【第18話 私の「したい」と、彼の「ラスト」】
同棲を始めてから、
久しぶりに一日中二人で過ごせる休日。
映画を観て、当たると評判の占いに立ち寄り、
ショッピングモールを歩く。
その道中、ふと目にとまったショップの前で、成美は足を止めた。
「幸也さん、こっち行ってみたいです」
自分からそう言って店内へ向かう成美の背中を、
幸也は満足そうに追いかける。
ディスプレイされた服や、
繊細なデザインのピアスを「可愛いなぁ」と
目を輝かせて見つめる成美。
幸也は隣で静かに、成美の姿を見ていた。
◇
「次はこれ、食べたいです!」
次に成美が指差したのは、
行列のできる人気カフェの搾りたてモンブランパフェだった。
「うわ、すご……!」
カウンター越し、パティシエの手元を
じっと見つめていた成美が小さく声を漏らす。
専用のマシーンから絞り出された栗のペーストが、
まるで細い糸の束のように幾重にも重なり、
グラスいっぱいに山を作っていく。
立ち上る甘く香ばしい栗の香りに、
さっき映画を観て占いに行ったばかりの胸のときめきが、
また別の高揚感で満たされていくようだった。
「動画、撮るか?」
隣に座る幸也が尋ねると、成美は
「ううん、目の前で見たいから肉眼で見る!」と、
パフェときらきらした目で見つめ合ったまま、楽しそうに首を振った。
自分を偽らず、自分の意思で選択して楽しむこと。
それが今、こんなにも愛おしく心地いい。
◇
すっかり陽が落ち、一日の終わりが近づく。
「今日は本当に楽しかったです。
幸也さん、ありがとうございました!」
車に乗り込み、満足感でいっぱいの成美は
「今日も幸也さんの家へ帰る」つもりでシートベルトを締めた。
すると、運転席の幸也がふっと成美を見つめた。
「……なる」
「はい?」
「最後は俺に付き合え」
車が走り出し、
やがていつも自宅へと向かう見慣れた道を外れていく。
「……幸也さん、どこに行くんですか?」
成美が尋ねると、幸也は前を向いたまま、
どこか楽しそうに言った。
「いいから、ついて来い」




