしゃどくろ』と酷似している偶像化(アイドラ)だ。

 誰もがそれに驚く。どよどよっ!


「あいつも……偶像化(アイドラ)を!?」

「だからあいつらも知ってたのか……」


 ヤマミから聞いた。己の欲望を精神生命体(アストラル)モンスターとして具現化する上級スキル。

 早い話がモンスター化する。それができる人は多くなく、できたとしても多少のリスクを背負う。

 オレは魔王化の危険があるからできねーけど……。



「これがおれの偶像化(アイドラ)『ニギリシメ』! 行くぞッ!!」

「くっ!!」


 ヤドックが喜々と叫び、包む偶像化(アイドラ)の巨大骸骨が大きな腕を横薙ぎに振るう。

 衝撃波をまき散らしながら迫ってきて、ミナトは苦い顔で飛び退く。

 しかし素早く逆の手でミナトを掴む。


「ぐああ!!」


 ギリギリと握り潰されそうだ。


「これだ! この快感!! どんな強者も、より巨大な己で潰せるカタルシスッ!!」


 偶像化(アイドラ)の影響か、ヤドックの欲望がただ漏れしてる。

 しかし握っていた骸骨の手が粉砕された。バゴッ!

 ヤドックは見開く。


「お前もか!?」


 なんと着地したミナトは両足にカンガルーのような足が接続されている。

 両腕からはカマキリのような関節で鋭い剣を備え、脇からも同様に同じ腕が生えている。

 背中からカンガルーの尻尾がサソリのように上へ沿っていて先からは青薔薇が咲く。


「そうだ! オレも『偶像化(アイドラ)』が使える! 名づけて『ジャマスナ』! 勝負を急がせてもらうぞ!!」

「ほう!」


 なんと互いに偶像化(アイドラ)をして、仰々しい第三次オーラことフォースが溢れ出てくる。

 ヤドックの巨大骸骨が肉薄し、ミナトのジャマスナが軽やかに飛んで二対の巨大剣が振るわれる。

 巨大骸骨が腕をかざし巨大剣をギャリッと弾く。硬い!


「やあああああああああああああッ!!!」


 軽やかな動きで飛び回りながら絶え間のない剣戟を繰り出し、巨大骸骨を追い詰めんとする。

 明らかに偶像化(アイドラ)する前よりも速く鋭くなっている。

 巨大骸骨は全身から無数のトゲを長く伸ばして、周囲の岩山を蜂の巣どころか粉々に砕いていく。

 まるでヤマアラシだぞ。


「そんなものッ!!」


 ズババババッ!!!


 それでもミナトのジャマスナは巨大剣でトゲを切り飛ばし続け、間合いを詰めていく。

 巨大骸骨は「ギュルルルルウ」と唸り上げ、握り潰さんと張り手を繰り出す。それと巨大剣が衝突し、衝撃波の噴火が爆ぜた。ドッ!

 フッと後ろへ回ったミナトが巨大骸骨の背中を巨大剣で切り刻む。


 ズガババババッ!!!


「ぐおっ!!」


 固くて切り裂けないものの衝撃が本体のヤドックにも伝わる。

 逆に振り向きざまに肘打ちでミナトごとジャマスナを弾き飛ばし、遠くの岩山を次々と貫いていった。最後に煙幕を噴き上げてズズン!


「終わりだあああ!!! イビルスピリッツ・サイコウェーブ!!!」


 巨大骸骨が口を開けて、おびただしい悪霊が吐き出された。大津波のように押し寄せてくる悪霊を前に、ジャマスルナが起き上がる。

 ミナトは激しい息を切らしていた。消耗がひどい。

 大きくなってくる地響きにミナトは歯軋りして「仕方ない……!」と覚悟を決めた。


「これが最後の賭けだ!! 行くぞ────!!」


 なんと真正面から突っ込むようにジャマスナは駆け出していく。

 徐々に加速していって地面から飛沫を噴き上げていく。そして跳躍して前転宙返りを始めてギュルルルルッと円盤のように回転を繰り返しながら大津波へ突っ込む。ドッ!!


 ズドッ!!!!


 なんと悪霊の大津波を縦に裂いて、飛沫が左右に爆ぜる。

 ヤドックは「なに!?」と見開く。

 ミナト本体はそのままで偶像化(アイドラ)ジャマスナだけが前転回転を繰り返していて、四本の巨大剣による無限斬撃を繰り出しているという術理だ。


「そ、それは────!?」


 偶像化(アイドラ)を使い慣れているかのような回転技。

 ミナトはギッと相手を睨み据え、巨大骸骨へそのまま突っ込む。

 慌ててヤドックの意地に従って巨大な両腕がサッと阻む。


「パーマネンスジャイロ・マッサカー!!!」


 極限に回転された斬撃は一瞬にして巨大骸骨ごとヤドックを両断し、通り過ぎたミナトがジャマスナで着地。


 ド   ン!!!!


 一瞬にして敵を真っ二つにして、誰もが驚く。オレもビックリ。

 絶句したヤドックは「ば……バカな……」と漏らし、爆散して棺桶化した。

 ミナトはジャマスナを霧散させて、激しい息を切らしながらへたばる。さっきので限界のようだ。

 体中がミシメシ軋んで激痛が走っている。



「これ、三大奥義『無限なる回転インフィニティ・スピン』に近いんじゃねぇか?」


 同じ前転宙返り系のリョーコのローリングデストロイヤーとはまた違った技だ。

 たぶん負担がぱないので何発も放てるようなものではない。

 それにしたって一瞬にして真っ二つとかすげぇ。


《次鋒『夜宵(ヤヨイ)ミナト』選手の勝ち!!》


 息も絶え絶えに立ち上がったミナトはギラギラ鋭い視線を見せていた。

 ミャコは「ミナト……」と物憂(ものう)げに見ている。



《デススカル学院の大将『介流(スケル)トンナイト』選手、前へ!》


 ズン、とただならぬ威圧を醸し出す褐色イケメンが歩みだす。

 こちらを一瞥(いちべつ)し「出てこぬとは舐められたものだな。だがそれも仕方ないか……」と呟いてきたぞ。

 かなりの実力者なんだろうけどさ……。


 転移して、立つのがやっとのミナトの前に現れた。


「ミナトとか言ったか。コハクやヤマミがいる手前、意地を張らず降参すればいいものを……」

「そんなに俺は臆病者ではない」


 トンナイトは軽く片手を挙げると、周囲に骸骨剣士が生え出す。それぞれオーラを纏っていて強いのが窺える。


「さすがはアニマンガー学院というわけか。行け!」


 骸骨剣士がビュンビュン一斉に飛びかかるのを見計らって、ミナトは片腕から部分的な偶像化(アイドラ)のカマキリ腕と先っぽの巨大剣を伸ばして、トンナイトへ真っ直ぐ目指す。

 一瞬の隙を突いて渾身の一撃に全てを賭けた、というのだろう。


「えっ!? 待っt」


 そのままトンナイトの胴を刺し貫き、ドンッと爆散して棺桶化。

 あっさり過ぎて、オレはジト目で「えー……」と漏らす。

 さっきまでの強者感なんだったの?


《次鋒『夜宵(ヤヨイ)ミナト』選手の勝ち!! ゲームセット!! アニマンガー学院、決勝戦進出です!!》


 うおわああああああああああああああああああっっ!!!


 観客が大響音を響かせてきた。

 まさかの一年生ミナトが三タテ。最悪敗れてもモエキいるし、コハクとヤマミいるからなぁ。



「……まさかイキナリ賭けの攻撃を繰り出すとは思わんかった……ぐすっ」


 トボトボと敵チームへ帰っていくトンナイト。

 普通に戦っていたら手強かったんだろうなぁ……。まさかの不意打ちで落ちるとは思わず落ち込むしかない。

 とはいえミナトの一か八かの賭けは間違ってないって事かな。


「どーせ負けてましたよ! コハクとヤマミに勝てる構図が浮かばねーもん!」

「そうそう! 一年生ですら、あのレベルでさ!」

「バカ! 俺たちもう二年生なんだぞ!! ああ……甲子園(コロシアム)は終わりだー!」


 一応、彼らと爽やかスポーツマンシップで握手して去っていった。

 名残惜しそうだったけど大会はそんなものか……。

 そしてミャコとミナトがイチャイチャしだして、ハートの嵐を振りまいているのを見てコハクは「もげろ」と呪詛はいた。



「おつかれ」

「何もしてなかったけどね……」


 やってきたヤマミと手を張り合わせた。次は決勝か。

 いろいろ紹介!


『デススカル学院』

 悪の秘密結社のような学院。割とそこそこの実力者が多い。

 全体的に黒い衣装でドクロを模した装飾品などを身に纏う怪しげな創作士(クリエイター)が多い。

 ダークなのを学べる。勘違いされがちだが、悪の組織ではない。

 シルバーアクセサリーなど造形に関しては一流なので、学びに来る人も少なくない。

 ただ、男子校のように男性生徒しかいない。一応、女性も入学を受け付けているが……。



介流(スケル)トンナイト(召喚士(サモナー))』

 チームのキャプテン。褐色のイケメン。

 強者感を出そうと、落ち着いた態度で強そうな言葉を吐く。

 骸骨剣士を召使いのようにして生活でこき使ってる。料理は術者の経験を参照しているので、実は作るのが美味い。

 それなりに強いので大将として出ていた。彼女募集中。

スケルトンナイト召喚(オーラをまとった骸骨剣士を複数召喚できる)

乱斬獄羅(骸骨剣士が斬り下ろす)

猛勢流斬(骸骨剣士が走りながら斬ってくる)

飛剣刀葬(骸骨剣士が刀剣波を放つ)

層防壁(骸骨剣士が固まって術者を守る)

 威力値:55900


賀市(ガシ)ヤドック(騎手(ライダー))』

 長身の痩せぎすの男。据わった目に隈があって陰険そうな雰囲気がある。

 あんまりコミュニケーション得意ではないが、チーム内では最強の実力者。

 かつては乗馬をやっていたが、愛馬が故障して自ら泣く泣く安楽死させてしまったトラウマで乗れなくなって数年引きこもっていた。

 ある日創作士(クリエイター)の門を開いたので、勇気を出してデススカル学院へ入った。

偶像化(アイドラ)『ニギリシメ』(妖怪がしゃどくろみたいな巨像)

イビルスピリッツ・サイコウェーブ(大量の悪霊型波動で津波のように押し潰す)

 威力値:77500


翠香(スイカ)ルボーン(戦士(ファイター))』

 褐色イケメンで骨の鎧を纏う。骨を束ねた棍棒がメイン武器だが、実は格闘用のグローブにも変形できる。

 典型的な脳筋だが、これでもエース。割と勝率高いらしい。

 同級生のコツネにベタ惚れして勝手に貢いでいる?

ドクロブリット(得物から頭蓋骨型の光弾を撃つ)

ドクロプレッシャー(得物から大きな頭蓋骨のオーラを膨らまして叩き潰す)

 威力値:61200


孩惚(ガイコツ)ホネロウ(魔道士(マジシャン))』

 体格は筋肉ムキムキで強面。両肩に頭蓋骨の肩当て、胴体には頭蓋骨を模した鎧の男。

 見た目に反して遠距離攻撃タイプ。

 弾幕と絶対防御だけで強い。

スカル・デストラクション(ドクロ状の人魂みたいな弾で弾幕を張る)

カースデッド・スフィア(無数の悪霊が球状に包む絶対防御バリア)

 威力値:53000


独廊(ドクロウ)コツネ(暗殺者(アサシン))』

 死神みたいな黒いローブに仰々しい鎌を持つ美女。

 フィギュアスケートをやっていたらしく、軽やかに踊って戦うスタイル。

 女性の美しさに見惚れているので女物ファッションにも詳しい。

 戦う時は破けてもいいように黒いローブを着る。女装魔法の使い手。魔法力を女装魔法に割いているので何割か強さが落ちる。

 惚れてくる男を騙して貢がせている悪い噂を聞く。

デス・エグゼキューション(踊り舞いながら斬りつける)

デス・ピュニション(鎌の刃を使わない部位で殴る)

デス・トルチュール(鎌を振って斬撃を飛ばす。その斬撃は分散できる)

 威力値:57000

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