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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第二章 シーズン開幕

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15/16

第14話 母と娘の会話 ― 1985年の記憶と、阪神ファンだった理由 ―

虎吉が風呂で「六甲おろし」を熱唱している夜。

リビングには、美津子と遥香だけが残っていた。


遥香

「なあ、ママってさ……昔から阪神ファンやったん?」


美津子は少し驚いた顔をした。

そして、ふっと笑った。


「うーん……“熱狂的”ってほどやなかったけどね。

 なんとなく阪神、って感じやったよ」


遥香

「なんとなく?」


美津子

「そう。だって当時は関西に阪神、近鉄、阪急、南海って

 4つも球団あったんやから」


遥香

「え、そんなにあったん?」


美津子

「そうよ。

 南海ホークスは大阪球場、

 近鉄バファローズは藤井寺、

 阪急ブレーブスは西宮、

 阪神は甲子園。

 どこも“地元”みたいなもんやった」


遥香

「へぇ……なんか今より賑やかやな」


美津子

「せやね。

 でも――1985年だけは、関西中が“阪神”やった」


---


■ 1985年の記憶


美津子は、少し遠くを見るような目になった。


「バース、掛布、岡田の“バックスクリーン3連発”。

 あれはほんまに衝撃やった。

 テレビの前で叫んだもん」


遥香

「ママが叫ぶって珍しいな」


美津子

「そら叫ぶよ。

 あの年の阪神は、なんか“奇跡”みたいでね。

 優勝パレードもすごかったし……

 関西中が浮かれてた」


遥香

「パパももちろんその時には阪神ファンなん?」


美津子

「いや、あの人は“生まれた時から阪神ファン”や。

 1985年は、あの人にとって“人生の原点”みたいなもんやろね」


遥香

「なるほど……だからあんなに騒ぐんか」


美津子

「そう。

 阪神が勝ったら泣くし、負けても泣くし、

 忙しい人やでほんま」


二人は笑った。


-


■ 母の本音


美津子は、少し照れたように言った。


「でもね……

 阪神が勝ったら、なんか嬉しいのは今も変わらへんよ。

 あの頃の気持ち、ちょっと思い出すから」


遥香

「ママも結局、阪神ファンなんやん」


美津子

「……まあ、そうかもしれへんね」


その時、風呂場から虎吉の声が響いた。


「♪六甲おろしに颯爽と〜〜〜!!」


遥香

「パパ、絶好調やな」


美津子

「開幕三戦目で12点取ったら、そら壊れるわ」


二人は顔を見合わせて、また笑った。



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