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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第二章 シーズン開幕

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17/18

第16話 京セラドーム二戦目

2026年4月1日(水)。


京セラドーム大阪・ホーム開幕カード第2戦。

前日の大勝(4-1)で上機嫌の虎吉だったが、この日は朝から少し落ち着かない様子だった。


虎吉(黄色いクラウンの中で六甲おろしを小さく歌いながら):

「昨日はええ勝ち方したけど……今日はルーカスや。DeNAの筒香とか佐野がえらいし、油断したらあかんぞ……」


午後には早めに切り上げて天王寺のマンションへ急いだ。

リビングでは再び家族揃っての観戦モード。


虎造は昨日の一時帰宅を延長し、車椅子からテレビに釘付け。


美津子は夕飯の準備をしながら時々画面をチラ見、遥香は大学から帰ってきてスマホ片手に参加。


遥香:「昨日パパ、佐藤輝のタイムリーで飛び跳ねすぎて、おじいちゃんの車椅子動かしたやん(笑)」


虎造:「はは……虎吉は昔からそうやった。阪神が点取るたびに飛び上がって、近所の婆ちゃんに怒られてたわ」


試合開始。しかし序盤から流れが悪かった。

初回、DeNAに筒香・佐野の適時打などで3点先制。

さらに3回に宮崎のソロで4-0とリードを広げられる。


虎吉:「うわあああ……ルーカス、頑張れやぁぁ! バース! 掛布! 何か言ってくれ!」



妄想内——

バース(豪快に笑いながら):「Torakichi! まだ序盤やぞ! 1985年も最初から勝ってたわけちゃうやろ!」

掛布(冷静に):「焦るな虎吉。打線が繋がれば逆転できる。……まあ、今日はちょっと厳しそうやけどな」


虎吉がソファで拳を握りしめ、悔しがる。


5回裏、ようやく阪神が1点を返すも、反撃はそこで止まる。

投手陣もDeNAの先発コックスに抑えられ、最終スコア 1-4 で敗戦。

リビングが静かになった。


虎吉(肩を落として):「……負けたか。開幕カード全勝はならんかったな……」


すると虎造が、ゆっくりと口を開いた。


虎造:「虎吉。お前、1985年もな、最初は負けが続いても『絶対優勝する』って毎晩言ってたやろ。

あの頃のお前は……手がかからんかったけど、ほんまにめんどくさい子やった。負けた日は母親の位牌の前で『お母ちゃん、阪神が負けた』って泣いて、勝った日は近所中走り回って自慢して……」


遥香:「 今も全然変わってへんやん(笑)」


美津子:「ほんまや。昨日話したヤンキーでもないのに喧嘩強かったって話、『山下のガキに勝てば名が売れる』って大阪中の不良が来てたんやて。

結局誰も勝てんくて、虎吉が『俺は阪神の虎や!』って胸張ってたらしい」


虎吉が顔を真っ赤にして立ち上がる。


虎吉:「おい! 昔話はええから! 明日は伊原やろ! 絶対勝つで! 長崎の満塁ホームランみたいに、一発逆転や!」


虎造(優しく笑って):「ああ……お前は今も、あの頃の『虎吉』のままやな。それでええんや」


遥香が小さく微笑みながら、虎吉の背中を見つめた。


遥香(独り言):「パパの宗教……やっぱりちょっとカッコいいかも」

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