456話「大魔剣ウェクサ編② ナッセ 対 アレクシ」
山奥……。緑生い茂る森林。岩ゴロゴロいっぱいで透き通った段々の川がせせらぐ。
結構広い平地で、大岩が隅に佇んでいる。
「望み通り大岩あったぞ」
「ここでも質のいい岩があるんですねー! 感激しましたー!!」
グネグネ動く剣はアレクシってヤツで、生きている武器って事かな?
ちなみにこいつ金星出身な。
岩をゴーレムとして作る為に、オレとヤマミで立ち会ってるトコ。
「じゃあ行きますよー!!」
なんと大岩へグッサリ刺して、そこからズズズッと刻印が広がっていってメコメコと人型にせり出てくる。
削るように次第に丸みを帯びた人型へ整っていく。
どっかで見たようなゲームキャラに酷似しているぞ?
「これが我らの作るロックマンですっ!」
「アウトォ!!!!」
例のカプ○ンのロック○ンとかなーり似過ぎているので突っ込んだぞ。
とりあえず両目に黒いノリを貼り付けているけど、分かる人には分かっぞ。
「もう少し私たちと似せられない? 男なんでしょ?」
「ちぇ……しかたねーな」
著作権の問題で作り直してもらって、オレと若干似た岩少年に整ったぞ。
「ふうっ、これでいいですかね」
「服も造形しろい」
「ナッセのはそんなに小さくないから」
「ヤマミ……そういう問題じゃないぞ」
なんと全裸のオレがいるようなもので、股に黒いノリを貼り付けているけどアウトォ!
「注文多すぎだよ……。ブツブツ」
「これから町へうろつくんなら、合わせてくれねーとな……」
「ナッセが小さい思われたら困るものね」
「いやいや!」
フンスとヤマミが不満だが、そういう問題じゃないんだよ。
服を着た、というよりは岩の表面にそれっぽく造形して、やっと納得のいくロックマンにできたぞ。
「初めて地球に来たから、どれどれ」
ブンブン剣を振る。
岩で作ったのに、まるで生き物のように柔軟な動きができるみたいだ。
どういう仕組みか分からないが、まるで目も口もくっきり再現されている。
眼球のレンズとかどうなってんだ?
「……小型だな。身長としては一二〇センチか」
「あまり大きいと重くなって動きが鈍るんだよ。木で作ってもいいけど強度や耐性の問題あるからなー。あっさり火で燃えるし」
「刺して『刻印』を刻み込んで、操れるようにしてるワケね」
「そういう技術が進んでるからねー」
オレたちと変わらない動きができるまで、造形の歴史があるのかもしれない。
ただ、関節がありえないところまでグリグリ回るのはキモいがな。首もグルングルン回転して見せて「うわぁ……」とドン引きしたし。
とはいえ、ブキ族としてはその方が都合がいいのかもしれんな。
「あの、よければ手合わせしていーい?」
「ん? いいぞ」
「では」
その為に広い場所を選んでるからな。
アレクシが素早く飛び出してきて、意外な速さだと驚く。
ギィンッ!!
光の剣と交差し、周囲に余波が吹き荒れた。
すかさずアレクシは幾重の剣閃を描く。オレは隙を見せぬ粘りでことごとく捌いていく。
ギギギンッ、ギンギン、ガギィッ、ギギッ、ギィンッ!!!
とはいえ、アレクシかなり強いぞ! 手加減しているらしいが……。
「本気出していいぞ」
「じゃあ出しますねー! 思ったより強くて助かりますー!!」
なんとシュオオオ……剣からオーラが流れて纏っていくぞ。
更に素早さが上がって苛烈な剣閃が踊る。それでもオレは毅然と捌いていく。激しさを増して衝撃波が連鎖していって、周囲の森林を騒がせていく。
「これでも『第三五回武闘大会』で優勝している身ですからねー!」
「金星のか?」
「ええ、手練のブキが多いんですよー! 大陸の中の地域大会ですが、強いのいっぱいいて苦戦もしましたよ」
ガギギッ、ギギンッ、ガギィッ、ギンギッ、ギギギギギッ!!!
アレクシの猛攻を捌きながら、仮想対戦の大会みてーなものかと察した。
「……ですが、ボクの父は魔剣武団ウェクサのヤツらに壊されたんですっ!!」
「その仇か……」
「ですよー! プンプン」
怒ってるのは分かるが、軽い態度だなぁとは思う。
思いっきり一撃をぶつけ合って、互いに間合いを離して後ろへ滑っていく。ザザッ!
「じゃあ技出すぞ!」
「こっちもです!!」
「流星進撃──!!」
「魔法剣奥義──!」
オレは同時とも思える剣筋を八発放つ!
対してアレクシは彗星のようにオーラの尾を引きながら、超高速の突きを繰り出す。
「八連星ッ!!!」
「アレクシ・ギガスラストォー!!」
敵を先に刺せば勝ち、という特攻じみた高速突きですら、八撃を受けて刃が欠けてロックマンが欠損して決着。
オレは「やべっ!」と仰け反った。
腕と足が欠けて脇に穴があいたロックマンが転がって、煙幕が流れる。
「ひょえ~~!! やっべぇやっべぇ!! 死ぬトコでしたよー!」
刃が欠けたアレクシがブルブルくねらしている。
「欠けてるけど痛くねぇんか?」
「あー、そうですねー。そうだ。そっちの歯とか爪とかみたいなものですからねー。むんっ」
なんと欠けていたのがシュンとなくなってしまったぞ。
再生できるようである。
「あー、コクアの聖剣も気づいてたら再生してたもんな」
「ここまでロックマンを壊されるなんて思っても見ませんでしたよー」
「わりぃ」
オレは後頭部をかく。
しかしアレクシがロックマンの残骸をつつくと、破片とか集まって元通りになっていく。
そして生気を帯びてグルンと上半身を起こして、立ち上がっていった。
「ふう。これがヒト族と同じだったら死んでましたかね」
「……思ったんだけど、やっぱ剣の柄が本体で傷ついたりするとヤバい感じ?」
「ああ、そうですねー。柄って呼んでるけど本体ですよね。コアが思考とかする器官なので壊されたら一発で死にます」
「柄の方は傷ついたら痛いん?」
「当たり前じゃないですか! 刃と違って自然治癒か回復魔法で治すしかないし」
「あー……」
つまり鍔の宝玉が脳とか心臓とかみたいな感じで、柄とかが胴体で、左右の鍔は手足みたいなもの?
「ロックマンを使うのには、我々の急所を守る為でもあるんですよ。ロックマン自体はいくら破壊されようとも替えは利きますからね」
「なるほどなぁ……」
「もう終わりでいいかしら?」
ヤマミが歩いてくる。
「それと、ロックマン使うのは分かった。なかなか手強かったぞ」
「でしょでしょー!?」
「……私たち人間にも同じ事をすれば、乗っ取れるとかあるの?」
ヤマミの質問に言葉が詰まったのか、間があく。
「あります……」
オレもヤマミも息を呑む。アバ獄炎のベル○スみてーなのもできるって事か。
「ただし生物を乗っ取る方法は違法です。大昔にそういう事が地球で起こって、星間関係が悪化した事がありますからね。地球には天然のロックマンがいるようなもので数が多くて装備するにはちょうどいいですからね」
「やっぱ刺して乗っ取るとかかな……?」
「方法はいろいろありますね。握らせて徐々に乗っ取っていくやつと、刺して『刻印』を内部に浸透させて乗っ取るやつとかですかね」
「んで、ここに魔剣武団『ウェクサ』が来てるんだよな?」
「ヤバいじゃない!?」
しかしアレクシは首を振る。
「やつらは腕がいいので、それに合う体がないとカンタンに壊れちゃうから厳選はすると思います」
「乗っ取った体さ……、ブキを壊すか離せば元通りに?」
「『刻印』を刻んでるからね。数メートル離すと維持できなくなって解けてしまいます。ロックマンでそうでしたし」
「なんだあるじゃねぇか。そんなカンタンな方法が……!」
自信満々に笑んでみせる。
ヤマミがジト目で「悟空か」とチョップで突っ込んだ。ぺしん!
一方で大阪の都市で、ザワザワと異様な雰囲気に人々は不穏がってる。
なんと二人の怪しい男が全身に『刻印』を刻んでて、抜き身の武器を手にしてうろついていたからだ。
「ふっふっふ! いい体が手に入ったしな」
「ああ……。関節部に問題があるが、ロックマンなんかより柔軟に動けるのは魅力だ」
なんとオカマサとドラゴリラがニヤリと悪辣に笑んでいた。
通りすがりの人が指差してくる。
「あの……服着た方がいいですよ?」
そう二人はすっぽんぽんの全裸だった。たまちんぶーらぶーら!




