469話「大魔剣ウェクサ編⑮ 解決しちゃったぞ!?」
アレクシが眠っちまいやがったぞ……。
どうやら金星の一日はほぼ一年なので、昼夜も当然バカ長い。
当然、金星人であるブキ族の睡眠時間もオレたちよりずっと長いみてぇだ。
オレたちは眠っているハンマーと杖と弓を抱えてアームストログ号へ向かう。
コンコン扉をノックすると、ほどなくしてからガチャリと開けられて聖剣団の三本が迎えてくれた。
「おお! 君らか! なんの用だね?」
「こんばんは」
「まだ起きていたのか!?」
聞くと、見張りとして交代しながら寝ているという。
「やっぱ大半は寝ているんだな?」
「うむ。我々は有事の際に寝ていられんから訓練されているのだ。寝る時間を自由にズラして活動時間を有効活用できるのだ」
「そうだ。元々ブキ族だからね。ヒト族と違って金属細胞だから、多少は融通が利くんだ」
「いいなー。必要な分だけ寝て起きて精算できるみてーだから、睡眠負債はねぇって事だろ?」
「そういう事だな」
ヤマミは何か考え込む。
「ねぇ、夕夏家にも聖剣いくつかあるでしょ?」
「それがなにか?」
「ひょっとしたら、普段は寝ていて有事になったら起きて戦ってるのかも?」
「あー、そっか……」
ってか、あいつら金星出身だったのか……。
何らかの経緯で夕夏家へ入ったか分からんけど、マジで金星人だったのか……。
今まで知らんかった。
「それより、君らなんか急いでいたようだが……?」
「あ! そうだったぞ!!」
ともかく起きているやついて良かった。
ヤマミと目配せして頷き合う。そして聖剣団へ向き直る。
「もしかしたら大魔剣ウェクサも寝ているかもしんねーぞ? 今の内に捕まえた方がいいんでは?」
「え? 寝込みを襲うって事か!?」
「それは不名誉では……?」
「卑怯じゃないか?? 我々は正義として、そういうのは……」
するとヤマミが据わった目で「そういうのは金星でしなさい!」と凄んだぞ。
聖剣団も萎縮して頭を下げていく。
「「「……なんかスミマセン」」」」
まぁ、地球で騒ぎ起こされても迷惑だもんな……。
オレはヤマミと一緒に捜索をしたところ、怪しい洞窟を見つけた。
案の定、中で大魔剣ウェクサは堂々と爆睡中。
「ふぇえ……。こいつが大魔剣ウェクサか。思ったよりデカいな」
「さっさと呪縛施すわよ!」
台座のような岩に突き刺さっている漆黒の大きな剣。三ヶ所刀身が欠けている。
あと少しで復活できる状態である。
ヤマミが地面に魔法陣を描いて、ズズズズ……と『刻印』が大魔剣ウェクサに流れていく。
万が一、今すぐ起きてこられてもでぇじょうぶだ。
……他にも手下いるんだっけか? 向こうに分岐してる洞窟あるな。ん?
「おーい!! 手下のやつ見つけたぞー!」
やってきたヤマミと一緒に見渡す。複数の穴蔵に多くの水晶の棺が並べられていた。
「……多いわね」
「ああ。しかも……」
その中に、魔剣と一緒に宿主となる人間の肉体が入っていた。
しかも念入りに『刻印』で厳重に封印してる。
コンコン叩いてみる。
「冷凍睡眠かな? これ?」
「寄生したまま寝ている内に、宿主が腐ったら困るからじゃないの? 無効化できる?」
「できるぞ。はあッ!!」
オレはボウッと銀髪ロングに伸ばして逆立てるように舞わせ、妖精王化した。
掌をかざす。
「ほい。無効化」パシュー!
あっさり水晶の棺が融解されて、あらわになった宿主の頭上からブキをバキッと引っこ抜く。刀身が折れて柄だけになった。
「あちゃ!」
「バカ! 呪縛してから抜きなさいよ!」
「わ、わりぃ……」
それでも起きる気配がない。
「ふう。まだ眠ってるな。しかしそんな方法で寄生しているとは思わんかったな」
前にスポンッと抜け出していくのを見てきたから、容易に抜けると思ってたけど違った。
実際は頭に刺しつつ、刀身を根っこのように分割しながら体内に食い込んでいる感じか。これなら刀身の長さや形にかかわらず人間に寄生できる。
どうりで刀身の長さの割に、宿主の首が自由に動けるわけだ。
「んん……?」
オレは首を傾げる。
素朴な疑問、そんなに刀身を変形できたっけ? 氷ハンマーはできないって言ってたが……?
刀身を根っこのように枝分かれできんのなら、槍や斧など自由に変形できそうなもんなのにな。
いや、寄生のみの技術とかかもしれねぇな……。
「ヤマミ、水晶を溶かしたら呪縛を頼む」
「任せて」
全部溶かして呪縛を施した後、次々と魔剣を引っこ抜いて、えっほえっほ運び出した。
死骸となった宿主も創作士センターへ運んで埋葬してもらった。犠牲者の家族や知人などに連絡がいってるのだろうか……?
ともかく大魔剣ウェクサも運び出して、アームストログ号で厳重に拘束してもらった。
つーことで呆気なく捕縛できて、聖剣団の仕事も終わった。
「さて、次は……?」
「これね」
自分が所有していた氷魔鎚アスマハーと岩魔杖アンドースと闇魔弓ダクボーウ、獄魔剣ヘルビルも金星出身なので一緒に連行してもらったぞ。
一応悪人つーか悪ブキだしな……。
「これより金星へ連行します!」
「地球の皆さんに迷惑をかけて申し訳ございません!」
「それでは元気で!」
アームストログ号はブルブル震えだすと、ロケットからバボボボボと火を吹きながら飛び上がって、遥か彼方の空へキラーン!
オレとヤマミは見上げたまま「終わったな」と一息を付いた。
「まさか睡眠時間の差で、一気に解決するとは思わなかったぞ……」
「ホントにね……」
「つか大魔剣ウェクサたち、無警戒で全員寝るなよな」
狂信者どもは、地球人の寝起きサイクルが短いとは思わなかったので油断しちゃった。
同じ時間で寝起きすると勘違いしてたのが、やつらの運の尽き。
なんかあっけない幕切れだぞ……。
「ん? なんか忘れているよーな……?」
オレは眉を潜めて首を傾げた。
「アレクシ!!」
「あ!!!」
気づいたヤマミが指差してきて、オレもハッと目を丸くした。
すっかり忘れてた~~!! オレの部屋にアレクシが眠ったままだ~!!
マンションのナッセの部屋で、ロックマンごとアレクシはスヤァ……。
~大魔剣ウェクサ編・完?~
あとオカマサとドラゴリラを器にしている電魔剣サダソドと火魔斧フアックレイは完全に忘れられている模様w
ちなみにこいつらも熟睡してますw スヤァ……w




