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海の見える屋敷
沖縄本島の西海岸。
観光客が少し離れた場所に、古い石垣に囲まれた大きな屋敷があった。
海がすぐ下に広がる、崖の上の豪邸。
白い壁。
長いテラス。
庭には南国の木々。
地元ではこう呼ばれている。
「城みたいな家」
その屋敷の主人は
資産家の 城間 隆二。
観光業、ホテル、土地開発。
沖縄の多くの事業に関わっている男だった。
その日、屋敷にはいつもより人が多かった。
リビングでは、妻の 奈美 がワインを飲んでいる。
「今日も暑いわね」
彼女はソファに深く座り、メイドにグラスを差し出す。
メイドの ミオ は静かにワインを注ぐ。
「はい、奥様」
屋敷には他にも人がいる。
・城間の息子
・家庭教師
・警備員
・ビーチから来た観光客の男
一見、普通の屋敷。
しかし――
この屋敷には
普通の人間が一人もいなかった。
メイドのミオは
海外組織の暗殺者。
家庭教師は
別の国の諜報員。
ビーチの観光客は
フリーの暗殺者。
そして妻の奈美も
また暗殺者だった。
全員の目的は同じ。
城間隆二を殺すこと。
だが誰も知らない。
この屋敷の中に
自分以外の暗殺者がいることを。




