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【第16話 俺といろよ】

食堂でのあの大騒ぎのあと、

成美は午後の仕事がまったく手につかなかった。


「いつからですか!?」

「成美先輩、隅に置けない〜!」


という後輩たちの視線と冷やかしに終始顔を赤くし、

パソコンの画面を見つめながらも心ここはあらず。


そんな半日をなんとか乗り切り、

商談を終えた幸也と合流して、

久しぶりに二人並んで会社を出た。


夕闇が迫る中、駐車場に停めた幸也の

車の助手席に座った。

シートに体を沈めると、

抑えていた照れくささが一気に溢れ出してきた。


「幸也さん……言っちゃいましたね。

 あのあと、本当にすごかったんですよ……」


小さく肩をすくめ、照れ隠しにポツリと呟く成美。

運転席の幸也は、

エンジンをかけようとした手を止め、フッと口角を上げた。


「そこじゃねぇだろ」

「え……」


幸也はシートに背を預けたまま

成美の方へ体を向け、

じっとその顔を見つめた。


「お前、モテてたんだな」

「っ……! た、ただの冗談ですってば!

 後輩たちがからかってただけで……」


焦って言い訳をする成美の頭に、

幸也の大きな手がぽん、と乗った。

いつもより少しだけ強く、けれど愛おしそうに頭を撫でられる。


「冗談でも立候補なんて許さねぇよ」


幸也の低い声が耳に心地よく響く。

幸也は成美の頬に指先を滑らせ、

逃がさないようにまっすぐ目を見つめた。


「なる」

「……はい」


「お前は、俺といろよ」

「……っ」


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