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451話「火星戦後処理① さらば! 四万年前の火星!」

 火闘神(カヴァリン)マルスとの決戦により、火星が荒れ果てていたがでぇじょうぶだ。

 ナノマギア・ワクチンによって地形データを元に修復できるし、人々には急遽シェルターに入れてたから死傷者はゼロだったし実質被害なしだぞ。

 ちなみに前もって「火闘神(カヴァリン)マルスとの決戦始まる! 余波注意!!」と文字と放送で知らせといたから、混乱はあまりなかったようだ。

 むしろ絶望がついに終わると期待していたっぽい。



 スイツラム王国へ帰ってきて、湧き上がる人々の凱旋を潜って王様の下へついた。


「おお!! まさか火闘神(カヴァリン)マルスをも打ち破るとは!! あっぱれじゃ!」

「本当に夢みたいですわ……」


 テラミス王は満面の笑顔で拍手し、王妃は涙ぐんで感動している。

 その後、しばらくはドンチャン騒ぎして心ゆくまで楽しんでいった。談笑と明るい笑顔だらけでオレたちは感無量(スッキリ)だったぞ。

 夜のキャンプファイヤーにバーベキューでみんな踊って笑っている。

 ビールで乾杯するフクダリウスとマジンガたち。


「もうこれで……」

「ナッセ!」


 ヤマミと一緒に悦に浸りながら豪勢な料理を食べてたら、ショトケイキが赤らめながらやってきたぞ。

 もじもじしてウッフン色目使ってる。


「あの、夜にプレッドスしようナ」

「え?」

「ダメよ!! エッチするのダメだからっ!!」


 上目遣いのショトケイキがナッセに夜の誘いをしてきたけど、ヤマミが拒否の両手を差し出して首を振る。

 しかしショトケイキは譲れないとほおを膨らます。ぶー!


「せめてこの場で子作りさせてくれナ!」

「できるワケないでしょっ!!」

「合わせるだけでいいんですナ!! 舌を!!」


 なんとショトケイキが口を開けて、舌を出すと中心部に小さな口がグニグニ開閉している。


「……舌ぁ??」

「うナ! は、は、恥ずかしいけど! そっちの舌から出せる突起尾(オスビ)をワタシの口器門(メスベン)に入れればいいんですナ!」

「「え!!?」」


 オレとヤマミは目を点にした……。

 火星人の生殖器官が地球人のとはまるっきり違いすぎる。


「あの、じゃあ股にはなにもないのか?」

「何言ってるんですナ?? まさか尻の尿口と排便口というマニアックですかナ??」

「いやいや待て待て!!」


 慌てて否定した。そしてオレはヤマミと顔を見合わせる。

 ショトケイキは怪訝そうに眉を潜めて首を傾げた。


「股の前の方には何もないんだっけか?」

「うナ? そうですナ」


 なんとショトケイキはバッと下ろしてきて、そこは地球人としてあるべきものが全くなかった。

 見た目こそオレたちとさほど変わらねぇのに違いすぎる。


「……やっぱか。地球人と火星人は性器が違うみてぇだ。諦めてくれ」

「え? ええ~?? どういう事ですナ!?」

「そっちは舌だけど、こっちは股なの! なんて話してんのか恥ずかしいけどっ!」


 ヤマミも赤面して、性器の位置を自白する。


「えええ~~~~っ!!? マジですナ~~っ!!?」


 ショトケイキが驚いて飛び退いた後、しばらく疑り深くジロジロ見渡してきた。

 何を思ったかオレのズボンを下げてきた。


「うわあああっ!!?」

「あ! なにかついてるんですナ!? まさかっ……!!?」

「や、やめろォ!! そうだっ!! オレのチン○ンだよっ!!」


 赤面して思わずズボンをサッとはき直して、涙目で突っ込む。

 ショトケイキはワナワナ震えだして愕然と四つん這いになっていく。まさか性器が違う事にショックを受けたようだ。

 意気消沈してトホホしたまま、去っていった。


「つーか、オレの舌見ればいいだろ……」

「ホントにね……」


 ヤマミと一緒にジト目でボソッと突っ込む。


《たはは! まぁ、そろそろオレは帰るぞ》

「ああ、そうだったっけ。憑依合体もう要らないんだったな」


 スゥーと六年後のオレが体から抜け出てきて、薄ら霊体で漂う。

 妖精王の姿で六枚の羽と舞い上がっている銀髪ロング。スッキリした笑顔で《じゃあなー!》と夜空へと上昇して薄ら消えていった。

 スッキリした顔でオレも「またな!」と手を振っていた。


「ざっくりしてんな。まぁオレも六年後には召喚されるんだよな……」

「記憶は共通してる? すごいスキルやってたでしょ?」

「ああ…………、あれ?? さっきまで当たり前のように覚えてたのに、全然浮かばねぇ!?」


 剣戟の結界による絶対防御、なんか遠距離で技を撃てるやつ、時を止めて流星進撃(メテオラン)を放つ奥義、それらが忽然と消えていたのだ。

 憑依合体している時のみで、それが解かれたら消えちまうっぽい。


「……そう。六年後のナッセの記憶と経験のみ独立してて、一時的に共通化してただけって事ね」

「ええ~!! そのまんま覚えてりゃ戦力アップしてたのに~!」

「でも、いずれは会得するんでしょ?」

「それは……まぁ…………」


 ガックリ肩を落として、本当に六年後そうなるのか半信半疑に思った。

 くそー、そのまんま残ってりゃいいのにー!

 もうちっと質問してりゃよかったな! ちぇ……!




 翌朝、スイツラム王国のみなさんに手を振られながら、オレたちも手を振って(きびす)を返した。


「またなー!」

「元気でなー!!」

「希望の勇者さまー!! ありがとうございますー!!」

「こちらでも平和に四万年後に続くように頑張るぞー!」

「ナッセさまー!!」

「まだ一緒にいたかったぞー!!」

「「「わああああああああああああああああああっっ!!!」」」


 もうこれで帰るのか、とオレたちはしんみりとしていた。

 ショトケイキは神妙な顔で“希望の羅針盤”を手に、オレたちと一緒にスルゥ────ッと地形を滑って山奥の浮遊鑑へ空間移動してもらった。


 巨大な浮遊鑑へ、オレたちはぞろぞろと乗り込んでいく。

 それを寂しげにショトケイキは見送るしかない。


「短い間だったけど火星旅行は楽しかったぞー!!」

「うナ! ワタシも楽しかったんだナー!!」


 目をウルウルさせて手を振ってくる。

 オレはさっぱりした笑みで手を挙げて「じゃなー!!」と乗り込んでいった。

 ショトケイキは肩を震わせて、浮き上がって遠くなっていく浮遊鑑を見送る。その後で両膝を下ろしてポロポロ泣き崩れていった。


「うええええええ~~~~~~!!!」




 浮遊鑑は上空へ上がっていく最中で、火星は徐々にブレていって時間の速さが加速し始めた。

 それでもオレたちは仄かな寂しさを覚えつつも、その流れる風景を眺めていた。


 フォンッ!!!


 ついに現代の火星へ戻ったのか、時間の流れが元に戻ったぞ。

 オレたちはモニターを見て「おおっ!!」と感激した。

 そう、緑生い茂っていて青い海もある元気な火星の風景だったからだ。しかも青い空。


「火星人と王国もあるな」


 操縦室のヤミザキがポチポチキーボードを叩く。

 複数のモニターには、確かに火星人が平和な喧騒で暮らしているのが映っていた。

 それに四万年後なので文明も進んでいて、王国も増えていた。


火闘神(カヴァリン)マルス勢力は存在しなかった事になるから、当然の事だが襲ってこないか」

「そうなるだろうな」

「歴史を変えたというが、ショトケイキ殿の能力は凄いものだな」

「ウム。まさしく……」


 フクダリウスとマジンガはそう交わした。


「へっはっはっは! そんな事より地球へ帰ろう!」

「そうですね……。火星との交流は後日改めて」


 ヘインとエレサにヤミザキも「うむ、地球へ帰ろう」と火星の空を抜けた。

 あっという間に青い我が故郷である地球へ近づき、下降していく。なんかすっごい久しぶりだぞ。

 熱圏、中間圏、成層圏、対流圏……やがて地上が近づいてきてオレは思わず笑みがこぼれた。


「ただいまあ────っ!!!」



 二〇一〇年六月十九日、オレたちはついに地球へ帰還した。

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