お手紙さん①
ファンについての熱烈なスピーチを聞いてから一週間が経っていた。あれからというもの、教室に置いていた鞄の中に手紙・下駄箱の中に手紙・机の中.ロッカーの中など至るところに手紙を突っ込まれていた。
これは僕に限ったことではなく、こうちゃんや春も同じらしく、3人で手紙を見つける度に顔を合わせてため息をついた。
手紙を貰える機会と言うのはそうあるものではない。だから最初は3人して喜んでいた。が。ある程度を過ぎるとなんというか、またか……となってしまう。
しかも毎回僕のだけ送り主の名前がないのだ。
「げ!れんれん!机の中!」
「本当だ。れんれん、モテモテだね!
……なんて今は笑えないよね、」
僕も今日だけで8通目になる手紙を机の中に見つけて苦笑する。
「本当だね。……はぁ」
家の引き出しはもう手紙で満帆になっているためどこか他の保管場所を探さないといけないと考えると気が重くなる。
かと言ってこの教室に手紙の送り主がいるかもしれないので、何も言えない。
こうちゃんはちょいちょいと耳を貸すようにジェスチャーした。春とそっと耳を近づけると
「……今日俺ん家こない?」
とぼそっと呟いて真剣な目をこちらへ向けた。
「うん、行くよ」
「…行く。」
僕と春も雰囲気を感じ取ってヒソヒソと話す。
「んじゃ、今日の学校の後一緒に帰ろう。
ちょっと話すことがある。」
こうちゃんのかつて無い真剣味を帯びた声に僕たちは恐る恐るコクッと頷いた。
*
「ここが俺の家。今母ちゃんいないから、気ー使わなくていいよ。」
「お邪魔します。」
「おっ邪魔しまーす。」
こうちゃんの部屋は意外とシンプルで、机とベッドと本棚があるだけだった。
3人でカーペットの上に座ったところでこうちゃんは少し戸惑いながら口を開いた。
「俺さ,昔おんなじ事が中学校の頃もあったんだ。
毎日ではなかったけど、週に一回とか、必ず机の中に手紙が入ってて。
そんときは別になんも思ってなかった。でもそれが半年も続いて、さすがに怖くなって友達に相談したんだ。そしたらその友達に脅迫?っぽい手紙が行きはじめた。
もうそれで、完全に恐怖になっちゃったんだ。最終的には先生にも相談して、俺が教室に毎朝早く行って待ち伏せして全部やめろって言って、そいつは出席停止処分になった。
もしかしたら、同じ様なことが起こるかもしれないから、れんれんも春も気を付けろよ。」
ずっと下を向いて淡々と話すこうちゃんが僕と春の目を交互に見た。
こうちゃんの目には心配の色がありありと映し出されている。
「……気をつけるよ」
僕はそれしか答えられなかったけど、こうちゃんはほっとしたように、息を吐いた。
「……俺も気をつける。…そろそろあいつに相談すべきかな?」
春はめんどくせと呟いた。
こうちゃんはそうした方がいいとしきりに頷く。
「?あいつって?」
僕は首を傾げてジーっと春を見ると、春はやっべ!とこうちゃんに助けを求めた。
しかしこうちゃんはあたふたあたふたしていて自分にいっぱいいっぱい。助け船は出動されそうにない。
ジー
しばらくして春は観念した様に、両手を上げた。
「俺,付き合ってる奴いるんだ。」
少し頬を赤らめて春はへへへと笑う。
「……へ? …………って、え!!?
こうちゃんは知ってたの?」
驚きで目を見開いたままこうちゃんに目線を移すが、こうちゃんも真っ赤になって俯いてしまった。
なんで?
いや,まさかな、。
嫌な予感がしてサッと目を逸らしたが遅かった。
そらす前に
「お…俺もいるんだ。付き合ってる人」
と告げられた。
神様。
どうやら僕は友達の中で唯一の非リアだったみたいです。今猛烈に仲間を亡くした様な気分です。
因みに、
蓮の家族・母・父・姉1
春樹の家族・母・父・弟2・妹1
(春)
康介の家族・母
(こうちゃん)
という設定です。




