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466話「大魔剣ウェクサ編⑫ 迷惑な兄弟ゲンカ!!」

 ナッセたちにばかり頼って悪いと思ったアレクシが、何を血迷ってか単独で飛び出したのだ。

 夜道をロックマンが走っていく奇妙な現象に人々はギョッとしていた。

 アレクシなど命を持ったブキがゴーレムを作って、それを自分の体として動かしていく金星の技術だからだ。

 それを阻むように妙なフードの男がいた。


「だ、誰だッ!?」

「……まさか、おまえアレクシか!?」

「その声は……!!?」


 頭のフードをめくる。

 ボサボサ黒髪のフツメン男。ガタイは筋肉質で武器を振るうには最適な肉体だ。

 そして頭上には魔剣が刺さっていた。


「なぜ地球にいる!? 金星でたわいもない生活をしていたのではなかったのか!?」

「父が壊された仇を討つ為に来たんだっ!!」

「は?」

「それより、なんで兄貴……いや! ダブエクシ!! そのフードはッ!?」


 アレクシのロックマンの表情が険しくなる。

 まさか大魔剣ウェクサに与する組織の一員なのか、と嫌疑が湧いていた。


「フフフ、ハハハッ!! どうだとも! この破魔剣ダブエクシは大魔剣ウェクサさまの下僕として活動しているのだッ!!」


 両腕を広げて大笑いするダブエクシ。

 周囲の人々がギョッとしているが、アレクシとダブエクシは目にもくれない。


「……そしてそのヒトの頭に!?」

「そうだ! このヒトの体を精密に動かせるのだ!!」

「どうやって戦うんだよ!?」

「フッ! こうすればいいのよ!!」


 ダブエクシは得意げに右手を差し出すと、ブウウンと漆黒の剣が生成された。

 それは頭に刺さっている自身のブキと同じ形状で、効果も通常通りに発揮できる。

 だが、それはヒトの命を奪う外法の技術。


「あ、そういう手があったか!」

「フッ」


 てっきりダブエクシも、アレクシが外法に手を出すかと思っていた。

 しかしロックマンの頭上にアレクシ自らを刺した。ズブズブと潜っていって刀身が隠れてしまう。

 自身で生成したゴーレムなので自ら組み込む事は容易だ。


「はあっ!!」


 なんとロックマンの右腕から光の剣が生成された。

 紛れもなくアレクシ自身の形状だ。ダブエクシは見開いてワナワナ震える。


「やった! 同じ事ができたぞ!! ロックマンでもできるんだー!!」

「ふざけるな──────ッ!!!!」


 なんとダブエクシは絶叫するように叫んできたぞ。


「……え?」

「頭上から刺すだけならともかく、写し身を生成できるようになるのに何ヶ月かかったと思ってるんだーッ!! 俺は五ヶ月だぞ!! 五ヶ月ッ!! それでも俺は天才と言われてるんだぞーッ!!」

「え……、これ難しかったのか!?」

「当たり前だろッ!! さそもカンタンに実演されてたまるかあーッ!!」


 戸惑うアレクシに対して、ダブエクシは頭に血が上ったままだ。

 普通なら一年以上かかるらしい。ゴーレム技術を応用して、自身のブキを写し身として生成する魔法技術。

 岩などを材料にするならともかく、魔法力自体から具現化させるには相当の労力がいる。

 妖精王など人外レベルでないとホイホイ生成できるはずもない。


「だが、考えてみれば生成した剣で安定しながら戦うのも必須!! 当たり前のように生成剣を振るえるようになるまで三年も要するのだッ!!」


 ダブエクシは別の方向からマウントを取り出し、駆け出して漆黒の剣を振り下ろす。

 思わずアレクシは光の剣を横薙ぎにかざして受け止めた。


 ガッ!!!


「なにぃ!?」


 ダブエクシは見開いた。

 ギリギリ鍔迫り合いで互い震える。それは交差する刀身が常に強度を持ってぶつかっている証左(しょうさ)他にならない。

 バチッと互い離れて、後ろへ滑っていく。ザザッ!


「なんだか知らないけど、こんな便利なのがあれば思う存分戦えるぞーっ!!」


 アレクシは飛び出して、光の剣を縦横無尽に振るって軌跡を描いていく。

 ダブエクシは苦い顔でことごとく防いでいく。

 思いっきし振り回しているアレクシの理不尽な才能にダブエクシは恨みづらみと嫌悪が湧いてきていた。


「この愚弟が────ッ!!!」

「バカ兄貴ィ────ッ!!!」


 ギギンッ、ギインッ、ガギギギンッ、ギンギィン、ギギッ!!!


 呆然とする人々の目にもはばからず、アレクシとダブエクシは激しく剣戟を重ねていく。

 周囲に余波が吹き荒れ、道路にも少々亀裂が走っていった。


「破魔剣・ダブルエックス・スマーッシュ!!」

「魔法剣・メテオラーンッ!!!」


 ダブエクシが同時に交差する斬撃を繰り出せば、アレクシは剣を正眼に構えて一瞬連撃を放つ。

 一、二、三、四と光の筋が煌めいて漆黒の剣を砕き、ダブエクシの肉体に三撃が決まった。

 同時にアレクシのロックマンの腕がミシリとヒビが走っていく。


「があッ!!」


 吹っ飛んだダブエクシは電柱を次々と突き破って、向こうのビルの壁に穴を開けてズガアアアアンっと飛沫を上げた。

 バキバキと倒れてきた数本の電柱が道路で砕けた。その何本かで停車中の魔導車をベキベキ凹ませていく。

 人々は「うわぁ~!!」と逃げ惑う。


「ぐう……、ナッセさんは平気な顔で撃ってたんですか……っ!」


 アレクシはロックマンの動きが鈍っているのに気づいた。

 内部で破砕されてて動きが阻害されている。でもゴーレム生成の技術で修復していく。

 とはいえ、ナッセはこんな負担の重い技を放っていたのかと驚かされた。


「くそおお……! 愚弟がぁ……!!」


 ビルの空いた穴からダブエクシが抜け出てきて、血まみれの様子を見せた。

 歯軋りして凄い形相だ。


「父は『俺が死んだ事にして、アレクシを無関係な町で平穏に暮らさせよう』とか言ってたが、もはや許さんッ!!」

「え? ええっ!? ちょっと待って!? 父は生きてるの!?」

「……ち! もういい! こうなってはウソついてても仕方ない」

「父はどこにいるんだーっ!?」


 アレクシは父が生きていたと知って、落ち着かずにいられない。

 ペッと唾を吐いてダブエクシは据わった目で答えない。


「答えろよーっ!!」

「フン! 知らない方が身の為だぞ!」

「兄貴のバカバカバカーッ!!」


 プンスカプンするアレクシに、ダブエクシは苦い顔で黙るしかない。

 悪の道を歩むには純真すぎる。

 誰かを騙し、犠牲にし、糧にする事をためらわない濁った心でなければ大魔剣ウェクサの下僕として務まらない。

 例え、才能あふれたブキであっても関わらせるべきではない。


「フハハハッ!! これは好都合ッ!!」

「教信者も堕ちたものだな!!」


 なんとビルの上から降りてきた二人。ザザッ!

 アレクシとダブエクシは見開く。なんとオカマサとドラゴリラだ。いや……。


「俺は電魔剣サダソドよ」

「オラは火魔斧フアックレイだ」

「「大魔剣ウェクサの狂信者ども!! 片付けてくれるッ!!」」


 オカマサとドラゴリラは狂気の笑みを浮かべてオーラを纏う。ドン!

 ダブエクシは「チッ」と苦い顔をする。

 オーラの尾を引きながらオカマサとドラゴリラが飛びかかって、ダブエクシと激しい剣戟を繰り広げていった。


 ガギギッ、ギギッ、ガガギギッ、ギギンッ、ギギガッ!!!


 余波が嵐のように吹き荒れて、周囲の建物がミシミシ軋む。

 置いてかれたアレクシは目を点にして呆然とする。


「魔剣技サンダーボルト・クラッシュ!!」

「魔斧技フレイム・ボムソード!!」


 オカマサの振るう稲妻一閃と、ドラゴリラの爆炎纏う一撃が斜交(はすか)いして、ダブエクシの漆黒の剣と衝突!!

 ダブエクシは「ヌッ!」とビリビリ衝撃が体を貫く!


 ドガガアッ!!!


 後ろのコンビニへ突っ込んで飛沫を吹き上げて、数多の商品が散らばって、煙幕が巻き起こっていく。

 コンビニ店員三人が「うわ~!!」と抜け出していく。

 アレクシも周囲の人々に混じって、戦々恐々(せんせんきょうきょう)と様子を見るしかない。

 その中の一人が携帯で通報ピポピポン!


「はい! あのですね、オカマサとドラゴリラが()()テロ起こしました!! 場所は────……」


 またしてもオカマサとドラゴリラの罪状が増えていったぞ……。

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