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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第二章 シーズン開幕

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第32話 虎吉、交流戦の敗戦に涙

勝ち負け以上のものを背負っている男


交流戦の夜。

リビングには、試合後の静けさだけが残っていた。


テレビには、敗戦後の阪神ベンチの映像。

選手たちが悔しそうに引き上げていく。


虎吉はソファに座ったまま、

動かない。


遥香

「……パパ、大丈夫?」


虎吉

「…………」


美津子

「また“ショックで固まるモード”やね」


虎吉はゆっくりと目を伏せ、

深く息を吐いた。


虎吉

「……交流戦……

 なんで毎年こうなんや……

 今年こそは……って思ってたのに……」


遥香

「そんな泣くほど……?」


虎吉

「泣くわ!!

 阪神が負けたら泣くんは普通や!!

 交流戦は……

 阪神ファンにとって“試練の季節”なんや……」


美津子

「アンタ、毎年言ってるわよ」


虎吉、涙の理由を語る


虎吉は目頭を押さえながら、

ぽつりとつぶやいた。


虎吉

「……選手がな……

 必死に戦っとるのがわかるんや……

 それでも勝てへん時がある……

 それが……つらいんや……」


遥香

「パパ……

 なんか今日、いつもより重いな」


虎吉

「交流戦はな……

 “阪神の弱点”が全部出るんや……

 でもな……

 それでも戦ってる選手を見たら……

 涙出るやろ……?」


美津子

「アンタは毎年泣いてるけどね」


虎吉

「今年は特にや!!

 中野も立石も、みんな頑張っとる!!

 それでも勝てへんのが……

 悔しいんや……」


遥香

「……パパって、ほんまに阪神が人生の一部なんやな」


虎吉

「人生の“全部”や!!」


美津子

「全部は困るわよ」


家族の優しさ


遥香はそっと、虎吉の隣に座った。


遥香

「パパ。

 負けたけどさ……

 中野さん、今日も守備よかったやん。

 立石くんも走ってたし。

 なんか……

 “次は勝てる”って思ったよ」


虎吉

「……遥香……

 お前……

 いつの間にそんな“阪神ファンの言葉”覚えたんや……」


遥香

「パパの横で見てたら、自然とね」


美津子

「ほら、アンタの影響よ。

 悪くないわね」


虎吉

「……うぅ……

 家族で阪神を応援できるなんて……

 ワシ……幸せすぎて……

 また泣きそうや……」


美津子

「泣くのはええけど、

 ティッシュは自分で取って」


虎吉

「……はい」




虎吉

「交流戦はつらい……

 でもな……

 この悔しさがあるから、

 勝った時の喜びが何倍にもなるんや……

 阪神ファンは……

 そうやって生きてきたんや……」


遥香

「パパ、なんか名言っぽい」


美津子

「はいはい、名言はええから、

 そろそろお風呂入りなさい」


虎吉

「……はい」



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