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静かな夜
夜。
屋敷は静かだった。
波の音だけが聞こえる。
厨房で、メイドのミオはコーヒーを作っていた。
ポケットの中には小さな瓶。
無色透明の毒。
「……」
彼女は一瞬考え、瓶を閉じる。
まだ早い。
別の場所。
家庭教師の 黒田 は廊下を歩いていた。
彼の腕時計には小さな針。
銃の隠し部品だった。
(警備は甘いな)
黒田は静かに笑う。
その頃。
テラスでは奈美が海を見ていた。
ワイングラスの縁に指をなぞる。
「……あなたも大変ね」
そう言って後ろを見る。
そこには観光客の男。
名前は ユウジ。
ビーチで知り合った男だった。
「え?」
ユウジは笑う。
「何のことです?」
奈美はグラスを揺らす。
「この家に来た理由」
一瞬。
二人の目が合う。
その瞬間。
二人は理解する。
この人、同業者だ。
だが。
どちらも何も言わない。
夜が深くなる。
その頃、屋敷の別の部屋で
銃声が一発鳴った。
誰かが動き始めた。
屋敷は静かに
暗殺者たちの戦場になった。




