第32話 到達
お久しぶりです。忙しさと暑さにやられてました。そして遅れた割に、今回は結構駆け足です。
俺と『探究者』の一行は、遂にテンザン大迷宮最奥の地下255階層に到達した。
ん? 早い? 地下204階層から一気に地下255階層まで行けたのかって? そんなわけ無いじゃん。ただここまでの道のり、特筆すべき事が無かったからね。展開を巻いた。
あぁけれど、少しだけで良ければ語っておこうかな。
【寄魔】の件の後、彼らはもう俺に対して何の質問もしてこないようになった。それまでの道のりでは雑談の中でさり気なく探ろうとしてきたのに、そういうのも一切無くなったのだ。どうやら下手に誤魔化されるよりも最後に纏めて聞いた方が良いと判断したらしい。
その代わりってわけでも無いんだろうけど、視線がかなり痛かった。口に出していないだけで、俺への不信や疑問が無くなったわけじゃないもんな。結局呪いを掛けた犯人も不明のままだし。やめろよ、目は口ほどにものを言うんだぞ。
一方で自分たちの手には負えそうにないモンスターに囲まれたのが堪えたのか、生き残るために俺の指示にはそれまで以上に従順に従ってくれている。
トラップでスカルソルジャーの群れに囲まれた時点でその経験は積んでいたんじゃないかって? ところがどっこい、そうじゃない。スカルソルジャーの時も彼らは確かに絶体絶命ではあったが、それはあくまでも相手が大群だったからだ。もしも高レベルとはいえスカルソルジャーがほんの数体だったなら、あの場は何とか切り抜けられていただろう。
対して【寄魔】で呼び寄せられたモンスターは、その殆どが彼らがパーティ全員で協力しても1匹倒せるかどうかというような強敵ばかり。これは大きな差だった。
さて、環境変化を起こしている階層についてダイジェストに紹介して行こう。
地下205階層、極寒の階層。加工したキメラグリズリーの毛皮を『探究者』達に配布し、難なく切り抜けた。俺の加工技術のみではそれほどいい仕上がりの毛皮にはならなかっただろうが、ここでノルイが少々手を貸してくれた。流石は全体的に器用なドワーフの出身である。
地下209階層、荒野の階層。天井は高く青く、迷路も存在せず、まるで晴天の元の荒野のような階層だ。ここに降りた直後は『探究者』達は目を丸くしていた。まぁ、迷宮内だなんて忘れそうなほど思いっきり荒野だもんなぁ。地上の荒野との違いと言えば、太陽が無いことぐらいだ。
そしてここはまたの名をドラゴンの階層。この階層に出るモンスターはドラゴンばかりだからだ。ドラゴンといえば強力なモンスターの代名詞であり、多分に漏れず『コーラル』においてもそれは正しい。
しかしドラゴンというのは言ってみれば、その殆どがデカいトカゲである。つまりごく僅かな例外を除いて、冷気に弱い。
なので極まった氷使いの俺にしてみればドラゴンはそれほど脅威では無く、近付いてくる奴を片っ端から氷漬けにすれば良いだけの簡単なお仕事だった。
ちなみに万が一迷い込んでいた竜人がいた時のために【鑑定】を発動しっぱなしにしておいたが、そんな事は無かったので向かってきたドラゴン達は遍くその命を散らす羽目となった。
地下211階層、沼の階層。これは全員に【飛翔】を掛けることで沼に入らずに進んだ。この沼、足が取られるのもそうだけどそれ以上に、沼の中に潜むモンスターが攻撃してくるのが厄介なんだよね。
地下216階層、海の階層。ここは地下215階層から降りる階段の途中から潮水で完全に水浸しになっていて、荒野の階層と同じく迷路は存在しない。ただただ広大な領域が広がっているのだ。ちなみにその『海』の中にはリヴァイアサンも潜んでいたりするよ!
ここは本来、【水泡】という水魔法で空気を確保して泳ぎながら進むのがポピュラーな方法である……滅多に人が来ないため、ポピュラーと言われるほど普及している方法でも無いが。
しかし泳いで渡るのは面倒なため、【海割】でズバッと割ってやった。ちなみにこの【海割】、かつて俺が作った魔法である。最上級水魔法に分類されるのだが、これを作った理由は『海鮮バーベキューの材料を楽に調達したい』という食欲とズボラの結果だった。
そして割れた海の両側の海面(?)を【氷壁】で凍らせ、この階層ではモンスターと戦闘になることも無く悠々と進むことが出来ましたとさ。まる。
地下219階層~地下221階層、毒の階層。ただしこの毒の階層というのは大迷宮そのものに因るものではなく、この3階層では稀にコカトリスが誕生するせいだ。コカトリスがいるとそれだけで階層全体に毒霧が充満するようになる。なので正確には環境変化を起こした階層では無い。そう呼ばれても仕方が無い状態になってしまっているだけで。
今回の場合では地下221階層にコカトリスが生息していたため、その階層が毒に冒されていた。ここでこそ【水泡】が大活躍したよ。空気確保、空気確保。
ちなみに大本であるコカトリスは放置だ。俺は迷宮を突破出来ればそれだけでいいわけだからね。
地下225階層、密林の階層。ここも迷路は無く、生い茂った樹木が視界を奪っていたが……そんなの全部伐採しちゃえばいいよね!
風魔法を思いっきりぶっ放すと、密林は無くなった。しかしどうせまたいずれ生えてくるだろうから、気にする必要は無い。
地下228階層、鏡の階層。上も下も横も全てが鏡張りになっている階層だ。ついでに意地の悪いことに、全体的に薄い油が流れている。恐ろしく滑りやすい上に火気厳禁。しかもこの階層で出現するモンスターは総じて精神魔法に長けている、つまりは幻を操るものばかり。
あらゆる要素から非常に迷いやすい階層だが、道順をしっかり把握しておりメンタルも強ければ何とかなる。
地下234階層、無音の階層。ここは一見は普通の階層なのだが、実はあらゆる音が発生しないという特殊な空間になっている。音魔法特化な魔法使いなら涙目になる事請け合いだろう。
とはいえそれを除けば本当に通常の階層と変わらないので、パーティでも事前にしっかり打ち合わせをして逸れないようにしてあれば攻略自体は問題無い。ソロならさらに問題無い……そもそもこの地下234階層にソロでやって来るような人はまずいないとか、そういう事をツッコんじゃいけない。
とはいえこの階層に出るモンスターは気配を消すのが上手いため、こっそり接近しての不意打ちには要注意なのだが。
地下235階層、無の階層。この上の無音の階層の上位版で、言うなれば無音の階層+暗闇の階層。視覚と聴覚がほぼ頼れない階層なため、逸れないようにするのにかなり苦労する。ここでもモンスターは不意打ちを仕掛けてくるものばかり。
地下234階層・地下235階層は揃って【感知】を最大限発動させっぱなしにしなければならない階層だった。
地下239階層、灼熱の階層。ぶっちゃけて言うと、俺が最も苦手とする階層だ。単純に暑いの苦手だからさぁ。余談だが、実はショートカットした地下177階層も灼熱の階層だったりする。
ここは極寒の階層とは真逆で、とにかく暑い。まるで炎天下の砂漠の真ん中を歩く気分になるぐらい、暑い。ただひたすらに熱い。なので風魔法と氷魔法を組み合わせた複合魔法で涼を取りながら地道に進む。
まぁ、テンザン大迷宮はマグマの階層が無いだけまだマシなんだけど。ドノイク大迷宮なんて、マグマの階層が3つもあるもんな……しかもその内の1つはマグマの海だし。
凍らせればいいんじゃないか? うん、昔ドノイク大迷宮攻略に初めて挑んだ時、あまりの暑さにキレて全力で凍らそうとしたことがあるんだけどね。凍らせることは出来たがマグマが全部固まって、大惨事になったんだよ。あの時、アルが掘り出してくれなかったら皆死んでたと思う。土魔法万歳。
その後はクリスに滅茶苦茶怒られて、もう2度としないと心に誓った。鬼教官怖い。
地下242階層、重力の階層。この階層、重力がおよそ5倍になっているのだ。たかだか5倍なら俺には特に影響しないので気にならないが、今回は同行者がいるため色々と大変だった。
重力5倍ぐらいでへたるなよ、どこぞの戦闘民族を見習え……と言いたい所だが、そもそも『探究者』の面々の実力とこの階層の難度は釣り合っていないのだ。そんなことを言うのは酷だろう。考えてみればむしろ、よろけながらも何とか付いて来ているだけでも凄い。ガッツがあるとでも言えばいいのか。
地下248階層、極寒の階層パート2。俺自身にも【保温】を掛けなければいけない程に冷気が強まったこと以外は、地下205階層と大きな違いは無かった。迷路の複雑さだとかモンスターの強さだとかは別としてだけれど。
地下252階層、ここがテンザン大迷宮における最後の環境変化が起こった階層。呪いの階層、と俺は呼んでいる。
この階層は造り自体は通常の階層と同じなのだが、歩くだけで次々とランダムに呪いを掛けられてカースド状態にされてしまうのだ。ただしこの階層で掛けられる呪いは暗黒魔法に限られている。
簡単な呪いならば迷宮を進みながらも順次解呪していけるが、今回は総勢6人という大所帯である。なのでこの階層を進む間はよっぽどヤバい呪い以外はとりあえず放置し、次の地下253階層に着いてから即行で隠れ小部屋を作って纏めて解呪する方針にした。ちなみにその『ヤバい呪い』には【寄魔】も含まれている。
この地下253階層での解呪を兼ねた休憩を最後の休憩とし、それ以後は真っ直ぐ地下255階層までやって来た、というわけだ。
こうして進んで行った間も勿論、迷宮の特性としてモンスターはどんどん強力になり、迷路も複雑化していった。しかし特筆するような危機は無く、『探究者』の面々も攻略に関しては協力的だったため、トラブルも無かった。
【時計】で確認した所、7月17日になっていた。初めにテンザン大迷宮に足を踏み入れた時の予定よりは2~3日遅れているけど、同行者がいる以上は仕方が無い。むしろそれを踏まえて考えれば順調だった方だろう。
「本当に来ちゃったわよ……地下255階層……」
「ここから地上に戻れたら僕達、勇者様一行に続く2組目のテンザン大迷宮を攻略したパーティになるのかな?」
「しかもこんなにあっさり……おいマジか……おい……」
しかし『探究者』の面々はちょっとこの現実に付いてこれてない部分があるらしい。まぁ、俺に付いて来ただけなのだから、『攻略した』という実感が湧かないのも仕方が無いだろう。
最奥の階層を歩きながら、リズは蟀谷を揉み、ジルベルトは乾いた笑いを浮かべ、ドグナムは呆然としている。言葉を発していないノルイはどこか奇妙な視線を俺に向けており、同じくだんまりのターシャの目付きは少々険しい。
「ねぇトーマ、あなたの言う通りならここが最奥の地下255階層なんでしょ? ならそろそろ説明してよ、色んな事」
約束だっただろう、とリズはひたと俺を見据えた。俺はそれに肩を竦める。
「もうちょっと待ってよ、まだ最奥に着いたってだけだ。俺の目的は果たされていない」
「じゃあ、その目的を教えてちょうだい。もうここまで来て隠す意味なんて無いでしょ?」
「……隠してたわけじゃないよ。ただ、口で説明するよりも見てもらう方が早いと思ったから詳しく話さなかっただけだ」
「見る? 何を?」
「ちょっと待って、もう少し……あぁ、あったあった」
迷路を進んだ先にあるT字路を右に曲がり、その突き当り。袋小路の行き止まりになっている場所に、それはポツンとあった。
「え、何これ……扉?」
そう、それは紛れもない扉である。しかしそれがただの扉だったならリズは、いやその後ろにいる全員も目を丸くしたりはしなかっただろう。何故なら、この迷宮には大部屋・小部屋への出入り口やトラップの起動装置など、扉はいくつも存在するのだから。
しかし今俺たちの前にある扉には、他とは決定的に違う点がある。
高さ3m幅1,5m程の金属製のシンプルな扉。内開きになるそれは、それだけならばただの扉でしかない。しかし。
「何で……こんな所にニッポン語が……それにこっちはひょっとして……同じ文をこの世界の文字で書いてあるの?」
震えを抑えたような声を出しながら、リズは扉に駆け寄った。そんなリズに僅かに遅れながらも、他の面々も扉へと向かう。
「……やっぱり、日本語の研究を第1目的としてる集団だけはあるね」
そんな彼らを見て、俺はボソッと呟く。しかしその呟きは、どこか興奮した様子の彼らには聞こえなかったらしい。
「やっぱり、これ、ニッポン語よ。どうしてこんな所に……」
「どうしても何もリズ、テンザン大迷宮の奥深くにニッポン語を残せる存在なんて、そうそういないんじゃないかい?」
「まさか……大賢者様か錬金王様が?」
テンザン大迷宮を攻略したとされるのは、勇者一行のみ。そしてその勇者一行に日本人が数人混ざっていたというのは、周知の事実だ。
極めて単純な答えは、これが歴史的な大発見だという事を教えてくれる。
「違う!」
しかしそれに異を唱えたのはターシャだった。
「だってもしそうなら、何でテンザン大迷宮の最奥なの!? 勇者様一行が残した何かがあるなら、それは大賢者様の眠るカルハル大迷宮のはずよ!」
うんまぁ、昔はそっちにあったんだけどね。
そして俺、大賢者さん。今、あなたの後ろにいるの。
「落ち着いて、ターシャ!」
冗談はさておき、宥めに入ったリズの言う通り、ターシャは随分と興奮しているようだった。こんなに必死に例の神託を口にするってことはこの子、もしかしなくても熱心なトーマス教徒か。
「ね、落ち着いて……事実として、これを残したのが勇者様一行の可能性は極めて高いわ。あなたにだって解るでしょ?」
「………………」
やはり理屈としては解るのか、ターシャは押し黙った。
「でももしかしたら例の神託、間違ってるのかもしれない」
「な!?」
「待って、落ち着いて聞いて! ……そもそもあの神託は、もう400年ぐらいは前のものでしょ? もしかしたら正確に伝わっていないのかもしれない。本当はテンザン大迷宮のはずがカルハル大迷宮って誤って伝わったのかもしれない……そうじゃないって、言い切れる?」
「それは……」
「それにもしかしたら、勇者様一行は全ての迷宮に何かを残していたのかもしれない。ここだけでも、カルハル大迷宮だけでもなく」
リズの言葉にターシャは考え込んでいるようだった。
「とにかく、この扉に記されているのはニッポン語なのは間違い無いわ……トーマ、あなたの目的はこの扉の奥にあるのね?」
「まぁね」
頷くと、リズは爛々と輝く瞳を扉に向けた。
「トーマがいつどうやってこの扉を見付けたのか知らないけれど、私も……私達も、俄然興味が湧いてきたわ。もしかしたら他にも何か凄い物を発見できるかもしれないし。入っても問題無いの?」
「入るだけならね。その後に余計な事をしなければ」
答えると、リズは好奇心を抑えられないといった様子で扉に手を伸ばした。彼女だけじゃない。パッと顔を上げたターシャを先頭に、ジルベルト、ドグナムもそれに続く。扉を開けた彼らが雪崩れるようにその中へと入って行くのを眺め、やれやれと溜息を吐く。凄い勢いだ。探究者を名乗るだけあり、探究心は人一倍なんだろう。
「本当に」
しかしその波に唯一付いて行かなかったノルイが、チラリと俺を見て口を開いた。
「本当にお前は、あの扉をかつて『見付けた』のか?」
「…・…さぁ、どうだろうね?」
問われた言葉に内心で少し驚きつつ、苦笑で返す。
そういう風に言われては、こちらも察する。ノルイは何かに勘付きかけているのだと。『探究者』内で最年長なだけあって落ち着きがあると感心するべきか、最年長の割には頭が柔らかいと驚くべきか。微妙だな。
まぁ、俺は自分の事を詳しく話していないだけで、嘘を吐いて誤魔化しているわけでは無い。むしろかなりオープンにしていると思うから、常識や固定観念をちょっと捨てて考えてみれば決して行き着けない答えでは無いとも思うけど。
「とにかく、全てはこの先に辿り着いて落ち着いてからだ。まだこの先も少し道が続くからね」
行こうか、と声を掛けて扉に向かうと、今度はノルイも共に来た。
そして俺たちは扉を潜る。その扉は、地上2m程の位置に2つの文章が彫られていた。その2つは先ほどのリズの推察通り、日本語とコーラル語で同じことが書いてあるのだ。
《絡繰の屋敷へようこそ》、と。当時の俺達の、ちょっとした茶目っ気だった。
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不意に感じた違和感に、その者はフッと顔を上げた。違和感を感じたのはその者だけでは無いらしく、すぐにパタパタと賑やかな足音を立てながら別の者たちが姿を現す。
「ライム様!」
「ライム様!」
現れたのは10才程度のヒューマンの双子に見えるコンビだった。同じ顔を持った少年と少女は、『ライム様』と呼びかけた相手の様子を窺う。
「誰か来たよ!」
「来たね! 繋ぎの扉が開かれた!」
「開かれちゃった! お客様?」
「お客様なの、ライム様?」
仲良さげに交互に言葉を発する2人を見やり、『ライム様』はむぅと考え込んだ。しかしやがて、首を横に振る。
「多分、違うよ。ボク、解る。お客様じゃない」
その答えに、双子はキャアと歓声を上げる。しかしそれは決して恐怖から来る悲鳴では無く、歓喜に満ちていた。
「じゃあ侵入者?」
「敵?」
「それならいいね、食べ放題だよ!」
「奪い放題ね!」
しかしキャッキャと騒ぐ双子を、『ライム様』は窘める。
「リティア、グラ、やり過ぎはダメ」
……どうやらやり過ぎなければ捕食や強奪もOKのようだ。それを察して双子……リティアとグラは更に嬉しそうにはしゃぐ。
そんな子供たちの様子に、『ライム様』はやれやれといった様子だ。そしてどこか遠くを見るような目になりつつ、ポツリと呟く。
「ここまで来る人、いるんだね。でも残念。中には入れてあげない。だってここは……」
そこで言葉を切り、視線を先ほどまで見ていた物に戻す。それは艶やかな光沢を放つ石柱だった。ぼんやりとそれを見上げていた『ライム様』の視線が再び鋭くなる。
「ダメ、絶対ダメ。ここはダメなの……いいもん、どうせここまで辿り着けっこないもん。試練はある意味、大迷宮より大変だし。大丈夫、大丈夫」
「もし来ちゃっても!」
「あたし達がいるもんね!」
呟くような『ライム様』の声に、双子はくるくるとその周囲を回りながら楽しげに笑う。嗤う。
2人には確信があるのだ。例え侵入者が何者であろうと、自分達が負けることなどあり得ないのだと。そしてそれは決して驕りでは無かった。事実、この双子……いや、双子と『ライム様』、それに彼らの他の仲間まで集まれば、世界を手中に収めることだって出来るだろう。ただそれをやる気が無いからやらないだけで。
そんな彼らにとって、ただの侵入者を排除することなど造作も無い……筈だった。
そう、彼らは無敵だ。無敵だった。
たった1人の例外を除いては。




