484話「地区予選 準決勝戦① デススカル学院!」
翌朝に綺麗さっぱり起床し、ヤマミと一緒に朝飯を食っていく。
そして寝転がっているロックマンこと聖剣アレクシは、今も熟睡中……。
「それじゃ、行ってきます!!」
「行ってくるわ!」
バタン、ドアを閉めてナッセの部屋は薄暗い静寂に包まれた。
夏季大会を開催中の仮想対戦センター……。
「「「わあああああああああああああああああっっ!!!」」」
観客の歓声が音響してる。
オレたちは順調に勝ち抜いて、準決勝戦まで来たぞ。
しかし残念ながらオレはベンチだ。
「ヤマミ……がんばれ!」
相手校は『デススカル学院』で、全体的に黒い衣装でドクロを模した装飾品などを身に纏う怪しげな選手が多い。
一見すると不気味ではあるもののイロモノ集団。
しかし、ここまで勝ち抜いてきたほどの強豪校といっても過言ではない。
アニマンガー学院側!!
大将『夕夏ヤマミ』
副将『創也コハク』
中堅『美牧モエキ』
次鋒『夜宵ミナト』
先鋒『玉緒ミャコ』
デススカル学院側!!
大将『介流トンナイト』
副将『賀市ヤドック』
中堅『翠香ルボーン』
次鋒『孩惚ホネロウ』
先鋒『独廊コツネ』
《では準決勝戦、試合開始ですっ!! 互いに先鋒前へ!!》
宣言と共に、真剣な顔で先鋒のミャコとコツネが歩み寄ってくる。
その二人は仮想世界へ転送する魔法陣へ踏み込み、光り出してシュパーン!
なんと舞台は暗雲渦巻く魔界。トゲトゲの岩山が点在する荒野。奇妙な植物が生えているぞ。
「よろしくお願いします!」
「そちらこそ!」
ピンク髪のネコ娘ミャコが身構え、死神みたいな黒いローブに仰々しい鎌を持つ美女コツネも同じく身構えた。
「ロンデーネ・アロー!! ふしゃあああああッ!!!」
ミャコの可愛らしい気合いとともに右手のボウガンから連射されたツバメ状の矢が無数放たれた。
鋭く突き刺すような弾幕だ。しかも『追尾弾』なので追尾付き。
しばらく会ってない間に強くなっているのが窺えるぞ。
「さすがは全国優勝校ね!」
コツネは鎌をグルグル回転させるように振り回して、ツバメ状の矢をことごとく裂いていきドドドドンと爆破の連鎖が轟く。
それでも相当な威力だったらしく、鎌を持つ手がビリビリくる。
防戦に追い込まれる前に、とフィギュアスケートみたいに踊り舞いながら弾幕をくぐり抜けてミャコへ間合いを詰めた。
「デス・エグゼキューション!!!」
「チーニョ・ブレイドッ!!」
対してミャコも白鳥を模した盾のような大剣で、コツネの鎌と交差した。
その衝突の際に、ガンと衝撃波が爆ぜて地面を煙幕が放射状に吹き荒んだ。
「ふしゃあああああああッ!!!」
「ほいほいほーい!!!」
今度はミャコとコツネが激しい白兵戦を繰り広げていった。
大きな鎌を相手に白鳥の剣で切り結び、ガギッギギギギッガギィッギィンと目にも止まらぬ攻防の応酬が続いた。
コツネは苦い顔で後ろへ徐々に押されていく。
「チッ!」
鎌を振るうが、後ろへ飛び退いたミャコはボウガンを向けて弾幕を張った。
コツネは横へ滑るように素早く駆け出すも、弾幕が曲がってきて追いかけてくる。苦し紛れと鎌を振り回して弾幕をことごとく迎撃していく。
するとコツネの足が何かに触れた。なんとペンギン状の置き弾だった。コツネは見開き眩い光が溢れた。
「置き弾のピングイーノ!」
ドガアアンッ!!
全てを震わす大爆発が広がるも、辛うじてコツネは飛び上がって煙幕を巻きながら宙を舞う。
足を痛めて苦い顔をする。ハッと気づく。
ミャコは光子を集める『増幅』しながら待ち構えていた。
「しまっ……」
「ペッレグリーノ・シャベリン!!」
もはや槍としか思えない、隼状の大きな矢がボウガンから撃ちだされた。
空を切り裂くような隼状の超高速弾が鋭くコツネを射抜き、空を大爆発が轟く。
ドゴアアアッ!!!!
《先鋒『玉緒ミャコ』選手の勝ち!!》
次鋒のミナトが立ち上がって「やった!」と歓喜し、ハッと気づいて座り直した。
オレたちが地底や火星へ行ってる間に腕を上げたな。
威力値が信じられないくれぇ上がってっぞ。たぶん五万そこそこ?
口惜しそうに去っていくコツネを迎える敵チーム。
「一年生だからって侮っちゃいけないよ……。見た目に反して戦い慣れしてるわ」
「なら、俺がやってやろう!」
次鋒のホネロウが立ち上がる。体格は筋肉ムキムキで強面。両肩に頭蓋骨の肩当て、胴体には頭蓋骨を模した鎧。見るからして接近戦タイプに見える。
《デススカル学院の次鋒『孩惚ホネロウ』選手、前へ!》
ホネロウが転移され、ミャコの前へ現れた。
「コツネの仇を討たせてもらうぞ!」
「よろしくお願いします!」
ホネロウは両手を上向きにして、その上で大きな頭蓋骨が膨らみ出していく。
頭蓋骨を模した『衛星』だぞ。まさか遠距離タイプ!?
「俺も弾幕張るタイプなんだ。行くぞ! スカル・デストラクション!!」
「ロンデーネ・アロー!!」
ホネロウの『衛星』から、無数のドクロ状の人魂みたいな弾幕を張ってきたぞ。
ミャコも右腕のボウガンから無数のツバメ状の矢を乱射した。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!!!
互いの間で相殺し合った弾が誘爆して、爆破の連鎖が轟き続けていった。
しかしホネロウは両手でやってる分、物量は上。ミャコの周囲に流れ弾が地面で爆発を重ねていく。
ミャコ苦い顔。
「フニュッ!」
当たらないよう素早く飛び跳ねながら乱射を繰り返す。
射線を遮るように岩山に隠れて、流れ弾をかわしていく。
ミャコは鷹状の矢を上へ連射していく。それは急降下して、ホネロウの頭上へ襲いかかる。
これは『追尾弾』なので岩に隠れながら撃っても相手に当たるぞ。
「ファルコ・アロー!!」
「今度は上からか!!」
すかさずホネロウは左手を上に向けて、ドクロ人魂を乱射して迎撃していく。
ミャコは気丈にボウガンで狙いを定めて一撃必殺の矢を放つ!
「ヂヴィッタ・ボンバッ!!!」
獲物を狙いすます猛禽類のフクロウを模した大きな弾を撃ったぁ!! ドウッ!!
それは翼を広げて爪を前に向けて、ホネロウへ強襲する。
しかもホネロウの弾幕をスルスル通り抜けて来るぞ。ホネロウ見開く。
「むおおっ!?」
ド ンッ!!!!
明々とした大爆発が広がり、衝撃波が周囲に吹き荒れて奇妙な植物を揺らす。
ゴゴゴゴゴ……、地響きが地面を伝わり煙幕が立ち込める。
息を切らすミャコは油断なく見据える。眉間を流れる汗が鼻へ伝う。
しかし煙幕から凄まじい量のドクロ人魂が抜け出てきて、数百発もあろう弾幕がミャコへ覆いかぶさっていく。
見開くミャコを明るく照らしていく。
「えっ!?」
ドドドドドドドドンッッ!!!!
凄まじい爆発の連鎖が容赦なく建物ごと破壊しつくしていく。
まさかの威力拡張の『炸裂弾』!?
誰が見てもミャコがやられたと思ってしまうだろう。ミナトも険しい顔で息を呑む。
「ホッハハハハハハハ!!! よくやったな!! だがこれまでだッ!!」
ホネロウが一歩踏み出し、全身を無数の悪霊が戯れて球状に包んでいる。
弾幕を操作して、自分の周囲を飛び回らせる事によって相手の攻撃を弾いていく。
あれがヤツの絶対防御……。
「あれではミャコの攻撃は届かねぇな」
オレは察した。
フクロウ型の爆弾も、たぶん一点に悪霊バリアを圧縮させて防いだものと思われる。
弾幕を張れるほどMPが広いなら、この芸当もできるだろう。
ちと相手が悪すぎた。
「……まだ生きているのか??」
もわもわ煙幕が立ち込めているものの、ミャコが棺桶化した様子は見られない。
すると煙幕が爆ぜて、巨大な影が飛び出してきたぞ。オレも誰もが驚く。
ミナトは「まさか!」と切羽詰る。
バドバドバドバドバドバドバドバド……、奇妙な反響音が響く。
ヤマミは「まさか……『偶像化』!?」とほおに汗を垂らす。
「な、なんだアレはッ!?」
虚ろな目のミャコをぶら下げた感じで、四枚の白い翼を羽ばたかせる奇妙な巨大怪鳥。
鳥頭に猫耳、四つの目、頭上の冠羽。
まるでこの世とは思えない……幻獣かと思わせる風貌だ。
そしてヤマミと同様、ミャコの長いロングヘアーと接続しているかのように繋がっているのが窺える。
「フシャアアアアアアアアアッ!!!」
そいつは周囲を震わせるほどの咆哮を上げてきたぞ。
ホネロウは「そいつも『偶像化』出せんのかよッ!! ちくしょう!」と緊迫した。




